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オンラインセミナー「現場に繋げる運動学習」の内容を超要約! 【エクスターナルフォーカス・アフォーダンス・制約主導型アプローチ 他】
昨日12/29に運動学習をテーマにオンラインセミナーを開催しました。
講師を九鬼さん@kuki_seitaと僕が担当し、イクサポがファシリテーターです。
![](https://assets.st-note.com/img/1640797061209-DbkR2MgzzS.png?width=1200)
https://note.com/keidmatsu/n/nf1726c29b6a1
ご参加いただいた方々からも様々な感想をいただきました。
現場の指導者の方々が日頃のコーチングをどの様に捉えるか。アカデミックに考えられるセミナーでした👏👏👏
— Sunny (@sunny_strength) December 29, 2021
面白かったです!!! https://t.co/crgbzFcd8Z
とても内容の濃い90分でした。
— SUSSU (@sus0819) December 29, 2021
インターナル/エクスターナルフォーカスに関しては、「肩をまわせ」「腰を捻れ」と言われアイアンを振り回してもインパクトできなかったのに対し、テイクバックの際に「横向きに置いたクラブを押し出すように」と言われて急に当たり出した実体験から妙にしっくり。 https://t.co/HsbbPQJMBT
トレーニング指導の中でも、トップクラスに難しくて奥が深いなと普段から感じる運動学習へのアプローチ。
— 西岡卓哉 Takuya Nishioka CSCS (@taku0726_tr) December 29, 2021
今後のヒントとなる話がたくさんあって、大満足のセミナーでした! https://t.co/x3j8Vusuo5
理論的で面白いセミナーでした!
— Takatsugu Ochiai (@takatsuguFC) December 29, 2021
経験上、選手を混乱させている時は“動き〟に対するコーチングが多い時で必要以上に伝えてることも多い。 https://t.co/KNXbSmoC24
今回の記事では僕が担当した部分の内容を超簡潔に要約してお届けします。
「超」簡潔なので、細かいところは書きません!大枠だけです!
本記事を読んでいただいて、
「セミナーの申込みはしなかったけどやっぱり詳細な内容が気になる!」
という方のためにセミナーのアーカイブ動画も用意してあります。
アーカイブをご要望の方はTwitterのDMにてご連絡ください。申込みフォームをお送りいたします。
https://twitter.com/DoKei56
もちろんアーカイブでは僕の発表だけでなく九鬼さんの発表も含まれています。
僕の発表よりも数段高いクオリティなので、ぜひご試聴していただければと思います!
■オンラインセミナーの超要約【エクスターナルフォーカス・アフォーダンス・制約主導型アプローチ】
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今回のセミナーは大きく分けて2つのパートで構成しました。
まず初めに実際のコーチングテクニックとして主にエクスターナルフォーカスをとりあげ、次に運動と環境の相互作用に関してアフォーダンスや制約主導型アプローチ(Constraints led Approach)に触れていきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1640820922946-mMsAsvdKOy.png?width=1200)
①インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカス
![](https://assets.st-note.com/img/1640821320247-G2dQ2zYRrT.png?width=1200)
インターナルフォーカス(IF)、エクスターナルフォーカス(EF)は運動時の注意(焦点)の向け方に関するテーマで、身体内部に意識向けるかIFと身体外に向けるEFで運動パフォーマンスや運動学習効果が変わってきます。
Gabriele Wulfらを中心とした様々な研究においてEFはIFよりも運動パフォーマンスや運動学習にとって有効でると報告されています。
そしてEFでは単に身体外へ意識を向けるだけでなく運動の効果や結果に注意を向けることがポイントとなります。
セミナーではここから派生して、キューイングで重要なKP(Knowledge of Performance)とKR(Knowledge of Result)に関しても触れました。
エクスターナルフォーカスに関してはこちらの記事でも。
②アフォーダンス
![](https://assets.st-note.com/img/1640832152173-6wSs6AbnMO.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1640821251157-dL8qRCV1bL.png?width=1200)
アフォーダンスは心理学者のJ.J.Gibsonが提唱した概念で
「環境が動物に提供するもの(意味)」
「環境の中に存在する行為の資源」
とされます。
アフォーダンスの理論では人の運動を身体内に閉じたものではなく、環境と運動との相互作用でとらえます。
例えば「ドアを開けて通る」という運動(行為)は人の体単体で考えると
光刺激(ドア)→受容器(目)→脳で知覚→脳で認知(刺激情報がドアであるという認知)→脳で判断(ドアを開けて通る)→実行(ドアを開けて通る)
という流れで行われますが、アフォーダンスの考え方では
ドアのアフォーダンス(ドアを開けて通る)を直接知覚→運動の実行
と捉えます。
前者では
環境からの刺激を身体内で処理して意味づけ(「これはドアである」という認知)をしてから運動プログラムを作成し実行するという考え方
後者のアフォーダンスは
環境の中に行動の意味(アフォーダンス)が既に存在しており、動物はそれを直接知覚し(「ドアを開けて通る」)実行しているのだという考え方
アフォーダンスに代表されるエコロジカルアプローチの考え方では環境と運動の相互作用を非常に重視しており、Gobsonが記した
「アフォーダンスは環境の事実であり、行動の事実でもある」
という言葉は環境-運動を一体として捉えることを示す代表的な言葉といえます。
文章で書くとかなりややこしいですよね。
アフォーダンスに関する詳しい話はセミナーアーカイブかこちらのnoteでも書いています。(もちろんセミナーの方がわかりやすいかと!)
③制約主導型アプローチ
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1986年にイギリスのNewellが発案した「生体-課題-環境それぞれの制約の相互作用によって人の運動が決定される」という考え方は、現在では制約主導型アプローチ(Constraints led Approach)としてサッカー界でも一定の認知度があります。
アフォーダンスを理解した上で制約主導型アプローチを考えると、
「環境の制約をコントロールすることで選手の無意識的な運動を引き出す」
ということの重要性を認識でき、また環境の制約と運動との相互作用をよりイメージしやすくなります。
セミナーでは3つトレーニング例を提示しましたが(サッカーのトレーニング1つ、フィジカルトレーニング2つ)、トレーニングの背景に制約主導型アプローチの考えを持っておくことで様々なトレーニングに応用することができます。
これはセミナー内では触れませんでしたが、Frans Boschは著書の中で、制約主導型アプローチは
・フィードバック機構を利用した中枢制御による運動プログラム理論(シュミット)
・アフォーダンスなど環境と運動との相互作用(知覚-運動)を重視する生態学的アプローチ(ギブソン)
・身体を自己組織化されたシステムと捉えるダイナミックシステム理論(ベルンシュタイン)
という3つの異なる理論を結びつけるものだ、という趣旨の文を書いています。
運動制御に関わる様々な理論を包括的に学んでいくことで、制約主導型アプローチをより現場へ活用できる形で理解できるかもしれないですね。
■まとめ
今回のセミナーは僕と九鬼さんとで30分ずつ(実際には40分ほどかかってしまいましたが)という短い時間であったため、かなり内容をシンプルなものにしつつ、駆け足気味に話を進めていきました。
今回の僕の発表では
・インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカス(付随してKP,KR)
・エコロジカルアプローチ(生態学的アプローチ)とアフォーダンス
・制約主導型アプローチ(Constraints led Approach)
がキーワードでしたが、これらをもっと深く知りたい方はそれぞれ以下の人物を辿っていくことでより深いところまで学ぶことができるはずです。
・インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカス:Gabriele Wulf
・エコロジカルアプローチとアフォーダンス:J.J. Gibson,佐々木正人
・制約主導型アプローチ:K.M.Newell, Keith Davids, Frans Bosch
今回のセミナーを現場に繋げつつ、興味のある方はぜひ辿ってみてください!
以下に本セミナーの参考文献を載せておきますのでこちらもご参考に!
今回は以上です。
ありがとうございました!
■アーカイブ動画申込み
アーカイブ動画のお申込みはこちらからお願いいたします!
https://forms.gle/ix5VVCt6LzFSed589
■セミナーの参考文献
![](https://assets.st-note.com/img/1640797529176-ED1oLQZvGZ.png?width=1200)
フラン・ボッシュ.「コンテクスチュアルトレーニング」大修館書店.2020.
原著:Strength Training and Coordination: An Integrative Approach. 2015.
Frans Bocsh. Anatomy of Agility: movement analysis in sport. 2020.
J.J. ギブソン.「生態学的知覚システム」2010.
原著:The Senses Considered as Perceptual Systems. 1966.
J.J. ギブソン.「生態学的視覚論」1985.
原著:The Ecological Approach to Visual Perception. 1979.
レネ・ウォンホート,キーツ・JP・サフェルスバーグ,ヤン・ウィレム・テウニッセン,キースデイビス.「アスレチックスキルモデル」金子書房.2021.
原著:The Athletic Skills Model: Optimizing talent development through movement education. 2016.
佐々木正人. 「新版 アフォーダンス」 岩波書店. 2015.
高草木薫.大脳基底核による運動の制御.臨床神経学 49-6.2009.
Wulf G., Dufek J. S., Lozano L., Pettigrew C. Increased jump height and reduced EMG activity with an external focus of attention. Hum Mov Sci, 29: 440–448, 2010.
ガブリエル・ウルフ.「注意と運動」市村出版. 2010.
原著:Attention and Motor Skill Learning. 2007.
Zachry T et al. increased movement accuracy and reduced EMG activity as the result of adopting an external focus of attention. Brain Res Bull, 67: 304-309, 2005.
ライター
Keisuke Matsumoto
![](https://assets.st-note.com/img/1640796929301-XbWZknsaCF.png?width=1200)
ここから先は
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