集中力を底上げする”ポモドーロ”
教育コンサルタントなんて大げさな肩書で活動していると、なにかと「勉強できる人とできない人の違いは何か」を尋ねられることがあります。
同じ時間、同じテキスト、同じスタイルで勉強したとしても、『その結果に違いがありすぎるのが不思議だ』というわけです。
そういう時、たいていの保護者の方は「うちの子は勉強に向いていないのでしょう」と結論を下します。
確かに、勉強すること自体に”向き不向きがある”のは事実でしょう。
でも、私の結論を言わせてもらえば、その差は『熱中度』の差でしかありません。
つまり、その子が勉強に「どれだけ熱中できているか」ということです。
その『熱中度』こそが、その子の集中力の持続時間と度合いを決め、テキストからどれだけ効率的に吸収できるかを左右します。
そしてその結果として、その子のテストの点数に影響をあたえるのです。
これが、同じ時間、同じテキスト、同じスタイルで勉強しても、学力に差が出てくる理由なのです。
集中力の限界
そもそも、人間はどの程度の時間であれば集中していられるものなのでしょうか?
もちろん、個人差やその対象が当人にとってどれほど重要かでその時間はまちまちでしょう。
きっとみなさんも「好きなものならいくらでも集中できる」という体験をしたことがあることでしょう。
実は人間が集中できる時間について面白い資料があります。
アメリカ警察の突入部隊である”SWAT”の対応マニュアルによれば
”狙撃手は30分で交代とする”
と記載されているのです。
このマニュアルによれば、人質事件などの現場において極度の集中力を必要とする狙撃手の運用は「30分が限界だ」ということになります。
適正と才能を併せ持ち、高度に訓練されたプロフェッショナルであっても、確実に成果を期待できるのはせいぜい30分ということは、私たち普通の大人が、さらには子どもであれば、集中できる時間なんてたかが知れていることでしょう。
このように”集中力の限界点”は意外に低いのです。
よく「一日8時間勉強している」とか、「3時間を1セットで繰り返している」という人がいますが、人間は思ったより集中力が持続しない生き物であることを考えるとあまり効果的な勉強法とはいえなさそうです。
『短時間の集中した勉強は、長時間のだらだら勉強に勝る』
昔から受験業界でささやかれているこの言葉は、どうやら真実なようです。
キッチンタイマーから生まれたアイデア
長時間の勉強があまり効果的な勉強スタイルとは言えないのであれば、どうすれば集中力を維持しつつ、ある程度の学習量を確保できるというのでしょうか。
集中力を維持したまま勉強するコツは、「ONとOFFを意識すること」です。
昔からよく「勉強にもメリハリをつけろ」といわれています。
(1)短時間の意識的な集中状態を意図的に作り出す
(2)一度完全に集中状態を解除する
(3)再び短時間の集中状態に入る
この(1)から(3)の繰り返しが集中力を維持するカギです。
実はこの短時間学習法、知ってる人は知っている”ポモドーロ”というテクニックなのです。
イタリア語で「トマト」を意味するこのテクニックは、実はキッチンから生まれました。
このテクニックの発案者が、トマトの形をしているキッチンタイマーを愛用していたことからこの学習法に”ポモドーロ”という名前が付けられたのです。
トマトはトマトでも”ポロモード”ではありませんよ。
基本的な”ポモドーロ”のセットは、『集中時間25分/休憩時間5分』となっています。
学習者の年齢や体調、タスクの内容などを考慮して時間は増減させてもいいでしょう。
でも、集中時間があまりに長くなりすぎないように気を付けてください。
この学習法は、短時間集中することに意味があるのです。
だらだら勉強よ、さようなら!
”ポモドーロ”はやってみないとわからない、やった人しか実感できないとても効果的で効率的な学習法です。
学習量をこなす必要のある受験生は、「一日に何セット以上する」と決めて学習量をコントロールしてください。
最近ではこの”ポモドーロ”を簡単に繰り返せるスマホアプリも多く公開されています。
こういったテクニックもデバイスも、利用できるものはなんでも利用しながら『あなたの夢』へ進んでください。
どんなものでもそうですが、目標に向かって前に進むのにとにかく時間をかければいいという考え方は現実的ではありません。
可能な限り短時間で、最短の距離を、最速で進む。
そのためにどうすればいいかを考えてみてください。
今回紹介したこのテクニックが、あなたの目標への近道となることを願っています。
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