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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2021年6月の記事一覧

仕組みで行動を補う

先日、ストレングスファインダーによる自己理解を手掛かりとした、行動変容を考えるセッションを実施する機会がありました。 「ストレングスファインダー(ギャラップ社)」は、34の資質を手掛かりに個人の強み・弱みを発見し、能力開発やチームビルディングに活かすものです。ここで言う資質とは「思考、感情、行動のクセ」のことです。 セッションでご一緒したAさんから、以下のようなお話を聞きました。(以下は、Aさんによる自己理解の試みです。同じ資質を持った人が必ず以下に当てはまるというわけで

【読書メモ】パーパス経営: 30年先の視点から現在を捉える

パーパスを「志」としたところが本書の一番の主張です。 名和高司さんの著書に触れたのは10年以上も前。「学習優位の経営」が最初でした。日本企業ならではの現場で知恵を生みだしていく力こそが重要だという主張が印象に残っています。その時も問題意識として「失われた10年を抜け出したのも束の間…」といったことが冒頭に書かれていました。 本書においては、「失われた30年を経て」となります。そして、コロナ後の世界で、日本企業がどうあるべきかが語られています。その中での大きな主張は、失った

エビちゃんとアイちゃん(2)

前回の投稿では、エビデンスに依存する「エビちゃん」の盲点について取り上げました。物事を判断・意思決定する上でエビデンスは必要。しかし、その有効性には限界があり、過度な依存は前例がないと動けない思考停止状態を生んでしまうかもしれないという話でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n8702413437b9 今日は、「アイちゃん」について取り上げてみます。 「アイちゃん」とは、「アイデアマン」のことです。ここで言う「マン」は、特定の性別の人を

エビちゃんとアイちゃん

先日、ある企業様の幹部会議に参加する機会がありました。そのとき耳にした問いかけのひとつが、「それはアイデアとしては面白いが、確度を説明するエビデンスがあるのか?」でした。これに類する問いかけは、様々な組織の様々な場面で聞く機会があると思います。 Weblio辞書によると、エビデンスの意味について次のように説明されています。-「証拠」「裏付け」「科学的根拠」あるいは「形跡」といった意味で用いられる語 ある仮説や主張を訴えるにあたって、その根拠を説明できるデータや論理、と言い

マネジメントの本質は、感情を前向きに意味づけること

コンピューターエンジニアだった親父と飲んでたときのことです。「計算機は人と違って一緒に徹夜してくれるからなあ」そんな冗談を言っていました。父は、不器用な人間です。部下ができたけどけどうまくいかず、いちエンジニアとしてサラリーマン人生を終えました。 もちろん冗談で言ったわけですが、今思えば、本質をついてると思います。機械には感情がない。だから嫌われることもない。うまく使えば仕事を片付ける事ができるというわけです。 生産性の低い職場を支配する不幸なすれ違い時々、お客様社内の状

人材育成と人材調達

先日、ある中小企業様と打ち合わせを行いました。依頼を受けて、しばらくプロジェクトでご一緒することになった企業様です。同社様のカウンターパートは主にお二人いらっしゃいます。 打ち合わせでは、プロジェクトの全体像・ゴールの確認、当面のタスク内容、キックオフとなる初回のプロジェクトミーティングの段取り、2回目以降数回分のミーティング日時の設定などを行いました。また、プロジェクトの関連資料を後日こちらに送ってほしいというお願いもしました。 そのミーティング中のカウンターパート様の

あなたの会社の社員は使命感を感じていますか?

定期的に社員のインタビューをしているお客様があります。仕事を進める上で課題と感じていることをざっくばらんに話してもらいます。みなさん、基本的にまじめです。一方で、まじめすぎるからか、効率の悪いことがそのままになっている印象があります。目の前のことに対処して片づけていく、そうしないと終わらない、そんな状況です。 結果は出ているが覇気がない業種は、製造業です。部門を連携しながら仕事が進みます。時に互いに突発的な要望が生まれます。その内容が曖昧だったり、矛盾したりすることがありま

メンバーに継続を促すリーダー

先日、ある会社の社員数人の方にお話を聞く機会がありました。同社様では中小企業ということもあり、社長と社員の距離が近いことが印象的です。 同社様では、社長が頻繁に社員の役割を見直したり、担当業務を変更したりしているそうです。社員の希望、強みや特徴、会社の方針を加味しながら、社長なりの最終判断に基づいてのアクションです。そして、社員に対して、自分の仕事を継続させて取り組んでもらうよう、社長が率先して働きかけているようです。 社員の方からは、次のようなお話を複数人からお聞きしま

新興国の財政はコロナに耐えられるか?

デフォルト常習犯のアルゼンチン、10度目のデフォルト回避昨日の日経の夕刊にアルゼンチンのデフォルト(債務不履行)が回避されたという記事が掲載されていました。 アルゼンチン政府は22日、5月末が期限で不払いだった日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)に対する債務について、2022年3月末まで交渉を継続することで合意したと発表した。10度目のデフォルト(債務不履行)は回避したが、外交筋は「完全にデフォルトのリスクがなくなったわけではない」と指摘する。(日本経済新聞)

誤った指標を追い求めたローソン

平均日販でファミリーマートがローソンを逆転コンビニの重要なKPIである平均日販(1店舗当たりの1日当たり平均売上高)でローソンがファミリーマートに抜かれ業界3位に転落しました。平均日販1位のセブンとは大きな差がありましたが、長年2位だったローソン関係者としてはとても衝撃的な出来事だと思います。 ローソンの稼ぐ力が鈍化している。2021年2月期はコンビニエンスストアの1店舗当たり売上高(日販)がファミリーマートを下回った。セブン―イレブン・ジャパンも含めた上位2社より少ない店

「縦」と「横」の視点でデータを見る

6月20日の日経新聞に、「資源、高まる供給リスク」という記事が掲載されました。「銅は20年6月上旬比で7割高、原油は2倍」の値動きとなっていて、価格が高騰しています。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~鉱物資源などの国際商品価格が2020年半ばから急上昇している。需要の急回復に加えて鉱山操業や物流の停滞が足元の需給を逼迫させた。短期的な要因が資源高をけん引するが、上昇は一過性にとどまらないとの見方も出ている。投資抑制や脱炭素をにらんだ需要増といった中長期の構造要因がある。

賞与データの推移

6月18日の日経新聞に、「中小3割、夏季賞与「増額」」という記事が掲載されました。ちょうど今、複数の企業様で賞与制度の見直しに関わっていますが、全企業の賞与水準の動向は意識するデータになります。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~エン・ジャパンが中小企業を対象にした調査によると、2021年度の夏季賞与を支給する企業のうち、28%が前年から「増額予定」とした。新型コロナウイルス禍の長期化に対する懸念が和らいでいる。景況感回復への期待からボーナスを増額する傾向にはずみがついた

社内説明会での対応

企業訪問をしている機会などで、社員に対する経営計画や事業再編についての説明会、人事制度変更についての説明会について話題になることがあります。経営者様から、そうした説明会での運営のあり方や説明内容について意見を求められたり、内容を一緒に考えたりすることがあるからです。先日も、ある企業様にてそのような場面がありました。 そのような場面で時々出てくるのは、「説明会の時間はどれぐらいで設定するのが適切なのか」という質問です。これに対して、決まった解答はありません。伝えるべきこと・伝

ホンダが一番利益を稼いでいるのは四輪事業でも二輪事業でもない事実

ホンダ収益性改善が急務昨日の日経新聞に自動車メーカーホンダの利益率についての記事が掲載されていました。 ホンダは19年、将来の連結営業利益率を7%(国際会計基準、今期見込みは4%)に高める計画を公表した。開発や生産に巨費のかかるEVへの移行を進めても、これまでの収益目標は撤回せず、脱炭素と収益力向上の2つの目標を同時に追うということだ。競合の営業利益率はトヨタ自動車が8.1%(21年3月期)、独フォルクスワーゲンは4.3%(20年12月期)という水準だ。(日本経済新聞)