読書で得られるもの/本を読む人はエラい?

最近は私自身が読めておらず、また私より遥かに読み込んでいる人が数多くいることを知り、今となっては恥ずかしくて言えませんが、就職活動の面接で「学生時代取り組んだこと」を聞かれれば読書とこたえるくらい、読書は好きです。買って読むこともあれば、借りて読むこともありますが、実家に積まれた本は2000冊を軽く超え、それなりに読んでいた方だと思います。

「読書をしていて良かった」と思うことは多々ありますし、今回は私自身が読書から得られたこと、読書のメリットや効果をまとめてみます。

なお私が読書にのめり込むことなったのは、祖父、父親から本を読むように教育されてきたことが大きいと思っています。以下ご参考まで(お気に入りの記事です笑)。

1.純粋に楽しい

まずはこれです。もちろん楽しくない読書もありますが、感情移入してしまうこと、ストーリー展開に引き込まれること、知的好奇心を刺激されることなど様々ありますが、読書それ自体を楽しむことができます。気分転換、モチベーションアップにつながることもありますよね。

2.思考力が鍛えられる

もちろん読む本や読み方にもよりますが、文脈をたどり作者のメッセージを受け取り、自分なりに解釈、取り入れる過程において、アタマが働きます。例えば哲学書など、論理展開を追わないと理解不能になる本では、論理展開を追う力が鍛えられますし、すでに自分の中にある知識、アイディアと結びつけたり、戦わせる過程でも思考力が鍛えられます。

また、筆者の論理展開に追い続ける中で、著者の思考様式を学び、思考パターンを豊かにすることも可能です。「この人だったら、こういう風に考えるのかな?」というあの感覚です。

3.時代、場所を超えた疑似体験が可能

活版印刷技術を発明したグーテンベルクさんは偉大と言わざるを得ません。私たちは読書を通じて、違う時代、違う場所を生きた人の想い、思考を感じることができます。私の好きな小説の一つに「夢酔独言」という、あの幕末から明治初期の日本を支えた勝海舟の父、勝小吉の自伝があります。吉原を好み、喧嘩に明け暮れるヤンチャの日々が描かれているのですが、当時の雰囲気がわかるとともに、いつの時代もこんなしょうもない人はいるんだな、ということがわかり、ニヤニヤしてしまいます。当時の文体も含め、これは読書ならではだと思います。

4.知識量が増える、話題豊富になる

読書を重ねていると知識量が増大していきます。読書で得られた知識は、仕事、プライベートさまざまなところで活きてくるでしょう。共通の本を読んだ人との間には、そこで独特の一体感が芽生えますし、時には「今の表現は〇〇のオマージュだな」など、高度な言葉遊びもできるようになります。

私自身、仕事上で「読書が効いている」と感じたことは何回もあります。就職活動時代、某政府系金融機関の最終面接で司馬遼太郎トークで盛り上がったことがありますし、米人弁護士とマルコムグラッドウェルの著作「アウトライアー」について、「彼が紹介した1万時間でその道を究められるという話は本当か?」という話題で盛り上がったこともあります。新人の頃、取引先のドエライ方と好きな本の話をしたことがきっかけになり、大きな契約をいただいたこともあります。

また、語彙力、理解している概念(考え方)が増えるという効果もあります。単純な語彙力は勿論のこと、考え方、アイディアも蓄積されていくものです。
例えば今でこそ有名になりましたが『人生100年時代』という考え方は当初『ライフシフト』を読んだ人の間でのみ理解、共有されていました。こういう概念、語彙力の積み重ねは、思考の幅、奥行きを変えるでしょう。他にも『ブラックスワン』や、古いものでは『人は見た目が9割』、『ブルーオーシャン』も同じです。

5.でも読書は万能薬ではない

ここまで紹介させていただいたように読書を通じて得られるものはたくさんあります。また私たちは幼い頃からの教育を通じて「勉強する人がエライ」というのと同様に「本を読むことがエラい」という価値観が刷り込まれているように思います。しかし読書は決して万能薬ではありません。読書家、教養があると呼ばれる人でヘンな人、ズレた人は、いくらでも思い浮かぶと思います。読書を過信してもいけません。

6.読んだあとの行動も重要

以前にも紹介しましたが、儒教には陽明学という一派があり、この陽明学においては『知行合一』という概念が非常に重視されます。陽明学は日本の中核的思想である「朱子学」を形骸化した机上の学問だと批判するところから出発しているのですが、とくに「実践」を重視し、中でも上の『知行合一』という「良知」と「行動」は同時にしか存在しえず、分離することは出来ないという、乱暴に言えば「ご託を並べなくていいから、とにかく行動に移せ。」という原理主義的な思想です。

吉田松陰、大塩平八郎などが、その信奉者として有名です(銀魂でいうと松陽先生およびその一門の銀時、桂、高杉ですね)。原理的な意味での実践はさすがに過激ですが、現代において使われる「知識を蓄えるだけでなく、行動に移そう」という意味において、この「知行同一」という観点は重要だと思います。

7.読書だけがインプットではない

読書にのめり込むと「インプット=読書」という思考になりがちですが、そんなことはないと思っています。読書後の行動、アウトプット、そしてそれに対するフィードバックこそ、より実践に根差したインプットですし、他人とのコミュニケーションからも多くのインプットは得られます。

インプットの手段として読書はもっとも手軽かつ、効果的なものの一つだと思いますが、読書だけがインプットの手段でないことは心に留めておきたいところです。

読書のことを書いていたら、ますます本が読みたくなってきました。何とか時間をつくって、積読を解消していきたいと思います。

ではでは。

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読書は、筋トレにも通じるところがあると思っています。一冊一冊の積み重ねが小さいのですが、気づくと大きな財産になっています。






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