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コピーライターが実践する言葉の磨き方

~ コピーライターの日常に見る「言葉にできる」スキルアップ ~

No.011|E.仕事術|E-002

「言葉にできる」スキルが今、求められている

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最近、世間的にも案件的にも、言語化や文章力といったいわゆる「言葉にできる」スキルが求められているような空気感をひしひしと感じます、勝手ながら、ありがたいことに、お陰様で(謎)。


書店でも、「言葉にできる」と武器になったり人生が変わったり望みが叶ったりとスバラシイ恩恵が得られるとする書籍を目にする機会も増えてきていて、「言葉」の注目度の高まりを感じさせます。

最後に問われるのは「言葉」

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ビジネスシーンでの企画書・メール・チャットから、ソーシャルシーンでのFacebookTwitterInstagramYouTubeまで、タイトルだ、本文だ、ハッシュタグだと、結局のところ表現手段はテキスト、つまり「言葉」がメインになることが多いので、あらためて重要視されているのかもしれません。


企業・個人・小欄さえも例にもれず、ブログというメディアでも題名や本文はもちろん、検索上位にヒットさせるためのSEOを意識したタイトルやディスクリプション、いわゆるメタタグなどテクニカルな類でも、どんなにツールが進化しようがなんだかんだテキスト=言葉のセンスが最後には問われます。

コピーライターは「言葉の全能者」なのか

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当方においてはメディア、ツール、シーン、ジャンル、ヘビー、ライト、エモーショナル、ファンクショナル、テクニカル、硬派、軟派、深度、粒度、うーん、近年依頼いただく案件が多様すぎてコピーライターのクセしてうまく言葉にできていませんが、それはそれは多様な分野・条件で依頼が届きます。


言わずもがなコピーライターはコピーライティングを中心とする「言葉」を扱う仕事、そのため先に列挙した分野・条件を問わず、コッパズカシイのですが「言葉の魔術師なんだからどんなコトでも言葉にできるっしょw」という具合に「言葉の全能者」的に崇められることもあって、困惑の限りなのです。

コピーライターが「言葉にできる」ワケ

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コピーワーク、ネーミング、企業理念など、これまで当方が提案した「言葉」が採用されてきたのは、関係各位の協力あってこそ。才能、文章上手、語彙豊富といった感覚、ましてや「言葉の全能者」という驕りなぞ皆無(もちろん自負はありますが)、何なら言葉に苦手意識すら感じるのが、本音です。


んじゃ、なぜに当方は「言葉にできる」ことを仕事にしてこれたのか。それはフリーランスとして言葉に携わってきたかれこれ16年(職業人としてなら26年、2021年現在)というちょっとした経験値と、とにかくいつでも「必死」ということ以外、コレといった理由が思い当たりません、いやマジで。


とはいえこの「必死」には、当該案件の「直接スタディ」に加え、間接、何ならカスリもしない分野の「日常スタディ」も含まれていて、実はこの点にこそ「言葉にできる」理由があるかもしれず、せっかくなので「自身の応援」「自負の裏付」のためにも(謎)、「日常スタディ」を自ら俯瞰してみます。


実録・コピーライターの日常

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コピーライターの日常➊:言葉の情報源

「言葉」に関して、当方の日常におけるおもな情報源(接触ソース)は、ざっくり下記のとおり。


1)ペーパーメディア(1紙):一般紙(定期購読)

2)デジタルメディア(2紙):一般紙(有料)/経済紙(有料)

3)ニュース系メディア(3本):ポータル系/掲示板系/まとめ系

4)ソーシャル系メディア(3本):Twitter / Facebook / YouTube

5)ラジオメディア(1種):radiko

6)アプリ系メディア(3本):グノシーSmartNewsNewsPicks


1)は、読売新聞。紙面で気になる記事・広告があればネットやアプリなど、2)のデジタル版でも検索。無論個人利用の範囲でスクショ画像などデータ化しストック(ストック法は後述)。有料会員のためネットやアプリで紙面閲覧ができ、使い勝手的にも慣れているので利用(主義主張の好みに非ず)。


2)の経済紙は、日経新聞。記事を中心に気になるトピックがあれば、クリップツールでストック(こちらも後述)。おもに「一般紙とは違う視点」「経済用語や経済情勢の習得」などの理由から利用。


3)は、それぞれ、Yahoo!ニュースは媒体横断性、2ちゃんねるニュース速報+ナビ(現5ちゃんねる、以下同)は下世話性、2ちゃんねるまとめは日常生活感といった理由から利用。更新頻度に加え、コメント欄から伝わる世相感やトレンド感が有用。もっぱら当方はROMる(投稿せず読むだけ)専門。


4)は、近しい方々や気になる識者の近況、特定分野の検索、広告トレンドなどゆるく取り込むために利用。任意で検索するTwitterを除き、Facebookは業務上メッセージ、YouTubeは作業BGM(よって主に音楽流行)や作業時間の検出と、それぞれ日々業務で使用するので偶発的に多様な情報に触れられる。


5)は、radikoを利用。作業BGMはYouTube Premiumだが、業務以外はつねに利用。1)4)で知ったニュースは当然ラジオでも取り上げられ、その扱い方は世間の熱量とおおよそ均しいので、社会的重要度を量る上で答え合わせ的にもなり有用。加えてCMナレーションには名コピーが多く、聴く価値は高い。


6)は、いずれも、その分野の識者見解など特定分野の深堀、意識の高い方々(ディスりに非ず)のコメントなど世相感に触れる意図から利用。移動時など出先の隙間時間にチラ見する程度で情報に接触。


※ちなみに、案件中のコピー・表現・コンセプトなど直接「言葉」を求めている際は、日用品や食料品のパッケージ、街中の案内や店頭ポップなど、身の回りの言葉を必死で追い求めることは、案外多い。

コピーライターの日常➋:言葉のストック法

前段の情報源(接触ソース)で触れた情報、気づき、言葉のストック(まとめ)先は下記のとおり。


1)「情報」のストック先(長期的):Evernote

2)「書籍」のストック先(長期的):Amazon>ほしい物リスト>コメント機能

3)「言葉」のストック先(一時的):iPhoneのメモ機能

4)「言葉」のストック先(長期的):リスト化@Excel


以下、参考画像とともに1)4)について、それぞれを解説。

┗ 1)「情報」のストック先(長期的):Evernote

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「言葉」をはじめ、見出し・本文・図版・画像・URL・コメントなど、かたまりとしての「情報」の、長期(最終)的なストック先として利用。題名(ノートタイトル)には、見出し・内容・出典・独自キーワード・関連案件・所感など、後の検索を加味して記述。同時にタグやURLなどもラベリング。


人間は忘れる生き物を前提に、カテゴリ、キーワード、出典、独自のタグ、年度、おおよその日付と、それぞれから多角的に検索できるように工夫。Evernoteは手書き文字の認識、いわゆるOCRにも優れ、名刺・チラシ・パンフなど紙に書いたメモごとスキャンしても高確率で検索ヒット。共有も容易で◎。

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Evernoteでは、記事・ブックマーク・スクショなど各種形式でウェブページをクリップできる「Web クリッパー」なるツールも併用。ブラウザの拡張機能にインスコするスタイルなので、素早くウェブをクリップでき、同時にストック(ノート)先の選択、タグ・コメントなども付けられて、なかなか便利。

2)「書籍」のストック先(長期的):Amazon>ほしい物リスト>コメント機能

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かたまりとしての「情報」をEvernoteにストックする過程では、かなりの頻度で「書籍」にも遭遇(接触)。買い忘れはもちろん、気に留めておかないと2冊購入といったポカをやらかすため、Amazon「ほしい物リスト」にある「コメント」機能を利用。書店に寄った際はスマホで確認し失念を予防。


コメント欄には250文字まで記述でき、「接触日」「接触ソース」とともにできるかぎり「購読有無」「読了有無」のステータスを併記するよう心がけるのは、ここでも「人間は忘れる生き物」が前提による。先日も2冊購入の失態をやらかしているので、視覚的にも目立つ「★印」をつけて失念を予防

3)「言葉」のストック先(一時的):iPhoneのメモ機能

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「情報」「書籍」に対し、最小単位的な「言葉」のストックは2段階のステップを経る。検索性や編集性の観点だけでなく(褒められるものではないが)つねに手許にあり即時性の高いiPhoneのメモに、まずはメモる。言葉・表現・コピーの類から稼働案件の所感・備忘まで、種別によってざっくり分類。


iPhoneのメモは基本的に編集履歴順となるため、文頭に数字などを記して任意の順にしたり、次のステップとなるリスト化(後述)の有無を記述したりと工夫が必要なので、いくつかメモアプリを試すも、スマホ⇔タブレット⇔PCなどのクラウドの利便性から、結局はiPhoneのデフォルトメモに落ち着く。


※ちなみに、電車(指定席)や車の移動時、風呂場などメモりづらい際は録音(ボイスメモ)を利用。

4)「言葉」のストック先(長期的):リスト化@Excel


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▲前述のiPhoneメモにストックした言葉は、次のステップとして最終的にリスト化。その際「文言」「用語」「用法」などに大別。「文言」は、未知はもちろん、既知であっても自身の血肉となっていない感覚のある文言もリスト化を心がける。意味・例文・出典・アクセント(英文)・日付などを併記。


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▲「用語」は、専門的な言葉がメイン。未知・既知は「文言」と同基準だが、用語類は失念や認識違いも多く、案件での致命的なディスコミュニケーションだけでなく、知ったかというハズい醜態を避けるためにも有用。正式表記(略称時)・カテゴリ・意味・出典・アクセント(英文)・日付などを併記。


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▲「用法」は、丁寧な言い回しを中心にリスト化。尊敬語などの基本事項とともに、当方が関わる案件の性質上、販促やコマースサイトなど一般ユーザー(toC)に向けたコミュニケーション案件が多いため、定型的な言い回しで見かける語句を使った用例(正誤例文)を中心に、解説・出典などを併記。


以上の「文言」「用語」「用法」に加え、実は「表現」もリスト化しているが、自発発想も多くかなりハズい内容につき参考画像や詳細は割愛するが(知見の出し惜しみに非ず)、いずれも「大(情報)>中(書籍)>小(言葉)」という深度というか粒度のレベル感で、ストックしていくようなイメージ。

言葉が苦手だからこその「必死」な技法

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「言葉のストック」は発生ベースですが、「言葉の情報源」の1)5)は、4)Twitterはまあ除いて、ほぼ毎日のように触れていると思われます、たぶん。でもそれは、先にも吐露したとおり「言葉に苦手意識すら感じる」がゆえの危機感からで、ただただ「必死」なだけ、というのが正直な感覚です。


クライアントや依頼者=語り手。その先に存在するユーザー=読み手。両者をつなぐ「言葉」についてコピーライターを名乗って託される以上、「言葉」が語り手と読み手の分断=コミュニケーションデバイドになってはならず、なにがなんでも双方に行き届く最適で最善な「言葉」を提供差し上げたい。


大げさかもですがそんな心情もあり、「言葉にできる」ようにいつでも「必死」なんです。もっと合理的、効果的、スマートな技法は世に多くあることでしょう。何なら足りないことでしょう。でも今のところ、この技法が当方には最善のようで。新たな技法があれば、小欄にて「必死」に共有いたします。

(了)

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