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3歳児の思考は意外と深い

その頃の我が家は、アパレル企業バリバリビジネスマンの父、デザイナーの母、私、3歳下の妹の4人家族だった。
当時の収入についてはよく知らないけど、都心のマンションに住んでいて、私は私立幼稚園に通っていたのでそれなりに稼いでいたんじゃないかと思う。

お母さんは優しくて楽しい人で、忙しくてあまり会えないけど、会った時は甘やかしてくれるお父さん、私はとても愛されていた。

今日は私の一番古い記憶について書こうと思う。

妹が生まれたか、生まれてないか
私が2歳か3歳あたりの頃、新しいひらひらしたスカートを買ってもらった事が嬉しくて、
そのスカートを履いてくるくると回っていた。

しばらく回るとよろけて転け、その時
運悪くおでこが激突したのは父のオーディオの鋭利な角だったので
私の額からは血が溢れ出した。

父と母は慌てふためき救急病院へ向かう準備をはじめ、私はというと、皆が心配するほど痛くはないけど血がたくさん出てくるので、手のひらで一生懸命額を抑えていた。血は怖い。

割と冷静で「何だか大変なことになってしまった」などと思いながら額から手を外して見てみると
見事に手のひら一面が真っ赤になっていて、手のひらがこんなにも染まる程に自分の頭から流血しているということが怖くなり、母に
「こんなに血が出てるよ!」と興奮気味に伝えようとしたのだが、口から出てきたのは興奮気味の「おかあさん、手からも血が!」だった。

ん?思ってたことと違うこと言っちゃった。
と気づくが早いか、母が大急ぎで私をなだめ
「アハハ血はおでこから出てるのよ〜、手からは出てないから大丈夫よ、拭き拭きしようね。大丈夫大丈夫」
と落ち着くように促された。
いや、それは分かってるんだけど、うまく言えなかったの。とは言えず
諦めて母側のノリに合わせて、ただ
「うん、拭き拭きする」
と言ったのだった。

この事から、私は
子供はよく分からない事を言っているようで、
案外、分かってると思ってる。
思考を言葉にする能力が未熟なだけで。

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