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「なんとなくなんとなく」にたどり着いた、サポーターという名の応援者が、現状のガイナーレ鳥取に思う、かもしれないこと

昔、ザ・スパイダースの有名な楽曲にこういう曲があった。

堺正章さんや井上順さんを輩出し、かのムッシュかまやつことかまやつひろしさんがいたことでも知られるザ・スパイダース。
曲は、そんなかまやつひろしさんが作っていて、スパイダースでこの曲のリードヴォーカルをやったのが井上順さんだ。

私はリアルタイムでスパイダースを知らないので、この曲は後年、自動車のCMで井上順さんのセルフカヴァーを聴いたのが最初だった。

近年では、数年おきにカヴァーされてCMにも起用されたりするので、耳にしたことがある人もいるかもしれない。


さて、そんなこの曲「なんとなくなんとなく」であるが、ある意味、私の人生を言い表しているかもしれないと思っている。
特にサッカーを見るという立場に於いて。

小学校高学年の頃、なんとなくサッカークラブに入り、試合には出なかったけど楽しかった思い出がなんとなくあった。
その後、中学校時代に体育の授業でサッカーやっててGKとしてプレーしてる最中に、右の手首を捻挫した。それ自体は痛かったけど、なんとなく乗り切れた。
サッカーになんとなく悪い気はしなかったティーンエイジャー時代を経て、やがて社会人になった頃にJリーグが始まった。
とは言え、近くに試合が来ないのでまれに来るPSMを見に行ったのが最初で、その後、鳥取で試合やると知り、観に行った。
その辺の顛末はここら辺に書いたのでよろしければご一読あれ。

それから時が経ち、SC鳥取の試合を観に行くことになり、気がついたらなんとなく応援に加勢するようになった。
それはガイナーレ鳥取となってからもなんとなく続いていた。病気を理由として2013年12月8日の試合を最後に応援行為を辞するまでは。

今はカメラを持ってなんとなく試合風景や周りの様子を撮りながら、スタジアムを楽しみに行っている。


他人様からはサポーターなどと呼ばれているが、実際のところ私にそんなおこがましい意識は微塵もない。

私はただの応援者。それだけだ。

今の私にできる形でサッカーを楽しみに行っているだけ。
スタジアムでアクションしたり歌ったり叫んだりはできない(後二者はCOVID-19による制限もあるのでそもそも今は無理だ)が、それはできる人がすれば良い。

私は私のやり方を他人に強要しないけど、他人も私に自分たちのやり方を強要しないでほしい。ただそれだけ。
スタジアムでなんとなくの時間を過ごし、サッカーを観て、喜怒哀楽に包まれながら時間を体感する。それ以外に何の至福があるだろうか。


スタジアムは戦場ではない、と思う。スタジアムは非日常を楽しむ場所。私はそういう認識でいる。
戦術とか戦略とか、そういう詳しい小理屈系のことは、それが好きな人に任せたら良いだろう。
観戦のスパイスとしてはもちろん有効な要素となるので、それを否定するつもりはない。私も、それを聞きたいと思う時は積極的に聞くようにしている。

一つ気をつけたいのは、試合の意味付けは観戦する人によって違うという点。チームとしてはもちろん、選手個々でも違うかもしれない。
私たちと選手とは思いが異なるかもしれないのだから、そこには注意したい。
普段から発信力のあるような明確に意思のわかる選手は良い。
しかし、選手にも意思表示の得意でない選手がいるし、そういう選手の真意までは、私たちにはわからない。

そういう選手の意思を勝手に読み取ることはできないし、すべきではない。
私たちができるのは、せいぜいそれを想像することまでで、それをその選手に押し付けることはできない。

チームやそこに属している選手は、私たち応援者の操り人形ではない。彼らまたは彼女らも、意思を持った人間だ。
私もかつてゴール裏で応援行為をしていた頃には、時折彼ら選手たちに怒りをぶつけたことはある。
だが、彼らは私よりはるかにサッカーの技能に優れている、という以外は、私と同じ人間だ、ということに、あとで冷静になってから気がつく。
そんな彼らが、試合後の興奮も冷めやらぬ中で、見ず知らずの私から、いきなり理不尽な罵声なんか浴びせられたら、ムカつくに決まっている。
確かに私も興奮はしているが、だからと言って何を言っても良いわけではない。

私たちは彼らと共に戦ってはいるだろうが、単純な勝ち負けの結果以上に大切なものも間違いなくある。それを共に見つけていくことも、私たち応援する者の務めだと思う。

今はそんなことを考えている。

そのためには、なんとなくスタジアムに行って、なんとなくそこでの時間を過ごし、ユルい気分に浸りながら、時間を過ごすのが良いと思う。


ガイナーレ鳥取はこの前、こういう決算報告をした。クラブの現状は、私たちが思っている以上に大変かもしれない。

とりあえず、今季私は試合会場に全く行けていない。理由は足の負傷が思わしくないためだが、それが何とももどかしい。
正直なところ、這ってでも会場に行きたい気分ではあるものの、それは非現実的なので、逸る気分を抑えている。
まあ、よくしたもので、一部の試合が中止になってしまったが。

ともかく、会場に行かないことには、会場の様子がわからない。それがわからないと、何も言い様がない。
会場の様子を見てからいろいろと考えたい。

ともあれ、会場に行って試合があれば、勝ち負け、或いは引き分けでも、何らかの結果は必ず出る。それはそれで仕方がない。
ただ、チームがこれからもそこにあって、私たちの生活の一部となり続けることを、私は願いたいし、そのために私にできることはしたい。
だからまずは、スタジアムや、街の様子を観察してみたい。少しでも熱気があるなら、そこからでも熱量を高めていけないものか。

私のように「なんとなく」でいい。スタジアムに足を運んでみたい、という気になってくれるなら。そのヒントがあればいいのに。
だいたい、こんなにいい加減な私でさえ、その理由はわからないけれども、長年ガイナーレ鳥取に寄り添っていられる。
ということは、私には引っ掛かる何かがあったからだと思う。

今の鳥取県にさほど縁のない私でさえそうなら、縁のある人たちには、それ以上のきっかけや機会があるはず。
クラブは、それを一つでもたくさん提示していってほしいし、まだガイナーレ鳥取に触れたことがない皆さんも、それを一つでも見つけに、スタジアムに足を運んでみてほしい。


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