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芥川龍之介『蜘蛛の糸』を読んだ。ー人間の世界も地獄?

ここ最近、地獄のような苦しい出来事が起きた。生き地獄である。気を紛らわすために地獄にまつわるお話を読むことにした。

文豪・芥川龍之介の代表作『蜘蛛の糸』

あらすじ

お釈迦様が極楽の蓮池から地獄のようすを覗いている。主人公の犍陀多は人殺しの大どろぼう。罪人、故に死んで地獄に落ちた。それでも犍陀多は一度だけ善行をしたことがある。蜘蛛を殺さずに助けたことだ。そのことを思い出したお釈迦様は犍陀多にチャンスを設けた。蓮池から一本の、長い長い蜘蛛の糸を垂らしたのだ。蜘蛛の糸を掴み、極楽浄土に向かって、上へ、上へと犍陀多は登っていく。

どこまでも、どこまでも。

そして下から大勢の罪人が同じように蜘蛛の糸を頼りに上ってきているではないか。犍陀多は叫んだ。「この蜘蛛の糸は己のものだぞ。」

そのとたん、糸は切れた。犍陀多は闇の底へ落ちた。

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ざっくりまとめると、こんなかんじの物語。

自分さえよけれえばいいという哀れな心ならば、罰が当たるぞというのが、この作品のメッセージ。欲にまみれて、大事なことを見失わないように、僕も気を付けなければ。


仏教において、六道というのは6つの苦しみをもった世界。肉体が滅びても、魂は滅びずに、生死を未来永劫繰り返す。輪廻転生だ。

我々が生きる、この人間道も、六道のひとつ。つまりこの世界も、病や、老化、病気など苦しみの絶えない世界。地獄だ。

だから生きていて、地獄のように辛い出来事が起こるのは当たり前である。人生は思ったように上手くいかない。それがこの世の常ということなら、苦しみや悩みから逃げたって仕方がない。針の山を登るように、耐え忍ぶしかないのだ。

僕は今まで、たくさん悩み、もがき苦しみ、這い蹲って、なんとかこの年まで生きてきた。今だって辛い。自分だけこんな苦しい思いをして生きていて、不幸だと思い上がっていたが、そうじゃない。ここは人間道。誰だって、悩みながら、時に苦しい思いをして生きているはずだ。そう考えると、僕も頑張って生きなきゃと思う。


ちなみに・・・

神様仏様とか、鬼とか、地獄とか、そもそも誰も目の当たりにしたことがない。これらは人間の内なる心から生まれたイメージから生まれたものだ。(と、本で読んだ記憶がある。)

人のイメージは、人の内に秘めたる本質、この世界の真理と深くつながっている。現実と空想は、紙一重なのだ。知らんけど。


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