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社内説明会での対応

企業訪問をしている機会などで、社員に対する経営計画や事業再編についての説明会、人事制度変更についての説明会について話題になることがあります。経営者様から、そうした説明会での運営のあり方や説明内容について意見を求められたり、内容を一緒に考えたりすることがあるからです。先日も、ある企業様にてそのような場面がありました。

そのような場面で時々出てくるのは、「説明会の時間はどれぐらいで設定するのが適切なのか」という質問です。これに対して、決まった解答はありません。伝えるべきこと・伝えたいことを十分に話せて、聞き手である社員の側からの質問にも十分答えられる時間、というのが答えになります。

さらに出てくるのが、「あまり長くやりすぎても社員も疲れるだろう」「長すぎるといろいろな質問が出てきて紛糾することもありそう」「質問にはいくつか答えたら適当に切り上げたほうがよいのではないか」という質問です。私の意見はノーです。私がその質問を受けた場合は、徹底的に時間をとるべきだという回答をしています。

よく芸能人や著名人等の不祥事に関する謝罪会見などで、質問が続いていても途中で去って行ったり、「予定時間になりましたので以上で終了します」と言って打ち切ったりするのを見かけます。たいていよくない印象を残して物議となるものではないでしょうか。それと同じ結果となるわけです。

対応が高く評価された著名人の会見として、中居正広氏のジャニーズ退所会見がよく挙げられます。東洋経済オンラインを参照すると、以下の点が高評価の要因とされています。

・記者たちよりも早く会見場に入り、談笑したり、カメラテストに協力したりと、スタート前からなごやかなムードを作っていた。(記者が揃った後で、最後に登壇者が出てくるのが暗黙のルールらしいが、その逆だった)

・会見冒頭、「“退所ロングインタビュー”を開催したいと思います。よろしくお願いします」と独特のフレーズを使用した。“退所会見”というフレーズを避けることで、「堅苦しくない感じでお願いします」という記者たちへの率直なメッセージを込めた。2時間に渡る長時間の会見を続け、切り上げることなどなかった。

・不仲説について聞かれると、「『何で知ってるんだろう?』とは思いました。『よくご存知で!』って(笑)。別にいいんですよ。・・・」など、SMAP関連も含めすべて包み隠さず答え切った。

・新しい地図について聞かれたときも「『頑張っている』と思うし、『好きなことをやっている』と思うので何の心配もしていないですね」、木村拓哉さんへの思いを聞かれたときも「歌も芝居もやっていますし、『自分の好きなことをできているんじゃないかな』と思います。『思いを伝えること』っていうのは、『直接お話することじゃないかな』と思っています」とファンを喜ばせるコメントを続けた。

・世間の人々から、“SMAPの中居くん”と呼ばれることについて。「『“SMAPの中居くん”でいいですよ』という感じです、全然!(中略)否定することもないし、『解散したよ』とも言わない」と明るく言い切った。解散後、メディアが「SMAP」というフレーズを避ける風潮があってファンを悲しませていたことへの、中居さんの配慮あるコメントだった。

・退所のタイミングについての回答内容から、恩師・ジャニー喜多川さんの死去や後輩の退所に配慮したことが伺えた。

・『この人には言いました。この人には言っていません』となると、『どうしてこの人に?』『何で言ってくれないんだ、おまえ』……とひずみが生まれる、ということで、退所について事前に誰にも話さないという対応をとり、公平性を守った。

・総じて、ファンやSMAPのメンバーから、ジャニーズ事務所の先輩・後輩、業界内外の友人・知人、仕事関係者まで、全方位への配慮が見られた。芸能事務所からの独立では異例と言える「すべてのレギュラー番組が継続」できたのは、このように全方位への配慮ができる人柄あってこそのものだろう。

冒頭の、社員に対する説明会も、この会見と同じようにあるのが理想ではないかと思います。この会見と逆の説明会だと、次のようなイメージです。

・社員が全員揃った後で、最後に社長が現れる。(それ自体は悪くなく普通だが、上記の中居氏のような対応だと理想)

・質問しにくい雰囲気をつくる。

・「ショート説明会」で短い時間設定とし、質問の途中で切り上げる。

・質問に対して、答えること、答えないことを区別する。

・発言内容から、社員への配慮が感じられない。

もちろん、無意味に長時間をかける必要はありませんが、会社にとっての重要事項を社員に理解してもらいたい場であれば、切り上げるように終了するのはよくありません。時間に制約のある人もいると思いますが、説明者側からの必要な説明が終わったら、退出したい人は退出自由にするなどもできるでしょう。

今後の組織マネジメントが好転するかどうかを分ける結果の場になるのなら、説明会に十分な時間をかけるのは意味のある時間投資だと言えるはずです。内向けの説明会であっても、十分な説明を行いたいものです。

<まとめ>
重要な社内説明会は、徹底的に時間をとりすべての質問に答えるべき。


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