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場面緘黙の娘が自ら望んで口頭発表した話

6月は祝日がなく、天候が不安定なのでなかなかしんどい。
しかし、気づけば夏至がすぎ、夏休みまであと1か月!!

先日、チョコの幼稚園時代のママ友とお茶をした際に、夏休み前半に一緒に泊まりがけであるテーマパーク(※ちなみにDではない)に遊びに行くことがノリで決まった。

チョコに伝えると大喜び。
Webサイトを一緒に見てあれがいいこれがいいと言い、
自分で巻カレに予定を記入し、カレンダーを眺めてニコニコしている。

そして、このことを「放課後デイの帰りの会で発表したい」と言う。
放課後デイでは、帰りの会でその日の感想や楽しみにしていることなど、内容はなんでもOKで、毎回2-3人、発表する時間があるらしい。

そのために、「(発表の内容を)メモに書く!!メモ!!」と。
おはなしBIGを渡すと、自分で全部書いた。
私はメモを渡しただけで、一切何も口出していない。

「テーマパーク」には実際の施設名が入ります

「放デイのみんな」→「チョコ」
逆じゃん… 方向わかってない…

1枚目を書いたところで「足りないー!」ともう1枚要求。

「き」が鏡文字になっている

7がつ○にち
テーマパーク(※実際は固有名詞を記載)みたいなところにいきます。
あるテーマパーク(※実際は固有名詞を記載)にきます。
のところでとまります。
ようちえんでいっしょだったおともだちといきます。
たのしんでいます。

チョコが書いた台本

チョコはこれを家でも何度も何度も音読し、自主練をしていた。
「だって、緊張しちゃうから」
と練習する理由を述べていた。
すごいなあ。
私は何かを自発的に練習するなんて人生でほとんどなかったよ…

当日、放課後デイに到着すると、
「帰りの会で発表したい。前に出るのは恥ずかしいから、自分の席で発表したい。原稿はちゃんと用意してきた。」
という主旨のことをまず職員さんに伝え、子どもたちが集まるまでの自由時間、何度も練習していたそうだ。


そして本番。帰りの会。
大変緊張した様子だったそうだが、原稿をゆっくりしっかり追いかけて読み上げて頑張ったようだ。
発表後、職員さんに「幼稚園のときのお友達とお泊りに行くんだね」と聞き取ってもらえ、大変うれしそうにしていたとのこと。 


チョコは、自分の楽しみにしている予定や楽しかった経験を人に伝えて共有したい、という欲求が自然とある子だ。(ここはピゴと異なるところだ)
ただ語彙が少なく、文章の組み立てもままならない。
すぐに言葉も出てこない。緊張すると特にそうだ。
チョコは幼児期に場面緘黙の診断を受けている。
当時は家族や慣れた先生の前ではひょうきんで明るい子であるが、
それ以外の他人の前ではまるで借りてきた猫、首を縦横に振って意思表示することがようやくできるかどうかという状態であった。
チョコの通う幼稚園や児童発達支援が幸いなことに緘黙に理解のあるところで、
発話を無理に促すことなく、とにかく彼女にとっての安心を第一に考えてくれた。
そのおかげか、現在はだいぶ改善され、話せない状態になるのは初対面の人や大人数の前で注目される際など、強い緊張が伴う限定的な場面のみとなった。


そして今回。
チョコは自らの意思で、みんなの前で発表したいと職員さんに伝えた。
日直のように定型文を言えばいいということでもない。
発表しなかったとして、誰に迷惑がかかるわけでもない。
それでも発表したいと望み、自分で内容と文章を考え、台本を用意し、練習を重ね、そして実行した。
これはとても凄いことだと思う。
それほどまでに、夏休みのお泊りイベントを楽しみにしているということ、そしてその気持ちを他の人に知ってほしい、伝えたいという思いが強かったのだろう。
チョコに発表の場を用意し、練習にも付き合ってくれた放課後デイにも感謝しかない。


まずは何よりも安心。
それから、子どもの発信にちゃんと耳を傾けること。
そして、子どもの「やりたい」気持ちを大事にし、その実現を支援すること。
そうすると、子どもは自分で育ってくれる。


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