文章力を上げよう♯4(ストーリー性、間違えやすい会社名)

前回、文章力を高める意義について、そして3つのW、 “why/who/what” をしっかり固め、ストーリー性のある文章を作りましょう、という話をしました。今回は「ストーリー性」について深掘りしたいと思います。

ストーリー性とは?

ここ数年「ストーリーマーケティング」という言葉がよく聞かれるようになりました。商品やサービスについて、その商品、サービスの機能の価値や優位点を訴求するだけでなく、そのブランドの世界観、体験を付加することで消費者からの共感を生みだし、訴求する、というマーケティング手法です(今となっては古典になりつつありますが、はじめて楠木建先生の『ストーリーとしての競争戦略』を読んだときは、新鮮な感動がありました)。

10年前にマーケティングの授業を専攻していたときには、テキストに載っていなかったとに思いますし、「ストーリーマーケティング」がノウハウとして体系化されたのは比較的最近だと感じますが、概念自体は昔からありました。たとえば、進研ゼミのⅮMには『成績の悪い学生が、進研ゼミをはじめてからバラ色の学生生活を送るようになる(「本当にハッピーエンド?」というものもたまにある)』という鉄板ストーリーの漫画がついていましたし、他にも、本当か嘘かわからない人生大逆転系のエピソードが延々とつづく情報商材を売っているサイトは昔からありますよね(noteにもありますね)。これもストーリーマーケティングの一種ですね。

少し話が逸れてしまいましたが、つまりストーリーには人を引き付ける力があるのです。ビジネス文書においても、マーケティング戦略におけるストーリー性とは少し性質が異なりますが、ストーリー性を持たせることで、ミスリーディングを防ぎ、書き手の意図を訴求することにつながります。

そして、ビジネス文書においてストーリーを生みだすのが、冒頭にも書いた3つのW、“why/who/what”です。そして、この3つを確固たる状態にしておくことで一貫性がうまれます(上記『ストーリーとしての競争戦略』の中で楠木氏は5つのポイント、5cとして①競争優位:Competitive Advantage、②コンセプト:Concept、③構成要素:Components、④クリティカル・コア:Critical Core、⑤一貫性:Consistencyを上げていますが、『ストーリー』として完成させるためには、①~④だけではなく、⑤の一貫性が非常に重要だとしています。これは文章を書く時も同じで、個々の内容、主張が素晴らしくても一貫していないとそれだけで価値が半減します。)

では、前回の続きです。

体裁に気をつける。

もちろん中身が最も重要ですが、体裁が整っていないだけで読んでもらえない、逆に、体裁で高評価を得られることもありますし、体裁にも気合を入れましょう。入れ一度、しっかりとしたフォーマットを作っておけば、使い回せることも多いので、一つ自信作をつくることをお勧めします(使い回しがバレないように気を付けましょう)。

具体的には、まず、行間、行頭位置、フォント、文字間隔を調整して、全体の見栄えを整えてみましょう。会社によってはフォント、文字の大きさが指定、推奨されていることもあると思いますし、そういった方は、早いうちに会社ルールを覚えてしまいましょう。私は、ワードを使用する場合、本文はMS Mincho、タイトルはMS Gothicを使用しています。また、見出しは、1.→(1)→①…といった順番にしています。

パワーポイントの場合、うまい人のものを真似るところから入るのが良いでしょう。私は社内向け、社外向けで使い分けていますが、会社のロゴ、カラーが不要な場合、BCG(コンサル)っぽい色遣い、雰囲気が好きなため、同社の友人からもらったスライドを参考にしています。また、項目が多い場合や数値が頻出する場合は、表やグラフの活用も忘れずに。

簡潔、直接的に表現する。

読み手にとってわかりやすい文章にするため、ストレートな表現を使うことをお勧めします。別記事にも書いていますが、ポイントは以下4つです。
・主語、述語を明確にする。
・二重否定や回りくどい表現は可能なかぎり避ける。
・指示語を使う場合、指示語と指示する内容を近づける。
・語尾を濁さずに、はっきりと書く。(×「・・と思われる」)

同じ意味のことには、同じ言葉を使う。

ビジネス文書の場合、読み手の誤読を避けるためにも、同じ意味の事柄には、同じ言葉を使用しましょう。「同じ言葉ばかり使っていると教養がなく見える」といったことを聞いたことがある人も多いと思いますが、ビジネス文書、特に社内文書は、語彙力、教養をアピールする場ではありません。読み手からすると、似たような意味を持つ、異なる表現が使われていると、何か意図があるのかな?と気になってしまいます。同じ理由から、複数の意味にとれる言葉、表現の使用は、可能な限り避けるのがベターです。

番外編 書くときに間違えがちな企業名

せっかくなので、書面に書くときに間違えがちな企業名をご紹介します。私自身、社会人2年目のころ、このうちのどこかの企業について、思いきり間違えて、恥ずかしい想いをしました。前株(株式会社○○)なのか、後株(○○株式会社)ということと合わせて、間違えないようにしましょう。

エドウイン:デニムメーカーのエドウインです。「イ」を小文字にしてエドウィンと間違えがちです。デニムDENIMのMをひっくり返してWとし並び替えたのが由来です。
キユーピー:マヨネーズ、ドレッシング、謎のキャラクターが有名なあの食品ブランドです。「ユ」は大文字です。
キヤノン:カメラ、プリンターなど、電器機器メーカーです。英語表記でも”canon”のため、「ヤ」は大文字です。
富士フイルム:カメラやOA機器など、大手精密化学メーカーです。「イ」は大文字です。
シヤチハタ:ハンコ、スタンプが有名ですね。「ヤ」は大文字です。

文章力を高めるためのポイントとしてまとめましたが、これらは文書作成だけでなく、口頭での会話など、コミュニケーション全般に共通することですね。少しでも参考になりましたら幸いです。

ではでは。

文章力シリーズは今回で4弾目になります。過去記事を以下ご紹介します。合わせてお読みください。


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