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小噺

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異世界課

異世界課

1.夜。街が鎮まり始める頃。都内某所。
トラックがスピードを出して走っている。

横断歩道には1人の男性。

しかしトラックは徐行することなく、その巨体を軋ませて横断歩道へと突っ込んでいく。

キキーッ、ドンッ

派手な音と共にトラックが停車した。斜向かいのコンビニからは黒人の店員がこちらをギョッとした目で見つめている。

トラックのドアが開き、降りてきたのは若い男だった。
キョロキョロとあたりを

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でもお前、オタクじゃんw

でもお前、オタクじゃんw

サッカー部に所属している友人にこう言われた時、カッと顔が熱くなるのを感じました。
友人の言葉は私をひどく不快な気持ちにさせました。私はそれを隠すため、いや〜違うけどな〜とヘラヘラ笑っていました。
しかし腹の底では悔しかったのです。オタクだとバカにされたことを許せるべくもありませんでした。

悔しいならば実力で、完璧なるロジックで、私がオタクなぞではないと友人にわからせるしかありません。

これは悪

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これは友人の話なのですが

これは友人の話なのですが

この定型句は、話しにくい自分の話につける枕詞、という共通認識があるので、字義の通りに使うのも恐縮ですが、本当に友人の話なのだから仕方がありません。

『行かない』のニュアンスで使われがちな『行けたら行く』もそうですが、言葉通りの意味よりも言外の意味が肥大化してしまった定型句は、字義通りに使いたい場合に使い辛いことこの上ありませんね。

さて、冗長な前置きも僕の本意ではありませんから、愚痴はこの辺で

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