範囲の経済性

はじめに

コスト低減のメカニズムである事業経済性として様々なものが挙げられるが、その1つに「範囲の経済性」がある。経験効果や規模の経済性と混同しやすいので注意する必要がある。

範囲の経済性

異なる事業間における資源の共有によるコスト低減のメカニズム

「1+1=3」になるのが特徴

範囲の経済性はシナジー(相乗効果)とほぼ同じ意味である。シナジーはよく「1+1=3」になると言われるが、その定義は、

ある要素が他の要素と合わさる事によって単体で得られる以上の結果を上げること

である。つまり、範囲の経済性は「ある事業と他の事業とを合わせた時、それぞれを単体で行った時にかかるコストの和よりも少ないコストで済むこと」と換言できる。

シナジーの分類

アンゾフによると、シナジーは以下の4つに分類する事ができる。

①生産シナジー…工場設備や原材料の購入        (例)原油からの精製製品
②経営シナジー…人材や経営ノウハウの共有  (例)ビジネススクールの経営手法                      (ビジネス向け講演と、大学院生への講義の併用)
③投資シナジー…技術やブランド投資の共有  (例)複数事業の同時運営
④販売シナジー…チャネルや物流網の共有  (例)AmazonのECサイトや物流網を他社が利用すること

多角化との関連

範囲の経済性の効く度合いは多角化を考える際に非常に重要な点となる。範囲の経済性を考えるあまり、関連度の薄い事業を繋ぎ合わせた結果、ブランドが傷ついてしまうこともある。

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