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事業会社の社内ITであるという意味について

2020年も残りほぼ1日になりました。

今年はコロナやら外的な影響での変化もたくさんありましたが、
自分自身の仕事や所属している会社の変化もあり、学びの多い年になった気がします。

特に痛感したのは「事業会社の社内ITである」ということ。

わたし自身、パッケージシステムの会社でSE、中小コンサルファームでITコンサルタント、現在が事業会社の社内ITでIT戦略/企画という経歴を経ております。

今年は特に現職と過去職種との違いを大きく感じました。(その分少しだけ事業や組織のことを知れたのかもしれない)

今後の備忘も兼ねて今年の学び/気づきをnoteに記しておこうと思います。

もし転職を考えている方、転職後にGapを感じている方の気づきになれば幸いです。


1.コンサル/SIer系の一員⇔事業会社の社内ITの違い

1-1.コンサル/SIerの特徴

1.目の前のPJTが終わればメンバーも解散することが多い

PJT発足→リリース→順次人を開放という流れがおおいです。
人の入れ替わりも多いため、いかに導入部分をスムーズにするかが重要。

2.担当フェーズが区切られている、IT戦略/要件定義/開発等

ある意味守備範囲が明確とは言えるのですが、フェーズにより登場する会社が違っていたりします。IT戦略では戦略コンサル、要件定義から開発まではITコンサルやSIer、保守は別の会社みたいな・・・その分、フェーズで求められるQCDは高いものが求められると思います。

3.事業会社の人が対応出来ない部分を高単価で引き受けるため、求められる短期的成果が高い

上記にも記載しておりますが、基本的にはシステムを利用する企業の社員で賄えない部分を高いお金をいただいて対応しますので、求められるレベルは高いです。ただ、それに応え続けることで間違いなく実力はつくと思います。

4.システムを使った結果までは責任を負わない

当たり前なのですが、システム導入に向けて担当するフェーズを120%の力でやり切ることが目的になってきます。(もちろん、運用を鑑みての提案はしますが)システムを入れた結果、期待値に届いたのか届かなかったのかに関する責任は負わないですし、期待値に届くための努力を並走してくれることもないです。お金を払えば別ですが。

1-2.事業会社の社内ITの特徴

1.目の前のPJTが終わっても同じメンバーで同じシステムに携わる

これは内製化しているところが特に該当すると思いますが、大きなPJTが終わっても、基本的には同じメンバーが運用保守/次の開発PJTを担当することが多いです。結局の所、事業に対してシステムがどうコミットしていくか、いかにボトルネックにならないかを描いて、それを体現できるチーム作りを愚直にやっていく必要があります。難しい、でも面白い。


2.IT戦略~要件定義~開発~運用保守と全フェーズに携わる必要がある

コンサルやSIerに外注する場合を除いて、どんな価値を提供するか、どうやって実現するか、いつまでに成し遂げるか等を自分たちで決めます。そして、開発し、リリースした後も自分たちで面倒を見る必要があります。なぜ機能が使われないか、なぜ想定した成果を挙げられないかを振り返り、改善に導くのも社内ITの仕事です。


3.短期的な成果も大事だが、システム/メンバーの成長曲線を描くことのほうが重要

1で記載したことともかぶるのですが、社内ITの場合、中長期目線で事業成長を見据えて、システム企画に落とし込む必要があります。つまり、中長期を見据えてシステム担当のチーム作りも実施しないといけません。いつ、どんなスキルセットを持つ人が何人必要なのか。こういうイメージを責任者は持つ必要があります。いまいるメンバーのWillとCan、そして組織から求められるmustを的確に見定めて、人員配置をすることが重要です。

4.システムを使った結果がもろに事業に影響を与える(食い扶持に関わる)

事業会社だからこそでしょうね。会社を挙げて取り組んだDXが大失敗に終わった、DXの結果、逆にボトルネックが生まれて事業運営に支障をきたしたとなると目も当てられません。シンプルに、「いくらかけて開発した機能を何年かけて回収するのか」、ここが破綻しているとその開発の先には闇しか待ってませんよ。結局システムを通じて価値が提供される先「エンドユーザー」まで意識しておかないと、事業成長に寄与するシステム作りは難しいです。

2.事業会社の社内ITゆえの面白さ

1.中長期の事業成長をイメージしてからのシステムへの落とし込みを経験出来る

これは事業会社ならではの醍醐味ではないでしょうか。会社がこの先どんな成長を描いているか、その成長を支えるITとはなにかを当事者として考える事が出来ます。そして、それらを推進し、実現することができます。

2.経営/事業運営を知ることが出来るし、経営層とのアプローチもある

1とのかぶりますが、事業成長を考える上で、当然経営層との会話も入ってきます。会社を運営する人たちが何を考えているのかを知るチャンスです。

3.会社が取る手段の選択肢が広い

自社にとって必要な手段であれば様々なツール/システムを導入出来るというのも面白いです。

4.システムの利用者との距離がめちゃくちゃ近い

これも事業会社ならではですかね。利用者からの感謝の声は素直に嬉しいです。

まとめ

1.どういう姿になりたいかの可視化がめちゃ大事
 → これがないとただの御用聞きになりかねない
2.システムを通じて事業成長、つまりエンドユーザーに届ける価値を最大化することが重要
 
→システムは目的ではなく手段、エンドユーザーに届けるサービスの1部がシステム

3.ミッション、ビジョン、バリューの理解、自分ごとへの落とし込みの重要性
 →事業や業務の理解、守備範囲を広げる事に抵抗があるなら、常駐SEと変わらない、方向性を理解してマニュアル不在の中で動くことが大事
4.事業に対する提案、提言も必要
 →ただの御用聞きに終わらない、今後の競争(共創)を生き抜くためにはIT専門家としての提案は必須

いろいろ思いつくがままに書きましたが、それぞれに対してnoteの記事1つぐらい書けるんじゃないかと思い始めてきました。

タイトルにある、「事業会社の社内ITであるという意味」とは、

「会社が世の中に届けたい価値をITを通じてどう最大化するか」をどう捉えてはたらけるか。そのはたらきにやり甲斐を感じられるか。

僕にとって「事業会社の社内IT」はこんな捉え方になりました。

他の会社の「社内IT」の方がどんな思いで仕事をしているかはわかりませんが、僕は結構アツい思いでやってます。

2021年も学びが多く、そして組織も個人も飛躍の年でありますように。

補足

社内ITって楽なんじゃね?って質問もたまに受けるので記載しますが、
結構オールラウンダーじゃないとしんどいかも・・・
- 必要なスキルセットはめちゃめちゃ広い
- PMやプランニング、場合によっては営業支援やマーケティングスキルも必要
- インフラ、情シス的な知識も必要
- 大人数の利用者からの問い合わせもあるので、対人スキルも必要

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