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エネルギーが無くて声を上げないがモヤモヤは残っているのでここに書くことにします

何の話か。
合理的配慮の話です。

合理的配慮とは

社会生活において提供されている設備やサービスなどは障害のない人には簡単に利用できる一方で、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動を制限してしまっている場合があります。
このような、障害のある人にとっての社会的なバリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。これを「合理的配慮の提供」といいます。

政府広報オンラインより

今年4月からすべての事業者が合理的配慮の提供が義務付けられました。


今度、ピゴの学年では観劇行事があります。
劇団四季の公演を無料で見ることができる「こころの劇場」です。

劇に限らず、コンサートやライブ等、舞台鑑賞はピゴにはとてもハードルの高いものです。
なぜなら、たくさんの人が一堂に会する場所が苦手だからです。
そこかしこから聞こえる人々のさざめきが彼にとっては煩くてたまらないからです。
また、舞台の音響も刺激で、過敏のある彼には強すぎます。
そして、聴覚情報だけだとセリフなどを理解しづらいという特性もあります。

それでも、生で見る舞台というとは、そこでしか味わえない感動があるもの。
東京生まれの私は、幸運なことに東京の豊富な文化資源に幼少期からアクセスできたので、演劇、ミュージカル、オーケストラ、バレエなどさまざまな舞台を鑑賞する機会に恵まれました。
その体験は私の内面を広げるのに生きているのではと思います。


ピゴが望むのなら、彼にも生の舞台を、プロの舞台を味わってほしい。
そのために、観劇のハードルがあるのなら、それをどうにか取り除きたい。

そう思って、いくつかのことを学校に相談しました。

まずは、交通手段のこと。
他の児童たちは、指定された電車で会場に向かいます。
他の児童たちと一緒になることを嫌がるので、車で会場に直接の向かうことは可能か。
これはあっさりOKが出ました。

それから、席のこと。
会場となるホールには、親子室が設けられています。
これは劇団四季専用劇場の親子観劇室です。

今回のこころの劇場は、四季専用劇場ではありませんが、同じような親子室があるホールです。
ここを利用できないか。
そうすれば、一般の席に大勢の観客がいてもパニックにならずに済むのではないか。
そう思い、学校に問い合わせてみました。
答えはNG。
席は決められており、他の席を利用する事は許されないとのことでした。


もうひとつは、字幕グラスのこと。
聴覚からの情報だけでは、セリフの内容を理解することが難しいため、ストーリーを追うこともままならないでしょう。
家でアニメを見る際も、彼は常に日本語字幕をONにしています。
舞台で字幕は難しいなと思っていましたが、劇団四季の一部の公演には、字幕を表示させる眼鏡の貸し出しを行っていることがわかりました。

これを借りられたら、ピゴが舞台を楽しみやすくなるかもしれない。
こころの劇場は、全国の子どもたちに提供されるものなのだから、その中には聴覚障害や外国語話者の子も含まれるはず。
字幕グラスのレンタルがあるのでは、とこちらも学校に問い合わせてみました。
しかし結果はNG。
というか、無い??


こころの劇場のサイトには以下のように記載されています。

未来を担う子どもたちの問題は、社会総がかりで取り組まなければなりません。心に響く舞台をお届けすることで、これからもひとりでも多くの子どもたちと、感動の輪を広げていきたいと願っております。

こころの劇場Webサイトより

うーん。。
うーん。。。

ひとりでも多くの子どもたちにと言ってるのに、一般席で日本語を解する子にしか提供していないとしたら、その理念はとても空虚なものではないでしょうか。

一般席でみんなと一緒に観劇することが難しい子、
日本語を理解するのが難しい子、
聴覚障害その他で聴覚からの情報を得るのが難しい子、
その他様々な事情を抱える子どもたちには、観劇の機会は与えられないのでしょうか。


今年4月から、合理的配慮の提供が義務付けられました。
ニーズがあれば、対話のテーブルが用意されなければならないはずです。
でもあっさりNGだった…

学校に聞いてみてダメだったので、教育委員会や舞台芸術センターに問い合わせてみてもいいのかもしれません。

かもしれないのだけど…

肝心のピゴ自身が、そこまでして観劇したいと望んでいるかどうかというと、そうでもない。
学校のイベントだから行かなければならないんでしょ、という程度で。
でもそれだって、観劇体験がないから望んでないだけかもしれない。
でもでも、彼の好みを考えれば、そこまで好きだとは思えない。
もしそこまでして親子席や字幕グラスを用意してもらったとして、彼が行くことを選択するかはわからない。
いろいろ言い訳したけれど、そもそも問い合わせるエネルギーが私の中に無い。


後に続く子どもたちのことを考えれば、ここで頑張って問い合わせて検討してもらったほうがよいのでしょう。
それはわかります。
でも…


疲れてるんです。

声を上げるだけのエネルギーがないんです。

こころの劇場を主催する舞台芸術センターの問い合わせ窓口も電話だけだし。(私は電話恐怖症です)

でも、モヤモヤは残っています。
それで、ここに書き記して吐き出してみました。
私がもう少し、強ければ。
いや、社会がもっと、多様な人がいることを前提に設計されていれば。


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