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メカニカルストレスによる骨密度の増加について

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たまに、骨密度を高めましょうと勧められることがあると思います。
年齢とともに骨密度の低下が引き起こされると、少しの転倒で骨折してしまったり、気づかないうちに骨折している(脆弱性骨折)等といった様々な弊害が現れ、骨粗しょう症の要因のひとつとなります。
また女性は、閉経後にエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が低下することによって骨密度の低下が顕著に加速していきます。
※ エストロゲンは骨からカルシウムが出ていくことを抑えてくれる役割があるため
したがって、骨密度の低下を防ぐこと、骨量を獲得することは健康寿命を延伸させるためには必要なことであると考えています。

まず、骨密度を高めるためには運動刺激が必要ですが、若年期からスポーツや運動経験を有することで最大骨量の獲得をすることが可能で、高齢期に骨量が減少したとしても高いレベルを維持することが出来ます。また、スポーツや運動でなくても日常生活において身体活動レベルが高ければ高いほど骨密度は増加する傾向にありますね。
更に、骨密度に関しては左右差が生まれることも分かっており、例えば、ラケット競技や利き腕を多く使う競技ではやはり利き腕の方が骨密度は高値を示すようです。

運動刺激によるメカニカルストレスが骨に加わると、骨内において流動電位(ストリーミングポテンシャル)が生じ、刺激を感受した骨細胞が骨形成や石灰化に作用します。
ちなみに、0.1%の骨変形は、骨に加わるメカニカルストレスが1,000マイクロストレインで引き起こされますが、外傷性骨折は25,000マイクロストレインで引き起こされるといわれています。(余談です)

また、ウエイトトレーニング等の高強度な運動は、性ホルモンやサイトカインの分泌を高めてくれるため、結果として骨芽細胞の骨形成機能が促進され、破骨細胞の骨吸収機能が抑制されます。

しかしながら、運動をやればやるほど骨密度は高まっていくわけではなく、逆に運動をやりすぎることで骨密度が低下してしまうという報告もあり、ある一定のレベルで運動が出来ればそれ以上は特に差異は生まれません。
アスリート級のトレーニングを行う鍛錬者の場合は、トレーニングの強度や時間が長く、ホルモンバランスの乱れ等によって骨密度の低下がみられることがあり、健康目的でトレーニングを行うのであれば身体を過酷なストレス下に置くことでむしろ逆効果になってしまう可能性があることを理解しておいた方がよさそうです。

骨密度にフォーカスすることも大切ですが、体力要素を揃えていく内に骨量の増加は見込めると思いますので、ウエイトトレーニングや有酸素運動等、偏りのない身体活動を通してより健康な身体を目指していきたいですね。


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