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サくら&りんゴ #136 りんご物語 2

朝、4℃まで気温が落ちた。太陽の光が強いので、裸足になって今年初のアーシングとビーチに向かったが、さ、寒い。
湖水は今氷が解けたばかりの温度である。

今朝の訪問客

ロビン
お隣の芝生。うちのも食べごろだけど、そっちの方が青かった?

さて
”湖畔の家には東に2本、南側に沿って3本のリンゴの木がある。”
その南側のリンゴたちが揃って花をつけた。

白い花びらの淵は頬紅を薄っすら引いたように染まっている。



リンゴの木を植えよう

そう言い出したのは夫である。

そのいきさつはこちらに書いた。

夫がアップルサイダーを作ると言い出してからずっと、映画サイダーハウスルールが気にかかっていた。夫に出会うずーっと前にDVDで見た映画。
孤児院出身でのちにリンゴ園ではたらく主人公の半生が夫と重なったからである。原作も読んでみたかった。
内容もほとんど忘れてしまっている。

裏庭のりんごが花をつけだしたことで、また心の端にとどまっていたその映画のことが思い出された。
折よくAmazon primeでフリーになっているのを見つける。ついでに原作も古本をamazonでポチッ。

しかし配達されたのを見て

ううう、余りに分厚くて気分が⤵
こりゃ私の英語読解力での読破は無理か?

しかし私は初めの数ページを読んで衝撃を受ける。

舞台はアメリカ・メイン州。夫の生まれ故郷バモントのお隣である。
物語はそこにある孤児院で始まる。看護師たちが次々にやって来る赤ちゃんに名前を付けるくだりがある。その名づけられる名前のひとつに夫と同じ名前があった。

孤児であった夫は実際のところ、この物語のように孤児院で名づけられたのか、生みの親が名づけたのか、はたまた育ての親がつけたのか私は知らない。

しかしありふれた英名であることは確かだった。
なるほど夫の名もこの物語のように、行き当たりばったりにつけられたのかもしれない。

しかし私が驚いたのはそこではない。その孤児院の名前が、夫のつまり私たちのファミリーネームと同じだったからである。

夫の両親が眠る墓所に連れて行ってもらったとき、両親の他にもこのファミリーネームの墓石があった。これは曽祖父、大叔父さん、と夫が紹介してくれた。だからバモントあるいはメイン州にもわたって、その土地に古くからある実際の姓が、物語でたまたま使われただけのことかもしれない。

夫の育ての親が眠る墓所


もちろん夫はそこに養子に迎えられたわけであるから、血がつながているわけではないけれど。


でも20年以上前、バモント州の位置さえ知らなかった私の心になぜかこの映画がとどまって、そして亡くなる数か月前に夫が言い出したアップルサイダー作りを、今私が目指している不思議を思うのである。

ご近所さんのリタがおしゃべりに寄ってくれた。
コーヒーテーブルに置きっぱなしにしていたその本の話をすると、夫の最後の数年を近所で見ていた彼女は(夫の救急病院への搬送時、彼女が私をその病院まで車で連れて行ってくれた)大きくうなずいた。

すごい偶然ね

そう言って彼女は、驚きと言うよりも何か納得したかのように

私、先日こんなことがあったの。

ずっと前に亡くなった父がふっと私の前に現れたの。何も言わないのよ、でもわたしにははっきり見えたの。そうしたらその日の夕方、叔母が亡くなったって知らせが来たのよ

リタは一息ついて、

だから父が私のところに、叔母(お父さんの姉か妹)を連れて行くからねって言いに来たんだとわかったの

何かわからないけど、見えない何かがあるって、私は信じているのよ

そう付け加えて彼女は、すぐ忘れちゃうから本の題名と言って、サイダーハウスルールの表紙の写真を撮って帰った。


今月に入ってから、朝の日課にリンゴの木の点検が加わっている。病気になったり虫がついていないか調べるのである。葉っぱを一枚一枚。
そして、ちょっとおバカなはらぺこあおむしは、かじった葉っぱの裏でたいてい見つけられてしまうのである。

ふかふかにけば立った新しいベッドの裏に・・

見つけると
握りつぶしている。
文字通り
むぎゅっと。

ゴメンはらぺこあおむしさん、人気なのは絵本の中だけよ~。

りんごの苗木が来て三年目の夏。
今年も去年みたいに少しでも実をつけてくれるといいな。アップルサイダー作りにはまだほど遠いけれど。

去年のりんご

本は毎日3ページずつ読むのが目標である…半年はかかるな、こりゃ。



日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。