「これからのキャリア&地方で仕事を創る」22事業所が、80人の中学生と車座対話
2021年12月10日(金)、都農中学校の体育館に、町内22事業所が大集合。2年生80人と、膝をつきあわせて車座。
会社のこと、仕事のこと、自分のことを熱く語っていただきました。
1.地方に「仕事がない」問題
1万人の町の課題はたくさんあるかと思いますが、個人的には若者流出に密接に関係する「仕事がない」問題が最重要と認識してます。
いまの中学生に、いわゆるキャリア教育をすると、たくさんの選択肢を知り、その体験をもとめて、ほぼ例外なく東京や都心に行きます。
もちろん、一度町外に出るのは良いことだと思いますし、個人の自由ですが、「地元に残りたい」「戻りたい」と思ってる人たちも一定数いるはず、その人たちにとって「残る、戻る選択肢がない」のが最大の課題かなと。
個人的に、日ごろから多くの事業所や経営者の方とお会いする機会も多い中、自分が想定していた「1万人の町」の会社、仕事より格段と魅力的で尊敬できる経営者が多いな、という実感が、この企画を自信持って進めた理由です。
中学生には、「都農町にはみんなが知らない魅力的な事業所、素敵な経営者がいるんだよ」ということを一人でも多く知ってもらいたく、職場体験「つのワク」と、それだけではカバーしきれない、たくさんの事業所といっぺんに出会う企画「つのワク」サミットをこの一年、したためてきました。
2.「つのワク」サミットの概要
2020年3月に都農町へ移住・起業してすぐにやらせてくださいとお願いした都農中学校のキャリア教育。
高校が廃校になり、町にとって唯一の中学校が、都農町のまちづくりの命運を握ると思ったから。
今年から総合的学習の時間(つの未来学)15時間と、2年生の立志の集い、そして職場体験(つのワク)を担当させてもらっています。
そんな経緯と、「つのワク」サミットとは何かについて、中学生と事業所さんにご紹介をしました。
職場体験は1社しか知ることができない、もっとたくさんの事業所を知ることで、予期せぬ出会いから新しい気づきが生まれる。
いま興味のないことが、将来、一番興味のあることになるかもしれない。そんな可能性に火を点けてほしいと思っています。
そのためには、いっぺんに事業所さんが中学校に集まったほうが早く実現できると思い立ち、3日間の職場体験プログラムの最終日をこのサミットにしました。
サミットは「頂き」。都農町を代表する事業所が一堂に会する頂き。中学生にとっては、ワクワクの頂きになるという想いをこめまして。。
開催は決まったものの、緊急事態宣言などで9月の予定が、12月に延期。
職場体験をするには最悪の月、12月。各事業所が一番忙しい時ながら、22社もの事業所さんがご協力いただけることになり、本当に感謝しかありません。ありがとうございました!!
乱数表みたいになりましたが、中学生は10人前後で1組×8。1組の事業所あたり20分の対話を8ラウンドします。
事業所は前半組と後半組にわかれるので、事業所あたりで中学生の組をまわるのは4ラウンドになります。
中学生は事前に都農町の職場体験専用WEBサイト「つのワク」を見て、22事業所を研究。作戦会議を2時間、入念に行ってから臨みました。
1時間目から6時間目まで、まる一日続いた事業所との話し合い。
先生たちと心配していたことは、良い意味で予想に反し、終始、イキイキと、質問も絶えずに臨んでくれました。
事業所さんとも不安は共有してました。
事業所さんごとに、真剣に準備をしてくださり、前日夜中の2時までカンペをつくってくだっていた事業所さんもいたり。。感謝しかありません。
3.当日の様子
1時間目
前日までの2日間、職場体験してきたことをチーム内で共有。
朝からテンション高く、少し安心した滑り出し。
後半は、あらかじめ事業所さんごとに質問する担当を割り当て、何を質問するか作戦会議をしました。
質問事項は事前に、事業所さんにも共有しています。
もちろん、該当意外の自由質問も大歓迎。
2時間目
今日、直接話を聞けない事業所さんのことを、タブレットで調べ、各チームを担当するつの未来財団とイツノマのメンバーからも情報を集めてみんなで研究、共有しました。
2時間目が半分ぐらい経ったころから、いよいよ事業所さんが中学校に。これまでの経緯や、当日の進め方を僕から説明したあと、一目で誰かわかるように完全手作りのたすきをセット!
3・4時間目
いよいよ「つのワク」サミットがスタート。
前半10分は事業所さんから会社のこと、仕事のことを説明
後半10分は中学生からの質疑応答、フリートーク。
パンフレットを持ち込み熱心に説明!
障害者支援サービスをしながらパンをつくるセサミ・ツノさん、そしていつでも高齢者と楽しくコミュニケーションを図る社会福祉協議会の仕事は、両事業所とも、高齢化率が4割をしめる都農町にとっては重要性大。一人でも多くの中学生に興味を持ってほしいですね。
小さな子どもを預かり育てるだけでなく、地域との交流を大切にしているところが印象的だった尾鈴保育園。子どもへの愛が中学生にも伝わってました。
あおき動物病院は牛やヤギなど、どんな動物でも受けいれて、治療だけではなくしつけまでやろうとする姿勢にすごい!という中学生の感想。動物も笑顔に、自分も笑顔に。
全国のシェアが宮崎で9割をしめる千切り大根を中心とする園青果さん、社員の8割は女性、組織づくりや働き方にも熱弁を。
衛生公社さんは、人がいやがる仕事を率先して引き受け、誰よりも環境のことを考え、町にとって、なくてはならない仕事。
知らなかったんですが。。この社長さんお二人、小・中学生からの同級生!でも30年以上の付き合いながら、こんなに真面目にお互いの仕事を知ったのは初めてで、大人にとってもこの場は楽しい!と。
工場のお医者さん、あらゆるベルト加工技術を駆使して全国から注文が。将来ビジョンも、工場増設、全国に展開!大人が聞いてもワクワクしました。
これは豚も野菜も一緒、つくって育てるのも大事だけど、最終消費者に豚肉を食べてもらうことが一番大事。売れなければ生活をしていけないと。
譲れないことはなんですか?と問われて、都農産のブドウしか使わないこと。今年の天候不良で昨年に比べて生産量が大幅に減ってしまった。他産地のブドウを仕入れて醸造する手もあったが、都農ワインはあくまでも都農のブドウでつくるというこだわりを貫いた。
けいすけ、って創業者(おじいさま)の名前ではないとか。。昔あったニックネーム、セカンドネーム。本名は河野梅治さんだったけど、けいすけを名乗った。人の慶を助ける、という意味で「慶助」。日ごろ、中学生も一番利用しているはずのスーパーだけど、聞けば聞くほど知らないことばかり。
5・6時間目
あっという間に午前中が終了。気持ち新たに事業所さん交代。午後からは新たに10事業所が集合。
インテリアデザイナーを目指す中学生が、家の作り方で盛り上がる。お客さんからきれいな家を建ててくれてありがとう、と言ってもらえることがモチベーション。
「壊れた車をちゃんとなおすなんてホントすごい!、かつカスタムペイントで楽しい仕事もやっててすごい」と感嘆。
センコーアポロさんは、もともと物流の会社ながら、新たに農業に参入、トマトを育てていると聞いて一堂驚き。
他のどの道の駅よりも生産者を支援して、町を盛り上げようとする姿勢に中学生も共感。
0から100まで奉仕。36年間福祉課一筋。座右の銘を聞かれて「挑戦する機会は誰にでも平等に」と。
2歳からは自分のことは自分でできるように。子どもの可能性を信じることが大切。
座右の銘は「やらないで後悔するなら、やってから後悔」都農町が好きで戻ってきたことも中学生たちには重要なメッセージだったかと。
高校3年生で美容師になりたい!と思って実現、自分で店を建てたところに憧れを感じていたようです。美容師に止まらず、養鶏事業とスーツの仕立てなど基本は「愉しいことをする」。自分も中学生のころはなにも考えず「モテたい」ってだけだったというコメントに一番共感してたような。。
せまい世界にとどまってないで、一度町を出て見聞を広めることが大事。でも自分は都農町が好きだから戻ってきた。自分のまちで仕事をすることの大切さは本日の趣旨にもぴったりなお話をいただきました。
好きなことをすることはとても大事。いいところを出し合うこと。保育は人間の根っこを育てること。
4.まとめ
事業所さんから一言メッセージ。聖愛幼稚園の黒木園長が都農中学校在学してた当時は1学年8クラス、全校で1,000人近くいたと聞き、現在220人と比較し人口減少を実感しました。
おおいに外を見てきてから都農町に戻ってこよう!応援する。という心強いメッセージをいただきました。
まるまる一日、次から次へと来る大人たちから真剣な話を聞き続けるというのは中学生にとっては初めての体験だったのではないでしょうか。
先生たちもびっくりするほど、全員、イキイキと話を聞いていたのが何よりもの成果。一つひとつの話は理解できなくても、直感的に興味をもったり、もっと話を聞いてみたい、と思える事業所が1つでもあれば収穫。
小さい町だから、親の代まで遡れば、個人的に親しい間柄の経営者さんもいるかもしれませんが、日ごろはそんな真剣に仕事の話はしないもの。
これを機に、中学生も事業所も、ことあるごとに仕事の話をする機会が増えていくと、いいですね!
少しずつでも、都農町で働くことにワクワクできる町に近づいていければ。