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病院広報記:パンフレットの紙は絶対にケチるな!

病院で地域連携の部署にいると、他の医療機関から送られてきたパンフレットや広報誌などを目にする機会が多くありますが、どれも判子を押したように似たり寄ったりでうんざりしてしまうのが実情です。
それは逆に言えば、自分の病院のパンフレットや広報誌もそのような目で見られてしまっているということをまずは理解しておく必要があります。

私が広報担当として今の病院に入職した際にまず着手したのが、パンフレット制作の見直しでした。

制作の依頼は印刷会社ではなくデザイン会社へ

広告代理店出身の私にとってパンフレット制作はデザイン会社に依頼するというのが当たり前のことだったのですが、当院では「昔から付き合いのある」印刷会社に依頼するのが当たり前の状況でした。

大量に送られてくる他の医療機関のパンフレットや広報誌のデザインはとにかくダサいものが多いのですが、恐らく多くの医療機関が当院と同じような状況なんだろうということが推察できます。

パンフレットの制作は絶対にデザイン会社に直接依頼すべきです。デザインの仕上がりが段違いで、それだけで他の医療機関との差別化が図れます。

デザイン会社の探し方

先述の通り私は広告代理店出身なのでもともといくつかデザイン会社を知っていましたが、最初はネットで検索して制作実績を見て気に入った会社に連絡して来てもらうというところから始めました。

来てもらうというところがポイント。実際に会って担当者と話をして「頼りないなぁ」「胡散臭いなぁ」などと感じたところに仕事を依頼した場合、たいていロクな物が仕上がって来ません。「ここなら大丈夫そうだ」と感じたところに依頼するようにします。

もっとも、コロナ禍の現状では来てもらうというのは難しいでしょうから、オンライン面談等で担当者を見極めると良いと思います。

文字は極力少なくする

医療機関のパンフレットや広報誌にとにかくありがちなのが、やたらと文字が多いというもの。文字に埋め尽くされたページなど、誰も読みません。

とは言うものの、医療従事者に原稿の執筆を依頼すると、特に医師などは論文かの如くずらずらずら〜っと文字を並べてきます。

ではどうすれば良いのか。

ある程度レイアウトをこちらで作ってしまってから、医療従事者に執筆を依頼するのです。写真や画像をはめ込んで、想定文字数のサンプルテキストを入れて、全体のバランスを整えてから「この部分を執筆して欲しい」と依頼すると、医師も何とかそれに合わせて原稿を書いてくれます。

それでも「こんなんじゃ書き切れない!」と文句を言う医師も中にはいますが、その際はQRコードなどを貼って詳細はWebサイトで読んでもらう形など、とにかく文字数は増やさない方向で何とか説得します(説得できない場合もありますが・・・)。

写真はプロを使う

デザインの質は写真に大きく左右されます。素人が適当に撮った写真ではいくらデザイン会社と言えども限界があるので、必ずプロのカメラマンに撮影してもらうようにします。

ただ、プロのカメラマンに1日撮影に入ってもらうとなると5〜8万円前後はかかってしまうため、どうしても上司の理解が得られない場合は院内で写真撮影が趣味の人を探します。それさえも難しい場合は、ネットで撮影のコツなどを調べて自分で撮影します。

よくあるのが、「原稿と一緒に写真もこっちで撮って送ります」と言われるパターンですが、手術室だろうが何だろうが、その職員が写真撮影が趣味でもない限りは可能な限り自分で撮りに行きましょう。

どういう構図の写真が欲しいかは自分が一番理解しているはずですし、何よりも撮影を重ねることで自分の撮影技術を向上させることができるのです。

紙の質は絶対にケチるな!

最後に、紙の質は絶対にケチってはいけません。ぶっちゃけ、紙の質さえ良くすれば、他の医療機関のパンフレットや広報誌と圧倒的に差別化できます。

「そんなこと言われても紙の質なんてよくわからない」という場合は、とりあえず黙って表紙を

・マットコート135kg
・マットPP加工あり

これにしてみてください。間違いなく、差別化できます。ちょっとシックでしっとりした質感になるので、このパンフレットを受け取った側の人も「お?」という反応になるはずです。

パンフレットは手にとってもらって中を読んでもらわなくては、いくら良いことを書いていても全く意味がありません。印刷費は多少上がってしまいますが、ここだけは絶対にケチるべきではない最大のポイントだと思っています。

最後に

最近は広報に力を入れる医療機関が少しずつ増えてきている印象ですが、まだまだ広報専門部署は置かずに総務課や地域連携室が片手間にやっているところが大半だと思います。

逆に言えば、一般企業がやっている当たり前のちょっとしたことをやるだけで、医療業界においては一歩先んじた存在になれるということでもあるのです。

今回はパンフレットを例にあげましたが、他のことについてはまた改めて書いていこうと思います。

#私の仕事 #医療 #広報 #病院 #仕事

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