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『デジタル・フレンドリー』なまちづくりで、地方と都心の生活コスト差は?

4月に都農町に移住して、コロナ禍でまちづくりをお手伝いする中で、特にデジタル系ではないながら、必要性に駆られ、ごく自然に町長をはじめ都農町に企画提案した『デジタル・フレンドリー』宣言。

ウチの町でもちゃんとやってます的体裁論や手続き論、最先端テクノロジー自慢ではなく、デジタル化の先にある暮らしがどんなワクワクを生み出すのか、にこだわり最速で実現したいと思います。

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1 地方こそ必要なデジタル化

地方で暮らし、働いてみての実感は、Wi-fiやZOOMがサクサクできる環境のありがたみ。デジタル環境さえあれば、日常的な仕事の質は東京も都農町も変わりません(断言)。

1万人のまちの強みは、全世帯で一斉にスピード感を持って新しい仕組みを浸透できるコンパクトさ。

(人口減少加速、医師不足や教育の質、高齢者の足となる交通)×コロナ、課題山積の中で、デジタル化によって解決できることは素人目にも多いと確信できます。

わかっちゃいるけど、町内にデジタルがわかる人いない、いくらかかるかわからない、外部の専門家にぼったくられる、高齢者たちはアナログに固執する、などの理由で一番必要な地方の町村でデジタル化が進んでいないのはもったいないなと感じ中。

2 地域の若者が高齢者をサポート

全世帯で光回線やWi-fiなど通信環境を整え、タブレットやスマホなどの端末機器を持ち、双方型のポータルサイトで運用していく予定ですが、一番大切なことは、高齢者に若者(孫)世代が個別訪問して、操作方法を優しく楽しく伝えていくことです。

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デンマークで実施されたモデルを参考に、町内の青年団組織とこれから交渉して、若者を募る予定です。応募してくれた若者には、せっかくの機会なので半年近くかけて最新のICT教育を受けてもらい、リテラシーを高めて、起業やキャリアアップのきっかけにしてもらうことを理想に描いています。

以上の取り組みについて、宮崎日日新聞に掲載されましたが、まだ、「宣言」してるだけ。。勝負はこれから!

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3 東京一極集中から地方へ

『デジタル・フレンドリー』宣言を提案しているタイミングで出版された『2030年日本の針路』のテーマは「デジタル×地方」。

僕の場合は、都農町への移住とコロナのタイミングが重なってしまったのですが、地方で暮らすこと、働くことがリアルに始まっていたため、本の中でうたわれていた「30年後、地方の生活コストは東京の約半分」にはリアリティーを持って共感してます。

様々なテクノロジーをフル活用できるようになる将来において、都市部と地方部の生活コストがどう変化するのか、簡単な試算をしてみたので紹介したい。
まず、結論から言うと、現状では1人当たり生活コスト差は30%で地方部のほうが安いが、2050年頃を想定したシミュレーションでは、生活コストが最大45%まで広がる可能性があり、コスト的には地方のほうが圧倒的に住みやすくなることが予想される(ここでいう都市は東京23区を、地方とは町村もしくは人口5万人未満の市を指す)。
このことは、所得の多寡にかかわらず、より多くの人がQoL(クオリティ・オブ・ライフ)を損なわずに持続的に生活することに対して追い風になる。つまり、地方に人を呼び込むうえではテクノロジーの進化を積極的に受け入れ、生活必需コストを最小限に抑えることができるかどうかが、重要な要素になる。
(「第4章 地方創生を後押しする最新テクノロジー」p138)

4 1人当たり月間消費者支出

本の中で、現在と2050年頃で、都市部と地方部で、1人当たりの月間消費者支出がどうなるか、予測を立てています。

本で紹介されていた内容に、僕なりの生活実感を足し合わせてみます。

(1)食費

自分の実感では、スーパーなどで普通に食材を購入する限りにおいては、それほど都市と地方で価格差は感じません。都市のスーパーも企業努力で安いところ増えてますもんね。

ただし、地方あるあるで、とれたて野菜や食材を直接もらえるとか、物々交換が発生すれば飛躍的にコストは下がります。もちろん、自分で米や野菜をつくることも含めて。

個人的に実感する価格差は外食です。そもそもコロナ禍で外食しない、というイレギュラーな要素(今後はレギュラーかもですが)を除いても、これは地方の方が圧倒的に安いです。

都農町で飲み会してもだいたい3,000円あれば足りる感じ。二次会、三次会と続いてもそれほどの出費はないと思います。

(2)住居費

ここは一番わかりやすい差です。本の中でも都市と地方で現状でも46%の差、2050年には63%まで拡がるとされてますが同意です。

ただし、都農町の場合は、そもそも物件数が少なく需要と供給のバランスもあり、1人暮らしで40,000〜50,000円ぐらい?僕の会社に入社する移住組の感想も共通して「思ったより安くない!」。僕もそう思いました。ま、根拠なく期待値が低すぎたってこともあるのでしょうが。。

(3)水道光熱費

この費目は、都市も地方もあまり変わりありません。本でも紹介されているように、地方の強みは土地が広め、太陽光や蓄電池を推進すれば減額が可能かと。

(4)医療・介護費

これは都市・地方とも高齢化で上昇傾向。オンライン診療などデジタル化の導入がもっとも効果がありそうな項目。医師不足が差し迫っている都農町においても、最優先でデジタル化が求められます。

(5)交通費

都市部より地方部の支出が大きい費目の一つ。地方は単純に車が必要。現状は車がないとどこにも行けません。都市部では若者を中心に車離れが進んでいることもあり、現状は都市部の方が低いというのは感覚的にも同意。

都農町でも、これから高齢化が進み免許返納が進むとどうやって高齢者の日常の足を確保していくかは喫緊の重要課題。『デジタル・フレンドリー』宣言でも、主要4項目の1つを交通にしています。

オンデマンドで自宅に来るバスやタクシー、あるいは無人バスなど、まさにデジタル化の効果が期待される分野だと思っています。

(6)通信費

この費目は都市部、地方部共通してこれから増加するものと思われます。

これだけデジタル化を推進するというのであれば必然的な結果かと。

(7)教育費・娯楽費

現状は圧倒的に地方部の方が低コストですが、この費目だけはコストの問題ではなく、あるかないかの論点だと思ってます。

上質な教育・娯楽コンテンツが不足する地方部はそもそも、そのことが若者の都市部への流出に直結します。

オンライン化が浸透して、地方にいても都市と同様にエンターテインメントを楽しめるようになれば、コスト的には変わらないものの、流出が減るため経済効果はかなり大きくなるものと考えます。

『デジタル・フレンドリー』宣言において教育は重要テーマです。

個人的には特に中学校に注目しています。都農町の場合、中学校は1校のみ。町長、教育長、校長の判断で、革新的で自由度の高いしくみづくりにチャレンジできると期待して、本格的に企画提案を始めています。

5 デジタル化を楽しむ

地方創生の大きな目標、「東京一極集中から地方分散」実現のために、デジタル化の果たす役割が大きいことは、本を読んで再認識できました。

一方で、現実的に都農町でデジタル化を推進するにあたり、僕自身は「フレンドリー」にこだわっていきます。

デジタル化、オンライン化というと、カタカナだらけでとにかく難解。都農町でも町長からよく教えていただくのは、小さな町では「わからないから反対」になるという意思決定の構図。

といって、僕もそんなに詳しくわからないデジタルの仕組みを理解してもらうまで町民一人ひとりに説明していくことは現実的ではありません。

よく言われる通り、飛行機がなぜ飛ぶのか説明できる人は少ないし、冷蔵庫を使っている人が全員、なぜ冷えるか説明できるわけじゃない。

大切なことは、デジタル化することで、どれだけ生活が豊かに、楽しくなるのか、ワクワクするイメージを共有できるかどうかかと。

「もう病院で待たなくていい」「家までバスが来てくれるようになって楽」「家にいながら世界中の最先端の教育を受けれて好きなことを深められる」とか。

自分なりに、『デジタル・フレンドリー』のまちづくりの先にある暮らしを想像しながら推進業務を楽しんでいこうと思っています。

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