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システム思考で、アイデアを「見える化」する

いかに優れたアイデアでも、実現できなければ、その価値は発揮できません。

アイデアを見える化することで、アイデアを共有化して実現性を高めることができます。

システムモデルを使った「アイデアの見える化」の方法を解説します。

頭の中にあるアイデアを共有化する

問題解決やアイデアづくりでは、優れたアイデアが生まれることがあります。

でも、アイデアは頭の中にあるだけでは、その価値を発揮することができません。

いかに優れたアイデアでも、実現できなければ、その価値は発揮できません。

アイデアを実現するためには、やはり協力者が必要です。

「自分たちの目的のために力を合わせて活動する人々」と協力することで、アイデア実現の可能性が高くなります。

どうすれば、うまく協力することができるでしょうか?

考えたアイデアを、協力者と共有する必要があります。

アイデアを共有するうえで「アイデアの見える化」はとても効果的です。

システムモデルで見える化する

システム思考では、考えたアイデアをシステムモデルで見える化します。

図1.システムモデル

システムモデルのつくり方を説明します。

アイデアには目的があります。その目的を機能で表します。

例えば「空気をきれいにする」アイデアを考えたとします。

その場合、機能は「(空気を)きれいにする」と定義できます。

システムモデルは次のようになります。

図2.システムモデル(機能と対象物)

この時点で「システムの内容(中身)」は不明でもかまいません。

機能対象物が決まっていればOKです。

  • 機能:きれいにする

  • 対象物:空気

これでアイデアが少し見える形になりました。

次は、このアイデアの「効用/ベネフィット」を考えます。

機能の「効用/ベネフィット」は何か?

システムの「空気(対象物)をきれいにする」機能は、どのような「効用/ベネフィット」を提供できるでしょうか?

「システムの顧客」の観点(立場)で考えてみましょう。

システムの顧客とは、システムの購入者使用者といった人々です。

この時点でも「システムの内容(中身)」は不明でもかまいません。

システムは不明でも、その機能だけに着目して「効用/ベネフィット」を考えます。

【注記】
システム(といったモノ)ではなく、その機能だけに着目する方が、固定観念(思い込み)を外して考えることができます。
(注記おわり)

例えば、つぎのような「効用/ベネフィット」を考えることができます。

  • 「効用/ベネフィット」:快適な空間

図3.効用/ベネフィット

これで、かなり見える形になってきました。

これまでの作業を、プロジェクトの協力者(自分たちの目的のために力を合わせて活動する人々)と一緒におこなうことで、見える化が進みます。

次は、顧客のニーズを考えましょう。

どのようなニーズに応えることができるか?

図3の「効用/ベネフィット」(快適な空間)は、どのようなニーズに応えることができるでしょうか?

例えば、つぎのようなニーズに応えることができるでしょう。

  • ニーズ:安全・健康に生活したい

図4.ニーズ

「(空気を)きれいにする」機能は「快適な空間」という「効用/ベネフィット」を提供します。

その「効用/ベネフィット」が「安全・健康に生活したい」というニーズを満足させることができれば、システムは必要とされます。

図5.ニーズを満足→必要とされる

上記の作業を、プロジェクトの協力者や関係者と一緒に行います。

システムの機能の「効用/ベネフィット」が、ターゲット顧客のニーズを満足させ、システムが必要とされるという考えが合意できれば、それをコンセプトモデルにします。

コンセプトモデルを共有する

作成したコンセプトモデルを、プロジェクトの協力者や関係者と共有します。

図6.システムのコンセプトモデル

上の図を、システムのコンセプトモデルと呼びます。

システムのコンセプトモデルを作成した後、つまり『システムの機能の「効用/ベネフィット」が、ターゲット顧客のニーズを満足させ、システムが必要とされるという考えが合意された』後に、システムの内容(中身)の検討を開始します。

機能からスタートするシステムづくり

上記の進め方「システムモデル→コンセプトモデル」には、次のようなメリットがあります。

  • モノ(製品や部品など)ありきではなく、本当に必要な機能を、顧客のニーズから考えることができる

  • シンプルなモデル図で、協力者や関係者との認識を共有化できる

メンバー全員が同じ認識を持つことで、本当に必要な機能を実現できる仕組み(システム)の開発を効率的に進めることができます。

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