マガジンのカバー画像

連載小説『日本酒先生』

4
連載していますが、1話読み切りの小説です。
運営しているクリエイター

記事一覧

もくじ『入学式』:日本酒先生

もくじ『入学式』:日本酒先生

連載小説【日本酒先生】のもくじです。
1話読み切りですが、順番に読んでいただくのがオススメです。

━━━━━━━━━━━━━━━

 朝の会『登壇』

 1限目『お酒と包丁』

 2限目『消える日本酒』

朝の会『登壇』:日本酒先生

朝の会『登壇』:日本酒先生

 僕のことを、みんなはこう呼ぶ。
「日本酒先生」と。

 日々、日本酒を研究して、日本酒のことを教える講師のような、本当の「日本酒の先生」などではない。
 ただ、日本酒が大好きな小学校教員で、名前が「仁本 修(にもと おさむ)」なので、音読みでそんな風に呼ばれている。

 ちなみに、そう呼んでいるのは、周りの友人ではなく、僕が担任する小学5年生の児童とその保護者からだ。
 小学生に対して、日本酒の

もっとみる
1限目『お酒と包丁』:日本酒先生

1限目『お酒と包丁』:日本酒先生

 はーい。じゃあこの時間は、お酒と包丁は似ているってことについて、お話をします。

「お酒」と「包丁」のなにが似てるのかな?

「…………どちらも、大人にならないと使っちゃダメ」

 んー、あながち間違ってはないけど、ちょっと違うかな。だって、みんなも調理実習や、おウチでお料理するときに包丁を使いますよね?
 もちろん、お酒は大人になってからしか飲んだらあかんけどね。

「わかった! どちらも、こ

もっとみる
2限目『消える日本酒』:日本酒先生

2限目『消える日本酒』:日本酒先生

 先に謝っておきますが、この時間は、みんなにウソをつきます。
 そして、みんなを騙してしまいます。
 ごめんなさい。

「俺は絶対だまされへん!」

 さぁ、どうかな? ではここに、スーパーで買ってきたA、B、Cという3種類のオレンジジュースをコップに注いだものがあります。
 ペットボトル500ミリリットルで、Aは120円、Bは100円、Cは80円です。
 さぁ、どれが1番おいしいでしょう?

もっとみる