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パキスタンの教育から見る「教育機会均等の重要性」

最近はSDGsの認知度がかなり上がってきていますね。
2030年に向けて、世界中で取り組んでいる様が見られます。
その中にはもちろん教育に関するものもあります。
SDGs 4 Quality Education 質の高い教育をみんなに
ですね。

最近、パキスタン出身で現在はタジキスタンの学生と教育について話す機会があり、そこで教育の機会を平等に与えることの重要性について考えさせられました。
今回はそんな教育機会均等の重要性について書いていきたいと思います。

パキスタンの教育について


さて、まずはパキスタンの教育について少し。

パキスタンの教育制度は、5~9歳が小学校、10~12歳が中学校、13~14歳が高校となっています。高校卒業後、試験に合格すれば、カレッジ、さらに大学へと進みます。
イスラム教国として、公立の中学校以上はすべて男女が別 。教師も原則として男子生徒には男性、女子生徒には女性が教壇に立ちます。しかし、都市部の私立校では、男女共学が一般的で、かなり開放的です。

外務省:世界の学校を見てみよう!

上記のように形式的には小中高と別れているようですが、
今回話を聞いた学生によると1年生から12年生までつながっているイメージなんだそうです。

本人曰く、教育のシステムが結構複雑で、それぞれの学校によってどのグレードを受けもてるかが違うそうです。
(日本の一貫校のように小学生から高校生まで受けもてる学校もある)

学校を移動したいときは学力が高く人気のある学校へは入試があるのですが、それ以外は基本的に自由に転校ができます。
小中高の分かれ目があまりないので転校は比較的しやすそうでした。

上記のサイトには男女で教育内容が違うと書いてありますが、そこについては聞けませんでした。(単純に聞きそびれました。💦)

また、公立校と私立校で教育の質が大きく違うそうです。
公立校では満足な施設や教材が揃っておらず、得られる知識も古いものが多いんだとか。
さらに授業スタイルもレクチャー型が多く、一方的な知識伝達で体験学習が少ないそうです。
頑張って知識を得ることができても、実地での経験値が少なく知識の定着に問題があるんだとか。

それに対して私立校では、支払う学費によって質の高い教育を受けることができるそうです。
特待制度もないことはないそうですが、非常に限られたものらしくほぼ全ての生徒が親の所得に合わせた学校に行くことを余儀なくされるそうです。

教育の機会均等


日本では昭和22年(1947年)に制定された教育基本法にて「教育の機会均等」が触れられています。(もちろん改訂された新しい教育基本法にも書いてあります。)

第4条で「教育の機会均等」の原則として,「人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって,教育上差別されない。」こと、
第5条で国・公立学校では授業料を徴収しない旨が規定されています。
これにより、日本では全ての国民に等しく教育を受ける権利があります。

SDGsにおいても、
No. 4 「質の高い教育をみんなに」の欄は緑(目標達成)です。

一方で他の国を見てみると、
就学率、識字率の低さ、男女の格差、児童労働問題など
まだまだ教育を平等に受けられる環境が整っているとは言えない国も多いです。

パキスタンにおいては
低学年での入学率、就学率はとても高くSDGsでも目標達成しています。
しかし上記の通り、その質には大きな差があり問題がないとはとても言えない状況です。

就学率や教育を受けられるかどうかが着目されがちですが、その質を考えることもとても重要な点だと感じました。

どんなに学校に通うことができても、
そこで得られる知識が役に立たないものであれば意味がありません。
その先の進学や社会に出た時に役に立たないのであれば、
それは就学率向上という外面を良くしただけのポーズでしかありません。

僕は教育の目的はその人の幸福のためだと考えていますが、
国家としての目的はGDPの向上だと思います。(それが悪いとは思っていません。)
国家としての目的を果たすためにも、
ただ就学率を上げるために税金を使い、外面をよくするだけでなく
質の担保された教育を提供し、しっかりと自国の利益に還元する必要があると考えます。(言うは易しですね、、)

教育の機会均等には、普及率と質の2点が重要だと考えます。
普及率×質の計算式で、教育の機会均等を測っていくことができるといいのではないでしょうか?

そういう意味で「質の高い教育をみんなに」は素晴らしい目標ですね。
普及率と質、両方に目が行くように設定されています。

最近、色々な国教育事情について話を聞いていますが、やはりこの質の担保が課題の国が多いです。
どのレベルの質を求めるのか、
どうすればそれを「みんなに」提供できるのか、
考えなければいけない課題はまだまだたくさんありそうですね。

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