「運動靴と赤い金魚」の描く世界

昔から映画が大好きで、幼い頃から親と一緒によく観ていました。

特に大学生の頃は雪深い地域に住んでいたため、冬は家に篭って映画鑑賞するのが習慣でした。

話題の新作にも興味はありましたがレンタル代がちょっとお高いので、借りるときは旧作ばかり。名前もよく知らない古そうな映画の中から好みの作品を発掘するのが一つの楽しみでもありました。

映画と言えばハリウッド！が定番ですが、いろいろな国の映画を見るのも好きです。

その中でも特に気に入っているのが、『運動靴と赤い金魚』というイラン映画です。

少年アリは、ある日うっかり妹ザーラの靴をなくしてしまいます。そこで、一足しかない運動靴を親に内緒で二人で共有することに。お互いの登下校時に急いで運動靴を交換しながら二人は学校に通っていました。

そんな中、アリは今度行われるマラソン大会の賞品が運動靴であることを知り、参加を決意。妹ザーラのために懸命に走ったアリの結果は……。

映画のあらすじはこんな感じです。シンプルな構成ながら、一つひとつ丁寧に物語が紡がれていきます。

何といっても見どころは、お互いに健気な兄妹の姿。

兄のアリはうっかり者でありながら、妹を気遣う優しさを持っています。ザーラも何だかんだ言いながらも兄を慕う姿が可愛らしいです。

二人が学校を入れ替わる際に慌てて運動靴を履き替える姿は微笑ましくもあり、アリがラストシーンで懸命に駆け抜ける姿は拳を握りながら応援したくなります。

古い映画ではありますが、当時のイランの生活がよく描かれている作品です。貧富の差も対照的に表現されています。

それでいて、「貧しい家庭で苦労している健気な兄妹」の描写で終わらないのがこの映画の魅力です。鑑賞後は温かくも爽やかな気持ちにさせてくれます。

そして、映画のタイトルに含まれている「赤い金魚」が意味するもの……。これは映画のラストに登場するので、興味のある方はぜひ観てみてください！

みな