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けだもののいきざま

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#むかしがたり

海にまつわる話

海にまつわる話

住み着いた家の裏庭には、一列にアダンの木が茂っていて、
それをくぐり抜けたら即ビーチだった。
観光客が来るような場所ではなく、隣近所の人たちが遊ぶ小さなローカルビーチ。
ここはどれほど居ても飽きなかった。
掃いて捨てるほどある貝殻やサンゴ、シーグラスを拾い集めて遊んだ。
遊んでる最中に大便がしたくなり、ナベちゃんに言うと、
おもむろに砂を掘って和式便器を作り、その中にしろと言った。
もしかしたらま

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スキンヘッド家族

スキンヘッド家族

沖縄は、暑かった。
それを理由に、父と暮らしていた頃は長かった髪の毛をバッサリと切られ、私はショートカットになった。
服は基本的に、米軍基地のフリーマーケットで買ってきた、油性マジックの落書入りボロ古着Tシャツにハーフパンツ、キャップ。

眉毛が繋がるほど濃かったこともあいまり、他人から「ぼく」と呼びかけられる事が多くなった。

沖縄の夏は、更に暑かった。
ナベちゃんは、昔負った怪我が原因で髪の毛

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とんで沖縄

とんで沖縄

その頃の母はかなりテンション高く活動的だった。
父とあまりコミュニケーションが取れない中、同年代の人間との関わり合いを求めていたのかもしれない。

ある時、公園の芝生でのんびりしているときに
母はニコニコしながら私に聞いた。
「お父さんとナベちゃん、どっちが好き?」
私は、父のことももちろん好きだが、その時たくさん遊んで貰っていてナベちゃんブームだったので、特に深く考えず
「ナベちゃん!」
と元気

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魔法使いのいる公園

魔法使いのいる公園

幼稚園帰り、母はよく私と妹を自転車に乗せて公園に連れて行ってくれた。

そのうち、私たちのお気に入りのよく行く公園ができた。
そこは少し特殊な公園で、手作りの遊具がたくさんあって、ボランティアの大人が常時数名いた。一緒に遊んだり、遊具を手作りでみんなで作ったり、焚き火をしたり、、などとにかく毎日イベントの絶えない、行けば誰かしら大人がいる公園だった。
もしかすると、常時ではなく、母が大人がいる日を

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3歳児の思考は意外と深い

3歳児の思考は意外と深い

その頃の我が家は、アパレル企業バリバリビジネスマンの父、デザイナーの母、私、3歳下の妹の4人家族だった。
当時の収入についてはよく知らないけど、都心のマンションに住んでいて、私は私立幼稚園に通っていたのでそれなりに稼いでいたんじゃないかと思う。

お母さんは優しくて楽しい人で、忙しくてあまり会えないけど、会った時は甘やかしてくれるお父さん、私はとても愛されていた。

今日は私の一番古い記憶について

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