【カレー理論】カレーにおけるトマトの役割と使い分け
「カレー作りにおけるトマトはスパイスより大事」
※ある程度カレーを作りなれている人向けの内容かもしれません。
※あくまでコバタロの持論なので、客観的に正しくないことも含まれています。「こういう考え方もあるんだ」というくらいのスタンスでご覧ください。
忙しい人は目次から「まとめ」までジャンプ!
前置き
カレー作りが好きな皆さんこんにちワダ。
スパイスカレー作りでは当たり前のようにカレーにぶち込まれるトマトですが、今回は「そもそもトマトは何のためにカレーに入れるのか」コバタロなりの持論を書いていきます。
前半は「カレーにおけるトマトの役割」について
後半は「各トマト製品の違いと使い分け方」について
書いていきます。
カレーにおけるトマトの役割
簡潔に書くと、こんな役割があると考えています。
・味のベースを支えてくれる(うま味)
・味に輪郭を作ってくれる(酸味)
・味に厚みがでる(甘味)
・香りに立体感を出してくれる(青臭さ)
ここからは各要素の説明。
うま味
カレーにトマトのうま味が加わると土台の味が濃くなります。出汁のような存在。
トマトには"グルタミン酸"というアミノ酸(うま味成分)たくさん含まれている。うま味インフォメーションセンターによると、トマトは(ドライトマトを除いて)野菜の中で一番グルタミン酸が含まれています。つまりトマトはうま味の塊。
酸味
カレーにトマトの酸味が加わると味の輪郭がはっきりとします。
トマトの酸味はクエン酸という酸で、加熱に強いのが特徴です。酸味を和らげるには約175℃(※所説あり)まで温度を上げる必要があります。
煮込むだけでは175℃まで温度が上がらないので、酸味が分解されずいつまでも消えない。スパイスカレー作りで「カレーが酸っぱくなってしまった」という失敗の原因はほぼこれです。酸味を和らげたい場合は煮詰めてしっかり炒めることが重要です。
逆に酸味を活かしたい場合は煮込みや仕上げのタイミングで加えると良いです。
甘味
カレーにトマトの甘味が加わると、味に厚みがでます。糖度の高いトマトを使ったときに顕著にわかります。
トマトの甘味はブドウ糖(グルコース)果糖(フラクトース)という2種類の糖で構成されています。
砂糖と比べて甘味が口に残りにくくスッキリしているという特徴があります。
青臭さ
カレーにトマトの青臭さが加わると香りに立体感が生まれます。加熱するとだんだんと飛んでいきます。
青臭さ・土臭さについてコバタロは感覚的には理解しているつもりですが、科学的なことはなんもわかっていません。許してください…。
ちなみにトマトの青臭さの正体は「3-ヘキセナール」らしいです。詳しいことはこちら。「トマトはなぜ青臭い?|神戸大学」
各トマト製品の違い・使い分け
トマトと一口に言っても、生のトマト以外に様々なトマト製品があります。
その中からカレーによく使われる「生トマト・トマトペースト・トマト缶」の3種類に絞ってそれぞれの特徴と使い分け方を解説していきます。
簡潔に書くと、こんな特徴があると考えています。
・フレッシュさ、家庭的な素朴味なら生トマト
・リッチなレストラン味ならトマトペースト
・手軽さと安定感ならトマト缶
ここからは各トマト製品の説明です。
生トマト
〇特徴
・他のトマト製品にはないフレッシュな青臭さ
・熟成度や品種による個体差が大きい
〇使い分け
しっかり炒めて使うと家庭っぽい素朴な味のカレーになります。仕上げに加え、あえて火を通しすぎないことでフレッシュさを強調したいときに使うのもおすすめ。
トマトの質次第でかなり味が変わるので、お店など毎日安定した味を出したい場合にはあまり向いていないかもしれません。
〇使用例
野菜系のカレー・さっぱり系のカレー・フレッシュさを活かしたカレー
トマトペースト・トマトピューレ
〇特徴
・品質が安定しているので味のブレが少ない
・クエン酸が添加されていないので酸味が少ない
・濃縮された影響かフレッシュさや風味の豊かさはない
〇使い分け
ドロッとしたテクスチャーのカレーにコク出し・隠し味に使うと効果的です。レストランっぽいリッチな味になります。
〇使用例
肉系のカレー・濃厚系のカレー・レストランっぽいこなれた味のカレー
おすすめのトマトペースト
安定のカゴメ。小分けパックで未開封なら常温で保存できます。半端に余ったパックも輪ゴムで留めて冷凍しておけばかなり保ちます。
トマト缶
〇特徴
・ペースト同様、品質が安定しているので味のブレが少ない
・生トマト・トマトペーストと比べて安価
・クエン酸が添加されているので他のトマトに比べて酸味が強い
・香りにトマト缶独特のクセがある
〇使い分け
比較的安価で品質が安定しているので、お店など大量生産かつ安定した味を出したい場合に適していると思います。
クエン酸が添加されている分酸味が強いです。しっかり煮詰めるとクエン酸が分解され酸味が和らぎます。
香りに独特のクセがあるので、他の食材や調理法でクセをマスキングして使うか、あえてそのクセを活かすような使い方が求められます。
個人的には、生トマトとトマトペーストの中間に位置する中途半端な味で、かつ風味に独特のクセがあるため、使い所が難しいなと思います。
僕は普段作るカレーにはほとんど使いません。
〇使用例
大量調理かつ味を安定させたいカレー・あえてトマト缶の味のクセを活かしたいカレー
おすすめのトマト缶
個人的お気に入りのトマト缶。缶独特のクセが少なく、酸味が少ないのが良いです。スーパーで売ってるやつよりやや高めですが、価格差以上の美味しさでコスパ良いです。
その他トマト製品
「トマトジュース・トマトパウダー・あらごしトマト・ドライトマト・クラッシュトマト・フルーツトマト」など、他にも挙げればたくさんあるのですが、どれも使いどころが限定的すぎるので今回は割愛させてください。それはまたいつかの記事で書くかもしれません…。
まとめ
色々書きましたが、とりあえずこれさえ覚えておけばトマトの扱いはなんとかなる!はずです…!
最後に
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それではまた別の記事で。フィルミレンゲ~。
おまけパート
トマト製品の換算表とトマトにまつわる実験レポート
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