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最先端技術、エサづくりの極意、酪農の進歩パネぇっす!

あえて普段使わない言葉づかいをしてみました。でも本音です!
今回からは『なるほど!畜産現場』第2回〜第3回までのおさらいを行います!

酪農ってこんな進んでるの!?ってびっくりしますよ〜。
ただ、前回のペースだと流石に来週のOAまで間に合わなくて、申し訳ない!
もしご質問などありましたら、いつでもコメントしてください!

第2回:「次世代閉鎖型牛舎と酪農オートメーション化」

第1回では基本的な酪農の知識や農家のお仕事の体験でしたね。
第2回では最先端技術で牛の管理や作業を自動化している事例を知りました!

過去の記事も参照してみてください!

まず、取材させていただいた農場が「グリーンハートT&K」さん。
こちらは「次世代閉鎖型牛舎」という設備が備わっています。

一般的に、牛舎というのは風通しを良くするために開けた開放型牛舎が主流です。僕が取材した農場の多くは下のような外観です。牛は暑さにとても弱い動物なので涼しさの提供が重要なんですね。

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これに対して、次世代閉鎖型牛舎は閉じられた空間デザインになっています。

え、閉じちゃって大丈夫?

ご安心を。こちらの牛舎、側面に大型のファンがズラっと並んでおり、片方の壁側から空気が送り込まれ、もう片方の壁側のファンが排気するんです。いわば、扇風機をずっと回している状態と言えます。

それだけじゃないんです!この牛舎内の温度や湿度といった数値をセンサーで徹底的に管理しており、牛が快適に過ごせる環境を維持しているんです!

さらにさらに!こちらのグリーンハートT&Kでは、牛の脚にタグを装着して「搾乳を終えたかどうか」、「搾乳はどれくらいの頻度か」といった情報のログをとっており、それぞれの牛を識別・分析を行っているんです。
だから、搾乳を終えたばかりの牛がもう一度、搾乳のゲートへ行こうとしても、タグでどの牛かを判別したうえで「さっき搾乳したからゲートは開きません」という信号をゲートの開閉システムに送り、ゲートが開かないようになるんです。わお!

しかも、その搾乳が無人化されてるって知ってました!?
ぜひ、上のON AIRをご覧いただきたいんですが、全自動搾乳ロボが牛の腹部まで近づいて吸引器を取り付けるんです。僕が、第1回で体験したことが自動化されているんです!牛はゲートを通るだけ。しかし、これには牛にとって1ヶ月〜1ヶ月半ほどの学習期間を要するとのこと。それだけの期間で牛って覚えるんだ!とも思いますが、その1ヶ月間は農家さんは付きっきりで牛に教え込みます。

そんな次世代閉鎖型牛舎の研究と、先ほどの農場への導入を行なった宇都宮大学の池口厚男教授に酪農におけるハイテクノロジーについてお話を伺いました!次世代閉鎖型牛舎は、実は宇都宮大学とパナソニックの共同開発だったそうです。

池口教授によると、なんと!僕が体験した搾乳、哺乳、ベッド掃除、エサやり、ほとんどの作業が自動化されつつあるんだそうですよ!ロボット技術のみならず、データ管理システムといった情報分野の進歩も重要になっていくようですね。これらもON AIRでぜひ!


第3回:「牛のエサづくりの妙、そして革命的な分業システム」

いろんな農場に取材させていただいた際、設備や作業のやり方は千差万別なれど、全員が共通して大事にしていることがあります!それは、

牛にエサを食べてもらうこと!

エサを食べてもらえればもらえるほど、搾乳した時の乳量が上がるし、牛が健康的でいられるので農家さんはこれを念頭に置いてます。上述のように、暑さにやられてエサを食べないということもあるので、環境の整備も大事だし、食べてもらえるようなエサのデザインを行っています。

第3回は、良質なエサづくりを農家の代わりに引き受ける組織についてです!

取材先は浜名酪農業協同組合様。

余談ですが、取材先のみなさまと食べたうな重がべらぼうにうまかったです笑

どういう取り組みかと言いますと、組合に入っている農家から排出された牛の糞尿をもらい、エサの原料となるトウモロコシ畑の肥料にします。そして、育てたトウモロコシをTMRセンターと呼ばれるエサづくりの施設に送り、できたエサを農家に届けるという取り組み。循環が出来上がっているんです!

TMRというのは、Total Mixed Rationsの略で意味は混合飼料。ビタミン、ミネラルといった牛に必要な栄養素を偏りなく混ぜたエサ。牛によって好き嫌いもあるみたいなので、選り好みせずに食べてもらえるように混ぜるんです!

その混ぜるマシーンがこちら!

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でっけ!これ全部TMRになるために巨大なカッター(攪拌器)で混ぜられます。どれくらいの原料を混ぜ合わせるかというと、なんと多くて20種類!そこには、醤油かすや酒粕といった食品製造ででた残りかす(食品産業残さ)を利用しているので、こちらも環境に配慮していますよね!ただ、組合長によるとエサだけでは乳量が多くならないので、栄養士のアドバイスをもとに必要なビタミン剤などの栄養品も混ぜるんです。

このように、TMRセンターはエサづくりを専門に請け負い、安価でエコフレンドリーな手法で質の高いエサを農家に届けています。これにより、各農家は個人でエサを作る手間を省くことができるようになります。

TMRセンターを利用している「佐藤牧場」にお邪魔したところ、個人でTMRを作るには設備投資に1000万もかかるんだそうです!それを外部に委託することで、エサにかけるコストが浮き、牛の頭数を20頭から100頭と5倍に増えたんですって!その分、農家としての収入が増え、廃業寸前だったところから立ち直ったそうなんです。

TMRセンターによる計算され尽くしたエサが農家へのフィードバックにもなるし、なによりもまず大きな救いなんですね。

つまり、農業における分業化システムの貢献。
これは、他業種でも応用できそうな思想だと僕は思いました!

では、農家やTMRセンター、牛舎設備に関わる技術者、獣医などさまざまな人々が関わって搾られたミルクは、いったいどのように「牛乳」となって僕らのもとへ届くのか!?

次回は、雪印メグミルク工場見学と卸売店舗への取材記録です!
最後までありがとうございました!

展示やイベントレポート、ブックレビューなどを通じて、アート・テクノロジーなど幅広いジャンルを扱った記事を書こうと思います。また、役者としても活動しているので劇場などでお声がけさせてください!