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校正のバイト

先日、御手洗育さんの記事を拝読し、これは観なければ、と思った番組がありました。
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NHK 『プロフェッショナル 仕事の流儀』で校正者・大西寿男さんという方を知りました。

まさにプロ中のプロ。
出版界に、こんな縁の下の力持ち的な方がいらっしゃることに目を瞠りました。


以前、記事にも書きましたが、わたしは校正のアルバイトをしていたことがあります。
今思えば、素人に毛が生えた程度のほんの下働きでした。

きっかけは、通信教育の社会科教材の校正のお仕事で、ZとB、二つの会社でお世話になりました。


自分でいうのもナンですが、Zに関しては、結構貢献できたのではないかと自負しております。

当時出回っていた教材の中にも、とんでもない、あり得ないようなミスをいくつか発見しました。
そして自分の書いた文章がテキストに採用されるとうれしかったです。

社会科の教材なので、文章の巧拙とかは一切関係ないです。

Zの営業所が撤退してから、在宅でB社の仕事を始め、並行して国会議事録印刷の下請けの印刷所にも行くようになり、暇な時期には、在宅で古い作品を電子書籍に変換する際の校正の仕事を始め、そこでご縁ができた校正専門の会社から仕事が回ってくるようになり……。

そんな流れで、細々とアルバイトを続けました。

都内にあるその会社に時々呼ばれて仕事をするようになると、今までの校正はいったい何だったの?
校正とはこんな仕事だったのか!
と思い知ることになりました。

この会社での仕事こそ、プロフェッショナルな仕事で、とてもわたし如きの手に負えるものではありませんでした。

誤字脱字を見つける、文法的におかしな言い回しを見つける。
その程度なら多分出来たでしょう。

けれども、ファクトチェックなどはキリがありません。
Wikipediaはまったく信憑性がないので、使えません。

また、別の言い回しを考えるとなると、あーでもない、こーでもないと際限なく浮かんできて、前へ進めません。

最も苦手なのは、整合性、辻褄が合わない箇所を指摘すること。

底が浅い人間には土台無理でした。

在宅でひたすら誤字脱字を見つけるだけの仕事はクイズみたいで楽しかったです。
本を読んでいるだけでお金が頂けるのですから。

在宅仕事では、時間のある限り、何遍も何遍もゲラを読み返しました。
筆者の文体が体に染み込むほど繰り返し読みました。

校正で一番大事なのは、複数人の目で見ることです。
やはり思い込みがありますので、何度見ても自分では気づかない箇所があるのです。

今は校正専門の会社とは縁が切れましたが、翻訳物、NHKテキスト、文芸書や雑誌の校正を引き受けているだけあって、皆さん実力があり、物静かで落ち着いた雰囲気の方ばかりでした。

仕事では一人前にはなれなかったけれど、ここで仕事をしたことは、貴重な経験になりました。


hohoさんのイラストをお借りしました。
いつもありがとうございます。