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システム思考から見る教育改革:変革と遅れ

こんにちは!
全国学力テストの結果が出て、その平均値の低さが取り沙汰されていますね。
中学理科の平均点が50点以下だとか、
〇〇県では全教科平均以下だとか何位だとか、
挙句は「探究学習導入のせいか?」なんて言ってるニュースも見ました。

今回は、そんな現状をシステム思考的に見ていきたいと思います。
今の現状(全国学力テストの平均点が下がってる)ってそんなに問題ですかね?って話です。

学習時間と学力の相関関係


探究学習の時間を増やすことや、授業時間を減らすことで、学力が下がっているという指摘が多く見られるようですが、
そもそも学習時間と学力にどれくらいの相関関係があるのでしょうか?

実はあまり関係がないという声も多いんです。
もちろん学習時間が多いほど成績は上がる傾向にあるのですが、
それだけではなく、学習方法や学習の質が成績に影響を及ぼすとされています。

つまり学習時間の確保はある程度必要ですが、
同時に勉強の仕方や学習方法も重要であるということです。

現に学習方法を変えて授業(学習)時間を短くしながら、学力をキープもしくは向上させている事例は数多くあります。
フィンランドやオランダの教育がそのいい例です。

特にフィンランドでは
1970年ごろから少しずつ教育改革を進めていき
1990年代に大きな変化を起こします。
客観主義的な教育から構成主義的な教育にシフトしたのです。
これに伴い、教育方法は知識伝達型の授業から、
生徒が体験を通して学べる実践型学習に変化していきました。
(もちろんそれに伴いいわゆる一般科目の授業時間は大幅に減りました。)

※客観主義と構成主義についてはこちらをどうぞ

その結果はみなさんも知っての通り
フィンランドは今では世界最高峰の教育国だと言われています。
ちなみに学力面ではどうかというと
OECDが3年に一度実施する学力到達度調査(PISA)で
2000年からずっと素晴らしい成績を残しています。

フィンランドの現状からも
一概に「学習時間の減少→学力低下」とは言えないのではないでしょうか?

システム思考から見る教育改革


さて、ここでタイトルにもなっているシステム思考的な視点から見た、この教育改革について考えていきたいと思います。

システム思考について簡単に説明すると
問題の表面だけを見て、その解決策を考えるのではなく、
その問題が発生した経緯や、生み出された環境(システム)に目を向けて根本的な解決策を探しましょう。

ということです。

※こちらのサイトが簡潔にまとめてくださっているようなのでぜひ。

「遅れ」

そして、システム思考でとても重要なポイントは
システムの中には「遅れ」が存在するということです。

例えば、お店の売上を上げようとしてキャンペーンを始めたとします。
その結果は翌月に必ず出るとは限りませんよね?必ず時間がかかります。
同じように売上が下がった場合も、その結果が現れるまでには原因となる何かが起きてから時間がかかっている可能性があります。
これが「遅れ」です。

当たり前ですよね。笑
ですが、これが意外と頭では理解されていません。(理解してても感情が受け付けていないのか?)

今回の全国学力テストの事例でいえば
探究学習に舵を切ってからその結果が出るまでの「遅れ」をちゃんと意識しているかどうかという問題になります。

変革には時間がかかります。
結果が出るにはさらに時間がかかります。
特に教育は結果が出るまでに時間がかかると言われています。
この「遅れ」をちゃんと意識する必要があるのではないでしょうか?

システムの規模

もう一つ僕が懸念しているのは、この問題のシステムの規模です。

フィンランドでは大きな教育改革から約10年ほどでPISAに結果が出ています。
これは僕としては驚くべきスピードで結果が出ていると考えているのですが、それもフィンランドの人口(つまり学校教育の規模)に由来するところが大きいと考えています。

対して日本はどうでしょう?
単純に人口を比較しても約21倍の規模があります。
組織運営をした方はイメージしやすいかと思いますが、大きな組織で変革を起こすことは想像を絶する難しさがあります。

3人で抱えている課題と63人で抱えている課題では
解決すべき課題の数やその原因の複雑さに雲泥の差があります。
それだけシステムは複雑になり、原因は多様化するはずです。

これをもとに考えると
長い目で見て、日本人の学力向上のために必要なことは何か?
全国学力テストの平均点や、学習時間はどれくらい意味があるのか?
この問題のシステムの一要素と考えても、
僕にはあまり大きな意味があるようには思えません。

学習することへの意味付けや生徒のモチベーション、
教員の質や労働量など学校を取り巻く環境、
生徒が理解しやすく、記憶に残る学習(教授)方法、
システム内にある様々な要因を加味して考えていくことが重要なのではないかと考えます。

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