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ぼくの「りんかく」2 - 海、食、そして再びタイトル

2023年5月21日(日)に行われる文学フリマに出品する「りんかく」という写真ZINEについて、作者サイドからあれこれ裏話をするnoteです。
「だれかに写真を撮ってもらうと、自分から見えない『輪郭』が見えて立体的になる気がする」。この本は多拠点生活の「りんかく」を集めた立体記録。

表紙を1枚めくった1~2ページ

1-2ページ

余白を感じる紙面からスタート

白いですよね。画面で見るとそう思います。
実際は紙の紙面なので、表紙を一枚めくると余白があり、ゆったりとした空間に写真が1枚配置されているような感覚になります。

この感覚って、実際に体験してみないとなかなか結びつきにくいかもしれませんが、絵本とか小説でよく見る展開方法ですね。何かの始まりをしっとり、ゆっくり感じさせるような見せ方です。

南房総の海

ここで使用しているのはADDress拠点「南房総A邸」近くのスポットです。撮影した当時色々あり、この海を何度も見にきました。アドレスホッピングを本格的に始めようと思い立った土地でもあり、僕にとって思い出深い場所。それを遠い記憶を遡るかのような感じで配置しました。

この写真が最初に来るのは必然だと思ったし、これ以外ないとも思いました。また表紙に対して誰もいない、人を感じさせない写真というのも、「今」と「過去」を対比するように見せたいと考えたためです。

ホッピングの結果、たくさんの出会に恵まれた「今」と、まだレベル1でこれからどうなるんだろうと不安だった頃の「過去」。物語の始まり。りんかくの一番最初の頃。

始まりを感じる3~4ページ

3-4ページ

南房総の海をめくると、次はカレーライスとなにやら文字が。再び人を感じる何かですね。
2ページ目と同じように小さく配置された3ページ目の写真からも、少し遠い過去を、どこかの隙間からのぞいているような感じがします。

別府邸のカレーライス

「なんでもない生活感のある風景がいい、できれば1人ではなくたくさんの人がいることがわかるような」

そうして選ばれた表紙に対して、こちらはちょっと特別感を感じる風景。少なくとも1人ではなさそうです。「誰もいない」から「誰かいる」へ。僕のりんかくにはたくさんの人が関わることになりそうですね。

このカレーライスは、大分県の別府A邸に伺った際、家守さんとサブ家守さんが作ってくれた特製カレーです。

家守、というのはこれまたADDress特有のシステム。僕の言葉で説明するなら、それぞれの拠点を管理しながら、ユーザーと土地を繋げてくれる人。サブ家守は、その名の通り家守さんをサポートする人。詳しくはADDressさんのnoteに書かれています。

スパイスから作ったというこだわりカレーはとてもおいしかった。それは別府拠点でちょっとしたお手伝いをした僕と他のADDressユーザーへのお礼だと、お二人がササっと作ってくれたもの。

こういった経験は各地ですることになりました。逆に、僕がそういうことをすることもなん度もありました。シェアハウスやホテル宿泊、ゲストハウス宿泊ではなかなか出会えない、住んでいるから生まれる関係性。そういう経験をしていることを改めて表現したかったのかもしれません。

再びりんかくの文字

4ページ目には再び「りんかく」の言葉が。一旦写真から離れて「ここから始まりますよ」という目印です。

絵本的な感じというか、文学的な感じというか。僕はこの本を単なる写真集ではなく、写真で語る「文学」として作りたかったので、こういった見せ方をしてみました。

まとめ

余白の多い画面でしたね。始まりのページはゆったりさせたかったんです。それはまるで「あぁ、こんなことあったよな。けどもっと色々あったよな」と、回想に入る前の余韻のような。

こちらはぜひ、手に取って体験していただけると嬉しいです。
文学フリマ36、T-16ブースでお待ちしています。

【概要】
5/21(日)12時〜17時
ブース番号:T-16
入場料無料
会場:東京流通センター 第一展示場・第二展示場Fホール
最寄駅:東京モノレール「流通センター」駅(MO-04)から徒歩1分

詳細はこちらの文学フリマ公式サイトからもどうぞ。
https://c.bunfree.net/c/tokyo36/h1/T/16

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