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展示レポ『第12回恵比寿映像祭 〜時間を想像する〜』

恵比寿映像祭は、年に一度、15日間にわたり展示、上映、ライヴ・イヴェント、トーク・セッションなどを複合的に行う映像とアートの国際フェスティヴァル。今回は、「時間とは何か」という映像が持つ本質をさまざまなアーティストが追求していました。

映像によって、歴史的事実を克明に記録する「過去」へのアプローチ、まだ見ぬ時代をリアリティあるSF描写で映し出す「未来」へのアプローチ、アーティスト自身の視座がより強調される「現代」のアプローチなど、時間の表現が多様になったような気がします。

また、動画制作がパーソナライズされた昨今、アートとしての映像はどのような変化を遂げるのか。そこがポイントのような気がします。そんなことも考え、少ないですが、映像作家たちの作品を4点、ご紹介。

時里充『見た目カウント トレーニング#3 エクササイズ』

縦型のディスプレイにエクササイズをひたすら行う人間が映っている。映像に合わせて、肘と膝の曲げた回数を実際のカウンターが数えている。このカウンターの「カチッ カチッ」という音がいいテンポを生み出すのだが、映像に映る人は疲レてくるとだんだんこのカウンターのテンポより遅れてくる。デジタルとアナログの時間が同期されているところから、混沌と化す感じが面白い。

minim++ 『Tool’s Life ~道具の隠れた正体』

テーブルに置かれた金属製品たち。触れると、その影がアニメーションを生み出す。実際の影を疑似的な影をプロジェクターで投影することで拡張する作品といえる。やはり、実物体と映像の隔たりをシームレス化させるのがホットトピックなのだろうか。金属製品のタッチ検出は静電容量センシングかな。

三原聡一郎『8' 17''』

「8分17秒」とは、太陽の光が地球に到達するまでの時間。その時間を砂時計が刻んでいくと同時に、砂時計の回転する様子にプリズムが対応して虹の模様が浮かび上がっている。視覚情報に欠かせない「光」を多層的に表現した作品。個人的に自然を扱った作品が好きなのだな、とこの作品にときめいて気づいた。

マーティン・バース『スウィーパーズ・クロック』

ごみや廃棄物をホウキで履いている2人の男性を俯瞰の視点で撮影した映像。ゴミのまとまりが時計の長針と短針を表しており、なめらかに時を刻むアナログ時計になっている。水時計、日時計、時間を刻む方法は古来からたくさんあるのに、まだ完成され尽くしていないって、すごいことだと思う。

最後に

ほかにもドラマ仕立ての作品、ドキュメンタリー、アニメーション、タイポグラフィ等、バラエティに富んでいました。例により、ソースを以下に載せます!

展示会場のブックストアに売っていたグッズに、レンチキュラーでプリントされたしおりをモータで回転させていたんですが、これが見ていて楽しく、展示会場においても良いのではないかというレベル。最後にそれを載せますね!

もし、おすすめの展示があったり、行きたい展示に代わりに行って感想聞かして欲しいなど、リクエストありましたらコメント欄をご自由にお使いください!

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