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雨の週末 Artと緑の散策

GW後の最初の週末土曜日。晴れていれば、開花しているであろう奥武蔵の秘密の花園や那須に大好きなシロヤシオこと五葉躑躅の花見と計画していたのですが、あいにくの雨。花の盛りと好天と週末が三位一体となるのはなかなかに貴重で、改めてGW中に畦ヶ丸を訪れておいて良かったと痛感。
雨でも登山はできますが、シロヤシオはその色彩から曇り空やガスではその魅力が大きく損なわれるので、綺麗な時にお会いしたいと見送り。
朝からコーヒーの香りに包まれつつ読書をしておりました。
とは言え、気持ちの良い季節。緑の中の空気を吸いたいとゆるゆると雨の中に出発。

歩き始めてすぐ、そこここに凛とした白い花が咲いています。
名前はオオイヌフグリと同様に残念ではあるものの、その咲いている風情にいつも惹かれるドクダミです。先週あたりから咲き始めていますが、盛りを迎えている模様。やはり例年より早いような。

正確には白い部分は花では無く総苞で、花は真ん中の筒状の部分なのですけれどね。

さて出来れば東京の中であっても、できれば美しい濃い緑に加えて、人の手による美にも触れたいと考え、まずは東京国立博物館へ。

今は特別展が開催されていないのでさほど混雑はしていません。
ちなみに私は国立博物館のメンバーズパスをいつも購入しています。
特別展には入れませんが、東京に加えて、京都、奈良、九州の国立博物館の平常展に回数無制限で入れます。私の場合、毎年正月に長谷川等伯さんの松林図屏風を愛でるのを恒例としています(場合によっては展示中に複数回訪れたりする)。

これは平常展ですし、京都に帰った際に京都や奈良の国立博物館も訪れるので非常にお得なのです。
東京が際立っていますが、平常展であってもしばし釘付けになるような作品を多数愛でることができます。
それにしても、東京国立博物館の建物も含め、米軍による空襲で破壊されることなく残っていて良かった。

しかし、この日は欧米の方の比率が高かった。寧ろ日本人が少なく、7割ほどは欧米の方々であったように思います。なぜかフランス語が多かったように思います。
太刀や刀、鎧の展示に人だかりができていたのは映画の影響かな?是非とも様々な日本の文化を知って帰っていただきたい。

私が今回の展示の中で特に惹かれたものの内、撮影が可能であったものをいくつかご紹介。

円山応挙さん作
雪中老松図
伊藤若冲さん作
松梅孤鶴図
呉春さん作
戴勝勧耕図

上記三作は並んで展示されていました。
円山応挙さんの作品では、根津美術館所蔵の「藤花図屏風」は、展示されれば必ず観に行く、同館所蔵の尾形光琳さんの杜若図屏風より好きな作品。しかし絵の技巧も含めて良し悪しは分からない私は、円山応挙さんのその他の作品で、それほど惹かれるものにはまだ出会っておらず、今回の作品にもさほど惹かれず。。
伊藤若冲さんの作品も面白いなぁと思うものの、綺麗なイラストを観るようにしか捉えられず。。
一番惹かれたのは、巨匠二人に並んで展示されている呉春さんの鳩の絵でした。
構図と空間の奥行きと静けさ、穏やかな時間の流れに、なぜか惹かれてしばし作品の前で佇んでいました。
鶴よりも松よりも鳩に惹かれたのは、その空気感でしょうか。
公園の鳩を見ても何とも思わない私なのですけれどね。
呉春さんには雷鳥も描いてほしかった。

左方平舞指貫 白綾地窠霰模様

能衣装です。
着物の帯など唐織は結構好きなのですが、極彩色のものはあまり好みではありません。ただ、この白い綾地の絶妙な空間に、控えめながら桐紋や唐草を配した奥深い色彩と意匠の妙に強く惹かれました。

志野焼き(下)は好きですが、唐津(上)もやはり好き。
ただ、焼き物は鑑賞するだけではなく、料理を盛り付けたり、お茶を点てたりと実際に手に触れて使ってこその魅力のように思います。そういった意味で、京都に帰郷時には必ず伺うお料理屋さんの器と料理は、毎回、国立博物館に伺う以上の感動を味わえます。


千手観音像や持国天像そのものよりも、その影の美しさに惹かれました。すみません。。

東京国立博物館で充実した時間を過ごした後、ドクダミの遠縁の親戚かと思えてしまうように面差しの似たヤマボウシを愛でつつ、

方角だけAppleWatchのコンパスで時折確認しつつ、適当に住宅街の小径を抜けて、時折、可愛らしい「吾輩は猫」にも出逢いながら、

六義園まで歩きます。
雨のせいか人もまばらなのですが、京都の庭なども含めて、庭石の濡れる雨の時こそ、日本庭園の美しさは際立つと思うのです。


しかも私にとっての六義園の魅力は、権力の象徴のような広大な池泉回遊庭の部分よりむしろ、

その奥に広がる緑の美しさなのです。
雨の週末の散策ルートとして六義園を選んだ理由は、下界の割に美しいこの翠。

街中にありながら、涼やかな空気、香しい緑の空気を存分に吸い込んでリフレッシュします。雨が降ることによって、その匂いも際立ちます。夏になれば空気がまとわりつくでしょうし、冬には緑陰が寂しい。この時期独特の清浄感に身体の境界が取り除けるかのような心地もします。
巧妙に自然を模して設計された庭は、適度な起伏もあり実際以上に広さと奥深さを感じることができ、山に入れない日の散策にぴったり。

濡れた石と艶やかなドクダミが美しさの深みを増します

そうそう、早くもコアジサイが咲いていました。

山中で愛でるのが好きな花の一つ。
しかし、如何に下界とはいえ、さすがに開花は早すぎるのでは。。
もう少しゆっくりと休んでいていてください。

雨の週末。
歩くのが心地よいこの時期ならではの過ごし方ではありますが、なかなかに濃密で充実したものとなりました。

六義園は秋には紅葉も愛でることができますが、紅葉は晴れの日が良いですよね。紅葉の時は訪れる人も多くなるでしょうし、遠出しないこの時期の雨の日など、お近くの方は訪れてみてはいかがでしょう。

いつもながら取り止めのないnoteとなってしまいました。
雨の週末の過ごし方の一例として、僅かでもご参考になれば幸いです。
皆様もどうか良い週末を。

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