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これからのまちづくりに必要な経営力

20代から「まちづくり」という、ばくっとして曖昧なことばの仕事をしてきました。地域資本による大型商業集積をつくることも、水族館やホテル、飲食店、コワーキングや子ども施設などの場づくりも、あるいは住民と徹底的に対話をするワークショップ、人のつながりと賑わいを生むイベント、どれも「まちづくり」に関わる仕事でした。

眉間にシワを寄せた定義論・正否論はさておき、どの角度から、どの深さから関わろうとも、それがまちの人のためになるのなら、何でもありだし、そもそも自由だと思ってます。

1. 1万人のまちづくりとベンチャー経営の類似点

いま現在、僕がもっとも力を入れたい「まちづくり」は、その町の人がそのまま住み続けたいと思えるまち、そのために効果的だと思える仕掛けや仕組みを総合的につくって見える化、運用を浸透させることです。

そのような仕事を一番している人って誰なんだろう?とあたっていたら都農町の場合は町長でした 笑。

ということで、町長も含めて商工事業者、農業生産者、医療福祉、教育、自治会など多種多様な人たちとまちの未来をどうするか考えて、動いてる毎日です。最近、これから必要な力が、自分が20年近くベンチャー企業で直面してきた経営そのものに近いな、と思えてきました。

町の経営=政治・行政ですが、都農町のような1万人以下の規模だと、経済の活性化、組織・人材開発、財務戦略など、行政と密接に関係していて、ベンチャー経営っぽいのです。

2. ザクッとした経営フロー

自分なりに日頃やってる経営を時系列に整理してみると。。

①環境変化の先読み ②ワクワクするビジョン ③強みの特定 ④事業計画 ⑤経営資源(ヒト・モノ・カネ・データ)有効配分 ⑥組織・人事デザイン⑦動機づけとパーソナルマネジメント ⑧発信とファンづくり

これを行政主導のまちづくりに照らし合わせると、は形式要件としてそれらしき文書はありますが、②③⑤⑥⑦⑧は不足していがち。

これまでも単発で、②のビジョンメイキング③の強み探しでワークショップのファシリや⑥⑦の教育研修を委託されてきたのはこんな背景からかと。

⑤経営資源の有効配分は、民間の経営に比べてもう一つ整理できていない割に、ここの委託ってなかったように思い、改善のチャンスがあるのではと。

資源が豊富に揃っている大組織(政令指定都市や大企業)では優先順位下がるけど、そもそも資源が少ない小組織においては、配分のさじ加減一つで勝敗の分かれ目になるほど重要だと実感中。基本、ヒトもデータも不足。

3. まちづくりにおける経営資源の優先順位

20代(つまり1990年代)の頃からまちづくりの現場で仕事をしてきていて、時代ごとに経営資源の優先順位が変わってきていると肌で感じます。

ツッコミどころ満載ですが、乱暴に10年単位で整理すると自分的にはこんな感じです

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まちづくりにおいては、いつの時代も、まず「カネ」、そして「モノ(ハコ)」という流れは不変。。企業経営に比べて、圧倒的に「ヒト」と「データ」の優先順位が低い印象です。

首長さんや行政的に、2,3年毎の異動や選挙もあり、議会でわかりやすく説明するためにも目に見える成果として「ハコモノ」主導になりがちなところは良くわかります。。でも、いよいよ、本当に「ハコ」が要らなくなります。

(1) 1990〜1999年

バブルからITベンチャー登場まで。僕は新潟県上越市で国内最大のパワーセンターつくってた時期。大店法改正されてイオンとか出始めたり郊外型のモール全盛。大きいことは良いこと。「ヒト」や「データ」の影なし(独断)

(2) 2000〜2010年

REIT誕生、不動産が金融商品になった10年。僕が都市デザインシステムに入ってからリーマン危機のタイミングで民事再生になるまで。投資家向けにいかにポテンシャル高い土地を開発し、利回りの良い建物を企画設計できるか、デザインの市民権も一気に上がった10年。「ヒト」は一部の建築家や不動産投資のプロなどで優先順位上がった感じ。

(3) 2010〜2020年

リーマン明け、かつ2011年の東日本大震災、その後の地方消滅論から、地方創生が本格的にスタート。コミュニティやクリエイティビティ、リノベーション全盛。建物の優先順位高い印象。前の10年は投資商品としてだったけど、この10年は絆やつながりを誘発する場として。僕は民事再生明け、都市デザインシステム改めUDSとして、リノベや地方案件、ホテルに比重が移っていった10年。運営に代表されるよう、「ヒト」の存在価値高まりました。

(4) 2020〜

そして、これからの10年。新型コロナウイルスも相まり、先々を見通すのは困難ですが、これまでに比べれば「カネ」「モノ」の重要性は相対的には下がり、より一層「ヒト」と「データ」が重要になる、と都農町で日々まちづくりをしながら実感しています。

もう全国的に建物も商品もお腹いっぱいな感じ。特に、人口減少している地方においてはなおさらのこと。

もう一度言いたい、不足しているのは「ヒト」と「データ」

4. これからのまちづくりに必要なこと

これも今、僕が直面している限りの独断と偏見ですが、「ヒト」「モノ」「カネ」「データ」に関してこれから必要なことは

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(1) カネ

とはいえ、これからも「カネ」が真っ先に来ることは変わりないですし、特に新型コロナウイルス対策では湯水のように出ていってしまうのでなおさら。

都農町はふるさと納税に最注力し、累計280億円以上の自主財源を稼ぎ出しました。これは地方の市町村にとって、一つのサバイバル・ロールモデルだと思います。

いかに自主財源をつくれるか、あとは小規模・零細規模の事業者を取りまとめシナジー最大化と、経営資源の再配分を機動的に可能にする地域ホールディングス機能をつくれるか、が目下の僕のミッションの一つ。

(2)モノ

これは今に始まったことではありませんが、建物も商品も、外見的・スペック的なものではなく、裏側のストーリーとECリテラシーに尽きますね。

外観やパッケージなどの表面的なデザインから、つくり手の想いや本気度を端的に表現できる言語化能力とストーリー構築能力が勝負。

(3)ヒト

個人的に一番がんばりたいこと。いない、いないと嘆く前に、外部からの採用をもっと本気で考えてやり尽くす、一人ひとりのポテンシャルを徹底的に高めて、お互いに育ち合う環境を整える。

職種的にはICT人材は別にして、少ない経営資源を有効配分できる経営者と、キャラ立ちしたソロプレイヤーをつなぎ合わせるファシリテーターが最重要だと思ってます。

(4)データ

新型コロナウイルスへの対応からして、日本、各自治体ともに、もっとデータを身近に、フレンドリーにしていく必要があると思います。

デジタルというと、急にスマートシティっぽく、何か地元の高齢者からするとさらにシャッターをおろしたくなるわからなさと冷たさを感じやすいもの。デジタルともっと仲良く、デジタルを介して友だちを増やす感覚で、デジタル化を推進していきたいと思います。


以上、最近、自分がやりたい仕事であり、環境的にもやるべき仕事の整理がてら整理を試みました。できるかどうか考えてるとフリーズしてしまうので、見切りで走り出しますので、またこの場でも報告します。

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