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日本の戦争謝罪に、留学先で20代として思うこと

はじめに

ちょっと重めのタイトルだけど。

留学先で、中国の友人から、
南京大虐殺について意見を求められたことがある。

また、先日はスイスの友人に
「第二次世界大戦について、
ドイツ違って、日本は深く謝ったとは考えられることは少ない。
この考え方はヨーロッパでは正直、一般的かも。」
と言われた。

…こんな問いにあなたは、なんと返すだろう?


2つの問い - 謝罪と責任 -


留学先では、
中国や韓国などを中心に他国と日本の関係、
特に、戦争など歴史に関する会話になることがある。

わたしは最初の頃
「詳細は分からないけど、ひどいことをした」
というレベルの回答しかできなかった。

だって正直、第二次世界大戦で日本が各国にしたことも、
それに対する世界の見方も、大して知らなかった。

そしてすこしずつ調べていくうちに、
第二次世界大戦に関して、2つの問いが立った。

・日本は十分に謝罪したのだろうか?
・戦後生まれの私達個人に、何の責任があるだろうか?

…読み進める前に、3秒だけ考えてみてほしい。


2つの問いへの私の答え

私はこう思う。

・日本は謝罪はしたが、認められていない以上、十分とはいえない
・史実や政府の公式見解に対し、
 一国民に責任を追求されると正直つらい
 ただ、国民の"認識"が政治に間接的に影響を与えるという意味で、
 責任がないとも言えない。


日本は謝罪したのか

日本の歴代首相・天皇・長官ら数十人は、
第二次世界大戦に関する謝罪の言葉を述べている [i]。

中には2015年の安倍首相の終戦70年スピーチのように、曖昧な表現もある
これらを称賛する気はないが、
・外交上足元を見られてはいけないと考える国民とのバランス
・日本人が間接的に伝える文化
こうした背景からくる、政治家特有の"含み"のある表現を
100%他の言語に翻訳することは難しいとも思ったりする。

またフィリピン、インドネシア、ベトナムなどに賠償金を支払っている[ii]

言葉、回数、金額、何をとっても“十分”の基準は存在しないものの、
謝罪「してない」とまでは言えない気がする。


謝罪を「した」と「認められる」


ただ謝罪で大事なのはした、しない、ではなく
「認められるか」だ。
認められるためには、謝罪の前後に必要なステップがあると思う。

反省のサイクル

  1. 過去の過ちと原因を”認識”し、

  2.    相手に”謝罪”し、

  3. 行動を”改善”する


1の認識と、3の改善がセットになってはじめて、2の謝罪が認められる。

大戦後は他国と戦争をしていないこと、
軍隊や核を放棄したことなどを考えると、3."改善"も0ではないと思う。
(自衛隊の位置づけなど微妙なものもあるが、後述で補足する)

問題は①”認識”だ。


日本では、小中高の学校の教科書は、
文部科学大臣の検定に合格しなければ教科書として出版できない[iii]。

本当は多くの人が関わり、双方の意見が異なる上に
客観的な証拠が残っていないことも多い史実こそ、
多面的なものの見方が必要だ。

ただ上記の理由から、
学校では、日本的な解釈の歴史しか学ばないし、
学外では、日本語以外の記事や人から意見を聞く機会もなかなかない。


だからほとんどの日本人は戦争を多面的には学習できない。
その結果、私のように
曖昧にしか答えられない人も多いのではないだろうか。


まとめ -わたしたち世代の責任-


やや古い調査だが、
2013年の日本が十分に謝罪したか?という調査[iv]に、
韓国の人たちは1%しかYES
と答えていない。

こうした事実に、私たち世代も責任があるのだろうか。
何ができるのだろうか。

https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/08/13/germany-won-respect-by-addressing-its-world-war-ii-crimes-japan-not-so-much/

②"謝罪"、③"改善"は政府の発信力に依存し、
史実も変えられない以上、
過去の戦争の責任を求められても、私達に直接できることは限られている。


ただそれらの根幹を形成する①"認識"の欠如は、
一国民として責任があるのではないだろうか。

また③"改善"の指標である
大戦後戦争していない、軍隊と核を放棄した
という事実が変わろうとする時、

この“謝罪”はいつだって白紙に戻るということを心に刻み、
政府に警鐘を鳴らす責任はあるのではないだろうか。

来月はベルリンの壁に行く。
自分の目で見て、聞いて、感じて、また何か書きたい。


[i] 竹中佐英子. (2018). 戦争と謝罪表現に関する日中対照研究. 経済論集= The Economic review of Toyo University, 44(1), 107-124.
https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=10570&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

[ii] 外務省. (2020). 「歴史問題Q&A 関連資料 日本の具体的戦後処理(賠償、財産・請求権問題)」.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000100328.pdf

[iii] 法学館憲法研究所

[iv] Pew Research Center. (2013).「Decades after war’s end, some of Japan’s neighbors still see need for atonement」

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