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【オルタナティブスクール実践】探究的な学び溢れる環境づくりのためのSEEラーニング

24年度の4月から神戸にあるオルタナティブスクールのラーンネット・あーるにて「テーマ学習(コンセプト探究)」と「SEEラーニング」の時間を担当させていただいています。
実際に子どもたちに関われる時間をいただけることは本当に楽しく、学びになるのでありがたいですね。

そんな日々の中で、今回はSEEラーニング(学習環境づくり)がどのように子どもたちの探究学習につながるかについて触れてみたいと思います。

🔸SEEラーニングとは

SEEラーニング(Social, Emotional, and Ethical Learning)は、エモリー大学が開発した教育プログラムであり、学生の社会的、感情的、倫理的な発達を支援することを目的としています。

日本では「EQ 心の知能指数」「21世紀の教育 子どもの社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点」などの書籍で知られるダニエル・ゴールマンが、SEE Learningを「SEL 2.0」と呼んだそうです。
※「21世紀の教育 子どもの社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点」は個人的にオススメの本です。

  1. プログラムの目的:

    • 学生が自己認識、自制、社会的認識、人間関係のスキル、責任ある意思決定を発展させるのを支援する。

    • 心の健康とウェルビーイングを促進する。

  2. 主な要素:

    • 社会的学習: 効果的なコミュニケーション、協力、共感の育成。

    • 感情的学習: 感情の認識と管理、ストレス対処法の習得。

    • 倫理的学習: 倫理的な推論と行動の強化、共感と思いやりの発展。

  3. 教育アプローチ:

    • 理論と実践を組み合わせ、教室内外での実生活の文脈に基づいた学習を重視。

    • 多文化的視点を取り入れ、全世界の教育者が利用可能な教材を提供。

  4. プログラムの構造:

    • カリキュラムは年齢や発達段階に応じて段階的に設計されている。

    • 1コマ45分ほどで具体的なコンテンツが決められている(いわゆる指導書がある)。

    • 子どもの年齢や発達段階ごとにカリキュラムがある。

    • 教師向けのトレーニングも含まれており、実践的な指導方法を提供している。

SEEラーニングは、学生の全人的な成長を目指し、単なる学力向上だけでなく、人間としての成長をサポートする包括的な教育プログラムです。このプログラムは、教育現場での実用を通じて、個人やコミュニティの幸福に貢献することを目指しています。

SEEラーニングジャパン公式

個人的な見解を書いてみましたが、
SEEラーニング公式ページをぜひご覧ください。

SEEラーニングに関する記事

News Picks Educationの蒲原さんが書いたこちらの記事も非常にわかりやすくオススメです。
(蒲原さんの記事はいつも情報量が豊富でわかりやすいです。いつもお世話になってます。)

SEEラーニングの具体的なコンテンツ

さらに詳しく、具体的なコンテンツを知りたい方はエモリー大学がダウンロード可能な資料(英語)を出しているのでぜひご覧ください。
こちらの資料を読めば明日からでもSEEラーニングを実践できてしまします。

🔸スクールでの実践

4月から僕もSEEラーニングを実践してきました。
レベルはEarly Elementary Curriculumを実践し、
まずは「優しさ」や「幸せ」についてワークを通して学んでいます。

興味を持ってワークに取り組んでくれる時もあれば、
あまり乗り気でない時もあります。
しかし、全体的に見ると子どもたちが思考する時間が増えているように感じます。

例えば最初の頃は
「今日、誰かに優しくしてもらった?」と聞いても
「いや、何もなかった」「全然思いつかない」と即答されていた(笑)のが、
最近では
「今日はお弁当作ってもらった」「朝起こしてもらえた」「電車に乗るときに先を譲ってくれた」などの経験を話すようになりました。

また、
SEEラーニング内で使っている言葉を普段の活動の中でも使うようになったり、
誰かを傷つける言葉を聞いた時「その発言ってSEEラーニング的じゃないよね」と子どもが言ってたり、
本当に少しずつですが、SEEラーニングの有用性に気づいた子が自分たちの日々の中で活用し始めているのを感じています。

とはいえ誤解のないようにお伝えすると、
これは普段の生活の中で起きたほんの一部を紹介しているに過ぎません。
SEEラーニングは魔法ではないので、
子どもたちがすぐに素直で心優しい子になるわけではないです。

けんかもするし、手も足も出ます。
大声で怒鳴ったり、イライラしたら暴れたりもします。
(小学生年代ですから当然ですね)

そんな中でほんの少しだけ、優しさが垣間見えることがあります。
SEEラーニングで学んだことを使って
平和的な行動を選択する時があります。
この積み重ねに価値があるように感じています。

国内での実践記事まとめ

ちなみにラーンネット・あーるでの実践をまとめて蒲原さんが記事にしてくれています。
こちらの記事では齊藤勇海(ラーンネット・あーる)さんが1年間、SEEラーニングを実践した実際の経験談が描かれています。
その他、大日向小学校さんでの実践が描かれたものもあります。
SEEラーニングの国内での実践例はまだあまり多くないと思うのでぜひご覧ください。
(僕の浅い経験談よりよほどためになります笑)

🔸探究学習への影響(仮説)

最後に探究学習とSEEラーニングの関係について私的な見解(仮説)を書きたいと思います。

まだ実践経験が浅く、仮説程度にしか書けないので
このパートはぜひ読み飛ばしてください。
(いつか経験を元にした、ある程度信ぴょう性の高い記事を書けるようになりたいです。)

以前、『2種類の探求と学習環境が主体性を育む』という記事を書きました。

そこで述べたとおり
学習環境が探求学習、ひいては子どもの主体性に与える影響は小さくないと考えています。

それどころか探求学習を効果的に行う上で、SEEラーニングを実践することで得られるような学習環境は必要条件なのではないかとすら考えています。

そして、SEEラーニングに1年間触れてきた子どもたちの様子を見る限り
非常に高い効果を得られているように感じています。
(自分の気持ちに正直で、面白くない活動を提案するとはっきり「つまんない」と言われてしまいますが、、)

これからさらに実践を重ねて
子どもたちの変化と、探求学習への影響は観察していきたいと思います。

まとめ

今回はSEEラーニングについて書いてみました。
上述のとおり、まだまだ始めたばかりなので今回は触り程度の記事ですが
さらに有益な情報を追記できるように頑張っていきます!

「SEEラーニング実践してるよ!」
「ここ見ると実践の様子わかるよ」
などSEEラーニングに関する情報がありましたら
ぜひコメント欄などで教えていた抱ければです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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