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よいリーダは焦点と方向性を与える

■組織の功罪

組織には功罪がある
人間は必ず負荷の低い方に流れる.
常に負荷の高いところに身を置きたいと思っている人間は少数だ.
綱引きでは100kgf引けるAさんと100kgf引けるBさんが力を合わせても150kgfくらいしか引けない.
人数が増えれば増えるほど手を抜く人間が出てくる.
これは組織の罪である.

生命が脅かされない環境において,それなりに忙しく暮らしていけるのであれば,そのぬるま湯に浸かっていたいと思うのが人の心理だろう.
人間は本質的には怠惰なのだ.

しかし人間は社会性の生き物であり,組織を形成し社会をつくり協力しながら生きていく.
役割を分担し,一人では到底到達できないところまで文明を発達させてきた.
現在手に入る物質的な豊かさは全て組織による功である.
これに例外はない.
※一人の天才が作り上げたとされる発明品でも、それを成す過程では食事を誰かに作ってもらい、住居を誰かに作ってもらっているだろう。
他人の協力を一切排して生きていくことは人間にとって非常に困難であり、ほぼ全ての人間が家族や何等かのコミュニティという”組織”による恩恵を受けたうえで+αの価値を生み出している。

■焦点と方向性

組織の力を最大化するために必要なものは何か.
それは”焦点と方向性”だ.
そして”焦点と方向性”を組織に与える人間をリーダーと呼ぶ.

綱引きに例えるならリーダーは、なぜ綱引きの相手を打倒しなければならないか,打倒した先にどんな未来が待っているかを想起させる.綱を引いてくる相手に対して最も効果的な綱を引くタイミングを与え,100kgf+100kgfが可能な限り200kgfになるように働きかけ、最大限に目的の達成を手繰り寄せるようにする.力を入れるタイミングは焦点に相当し,力のベクトルは方向性に相当するだろう.

ここでリーダーは決して一番の力持ちである必要はなく,極論を言えば綱を引く必要もない.
ただ綱を引く人に焦点と方向性を与えるだけでよい.
しかし 引く という行為を実行するのは綱を持っている人物である.
その意味において,リーダーは支援者であるべきで決断者であるべきではない.
リーダーは,実務を担当する人間が焦点と方向性に沿って決断ができるように支援することが最大の役割ということになる.

もちろん,リーダーがいなくても綱を引くタイミングを合わせ,相手を打倒できるのであればリーダーという役割は不要だろう.
しかし忘れてはならない.人間は本質的には怠惰なのだ.
組織の規模が大きくなるほど個人レベルでは焦点と方向性が定まらなくなり,進むべき方向性を見失う.
組織に焦点と方向性を与え,個人の力を最大限に引き出すことがリーダーの役割である.


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