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手のひらサイズの哲学


足るを知る」と古代中国の思想家
老子というおじいちゃんは言いました

僕はこのおじいちゃんが大好きです

正確には「足るを知る者は富む

"満足する"という感覚は
人生を豊かにするという教えです

歴史に残っている偉人たちは
本当に良い事を言いますね

一言の、シンプルな、小さな教えですが
人生をガラッと変えるインパクトがあります


突然ですが質問です
あなたは、いま満足していますか?

どうでしょう?
この飽く事なき資本主義社会では
「足りている(満足している)」と実感する事は
難しいように社会が設計されています

「新作のバッグが欲しい!」
「流行りのインテリアに買い替えたい!」
「広告で見たアレ、発売いつ?」

僕らが生活している街には
誘惑がいっぱいです

ただでさえ忙しくて疲れてるのに
巧みに心理訴求をしてくる広告に踊らされて
抵抗する間もなく新作を買い漁る毎日

ここで質問ふたつめです
僕たちは、幸せになっているのでしょうか?

これもどうでしょう?
実際、毎日がただ過ぎていく感覚はあっても
日々幸せになっていっている感覚は
ないかもしれません

明確な正解がない話ではありますが
今日はゆっくり一緒に考えてみましょう☺︎

タイトルは愛読書「水中の哲学者たち」から
僕の好きな言葉を拝借しました

その意味は本文でお話ししたいと思います


どうやら、今のままではダメらしい

ここ数年でビジネス書や
経済学関連、歴史学関連で
脱資本主義」「ポスト資本主義
なんて言葉をよく見るようになりました

2008年のリーマンショック以降
金融経済のマネーゲームが
「さすがに、やり過ぎてるよね」
「このままじゃ良くないよね」
と学界のみならず世間一般でも言われるように
なりました

ほんとはもっと前に資本主義の暴走は
歴史学的/経済学的な観点から
言及されていたというのが
めちゃめちゃ面白い点なのですが
その話は今日はおいておくとして

とにかく今や僕たち一般人レベルでも
どうやら今のままではダメらしい
という事はどこかで分かってきています

一部では過激な左翼的な思想も
ちらほら言及されるようになりました

いま流行りのSDGs(持続可能な開発目標)
欧州グリーンディールなども
ポスト資本主義の流れを汲んでいますね


この流れを全部総括して
ざっくり簡単に言ってみるとすれば

本当に大切なのって、
 大切にすべきなのって、
 大切にしたいのって、なんだろう?

という人類に投げかけられた難問
凝縮されると思っています

どうやらお金を稼ぎ続けても
幸せにはなれないらしい

持続可能な方法でなければ
地球にはこのまま住めなくなるらしい

難しい問題です

...

今回はここでポスト資本主義について
僕の考えを爆発させるのは止めておきます

本題から逸れて長くなるどころか
書き終えられるかも分かりません(笑)

今日は問題を一緒に再認識する事で
次の話に進みましょう



"足るを知る"その先に

ここでは考えを深めるきっかけになる
冒頭で紹介した老子おじいちゃんの
足るを知る」についてお話しします

いま、自分が"足りている"という事を
自覚して現状に感謝する事で
過剰な消費や欲求(アレも欲しいコレも欲しい)
を自制する

なるほど、随分と身に染みる名言です
反論のしようがありませんね

老子おじいちゃんの思想のほんの一部ですが
一言に凝縮された人生哲学とも言えます


そして、
足るを知った、その先にどうするのか?
という事を考える事にも意味があるのだと
僕は思うのです

少し発展させて考えてみましょう

例えば
足るを知れば、当然足りていない部分も
おのずと見えてくるでしょう

勝者がいれば、敗者がいます

過剰な資本には、搾取されている人がいます

満たされている自分を知れば、
涙を流す地球の裏側の隣人がいる事を
知ることになるかもしれません


少し左傾している思想に聞こえてきますが
そのようなつもりは全くありません

左か右かという話ではなく
"物事の現状を正確に認識する"
という事も「足るを知る」の副産物です


何が足りていて、何が足りていないか知る事は
現実を正確に認識する助けにもなりえると
いう事です

これは古代ギリシャの
僕の好きな哲学思想ストア哲学とも
ロジックの構造は同じです

ストア哲学は
"自分にコントロール出来るものと
 出来ないもの、その区別をつけて
 コントロール出来るものにだけ注視する"

という考えをベースにした哲学です

足りているものと足りていないもの
出来る事と出来ない事
あるものとないもの

言われてみればシンプルな違いですが
ところがどっこい
多忙で煩雑な現実世界では
その区別が曖昧になってしまいがち
です

その区別をはっきり、理性的に
自分の中で認識する事が
自分の人生の満足と幸福に繋がる
一丁目一番地
なんじゃないかなぁなんて
思ったりするのです


ヒッピーが悪いわけではないけれど

話を発展させたついでに
少し脱線させてみます

1960年代後半に
アメリカのヴェトナム反戦運動や
公民権運動を中心とする反体制運動から
生まれたヒッピーという若者たちの

「ラブ&ピース」を提唱し
自然回帰を目指したムーブメントがありました

僕はこのヒッピーを
否定したい訳では全くもってありません

思想に共感する部分もあるし
「ラブ&ピース」は大好きです

これは最初にお断りしておきます


ですが、今のポスト資本主義が
取り沙汰されている社会において
同じ現象に至らないといいなぁなんて
思ったりもするのです


彼らの思想を
真の髄まで理解している訳ではありませんが

良くない現状、社会のあり方、倫理観、
そして正義感を問題意識として共有していた
次の世代の若者たちが

社会に対するアンチテーゼとして
自然回帰、ドラッグを利用した精神世界など
カウンターカルチャーに魅了された
という事だと思います

1970年台以降に衰退していった
ヒッピーというムーブメントは

カウンターカルチャーという特性ゆえに
社会に意義ある新しい価値を創造するという
バイヤスを持たなかったのかもしれません

もちろんこれは
"出来なかった"と"しなかった"
この似て非なる両面を併せ持っていることは
言うまでもありません

ただ、問題意識のある現状を打破するという
目的を持っていたと言うよりも
納得できないから、もう全部やーめた!
という虚無主義に近いのかもしれません

授業がつまらなくて教室を抜け出した学生が
公園にたむろしてタバコをふかしているのと
同じ構図かもしれませんね
(ヒッピーの方々失礼に聞こえたらすみません)

現状に問題意識のある学生は
教室を出て、生徒会室に行けば良かったのか

信頼できる先生の誰かに相談するのか
PTAや教育委員会に力を借りるのか

虚無主義的に諦める事は簡単ですが
大切なのは、今ある枠組み/社会の中で
どのようなアクションを起こすのか

という事だと思ったりしています

それが社会に新しい価値観を提供し、
それに救われる人が1人でもいるのであれば
意義のある活動と言えるのかもしれません


ずいぶんと大きな話になってきましたね(笑)

失礼しました
ここらへんでクールダウンしときましょう

これは僕が勝手に
悶々と考えていたりする事なので

これが"正しい"という価値観を
押し付けたい訳ではありません

価値観は人それぞれですね
ヒッピーと喧嘩したい訳でもありません



脱線した話を元に戻しましょう


手のひらに収まる、そのくらいの哲学


どうやら資本主義に問題があるらしい事は
分かってきています

そこから抜け出す事が難しい事も
分かってきました

抜け出した先に何があるのかは
また曖昧で、ぼやけている感じです

ですが、そんな現実の
足りているものと、足りていないもの
コントロール出来る事と、出来ない事
大切なものと、ほんとは大切ではないもの

その区別を理性的につけた
その先にあるのは

社会に意義のあるアクションなのか
諦めと離脱のカウンターカルチャーなのか

ちなみにここで言う"アクション"は
なにも社会貢献や社会活動という
大きいインパクトのある行動だけでなく

生活レベルの小さい哲学からでもいいのです

老子おじいちゃんの言う
「足るを知る」を生活レベルに落とし込んで
そこからどんな景色が見えるのか

それが大切なのだと思います

"哲学"と聞くと、カントやヘーゲルみたいに
超天才の超難解な哲学体系を思い浮かべて
気が遠くなる方もいると思いますが

一つの思想に固執する必要もない
自分が善く生きるための指針くらいに
考えてもいいのです


昔の偉人たちは核心をついた格言を
沢山たくさん残しているものです

人間社会は変わらないという事かもしれません

そしてその格言には
額面通りの言葉の意味だけでなく
沢山の人生哲学がぎゅぎゅぎゅっと
凝縮されています

古典において重要なのは行間を読む事です

今の時代は本当に便利な時代です

あらゆる思想に傾倒する事なく
(もちろん望んでする分には構わないのですが)
網羅的にさまざまな思想、哲学を学んで
それぞれのエッセンスを抽出して
自分なりに掛け合わせる
事も出来ます

そうやって身につけた
生活レベルに落とし込める自分の人生哲学
手のひらサイズの哲学

僕たちの人生を豊かにして
善く生きる事に繋がると僕は信じています


発展したり脱線したり
とりとめのない回になりましたが
今日はここまでにしたいと思います

最後までお付き合い頂き有難うございました🙇🏻‍♂️




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