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Glasp共同創業者 中屋敷量貴氏に聞くデジタルレガシーの構築

本記事はNess Labsの記事「Building your digital legacy with Kazuki Nakayashiki, co-founder of Glasp」をNess Labsの了承を得て翻訳しております。


Glasp共同創業者 中屋敷量貴氏に聞くデジタルレガシーの構築

Anne-Laure Le Cunff • 読了時間: 18分

「Tools for Thought」シリーズへようこそ。このシリーズでは、私たちにより良い思考をもたらし、知的で創造的な大志を実現することを使命とする創業者たちにインタビューしていきます。中屋敷量貴さんは、ウェブとノートアプリの間を行き来することなく、読みながらハイライトやメモを共有できるソーシャルウェブクリッパー「Glasp」の共同設立者です。

今回のインタビューでは、人間の遺物の本質、知識の孤立問題、偶発的な分散学習、ソーシャルナレッジマネジメントと集合知、公共の場での学習、社会的説明責任がノート術に与える影響などについてお話を伺いました。どうぞお楽しみください。

この度はインタビューにご協力いただきありがとうございます。Glaspは「Greatest Legacy Accumulated as Shared Proof」の略ですが、その意味について詳しく教えてください。

今日はお招きいただき本当にありがとうございます。私はNess Labsの大ファンなので、今日ここにいることを光栄に思います。

まず第一に、私たちは人が学び、経験し、それを後世に残していくことをとても尊いことだと思っています。我々が今立っている現在は過去の先人たちが築いたものの上に成り立っています。レガシーと言った時に、誰しもが事業やお金を残せるわけではありません。これらを後世に残していけることは素晴らしいことだと思いますが、私たちは誰しもが残していけるわけではないという点においてこれらは最大遺物ではないと思っています。真に最大遺物は高尚なる勇ましい生涯そのものであると思います。それは困難にもめげず、悲観的になりすぎず、人類の持つ可能性と希望に賭けていくという姿勢の中にあるのだと思います。そして、それは我々が持つ知識や知恵、そして歴史を次の世代のために紡いでいくということだと思います。

ただ、我々は過去の先人の積み上げてきたものの上に立っているにも関わらず、それがどのように、誰の手によって積み上げられてきたのか、といったことは分かりません。我々はGlaspを通して、人々に最大遺物を残し、共有し、紡いでいく力を与えたいと思っています。そうして、我々は人々の最大遺物を集めて、未来へと共有された証明として残していきたいのです。そうすれば将来同じような道を辿ろうとした人の助けになれるかもしれません。我々のミッションは、人々が残した学びや経験へのアクセスを民主化することです。

それは野心的なミッションですね。Glaspを作るきっかけとなった「ハッ」とする瞬間はありましたか?

私は20歳のときに突然の硬膜下血腫で左半身が痺れ、死にかけた経験があります。当時の担当医からは「いつ心肺が停止してもおかしくありません」と伝えられ、緊急入院・緊急手術をしました。昨日までの当たり前が突然に奪われ、自分という存在がこの世から消えてしまうかもしれないという現実に直面したときに、言葉では表現できない恐怖感と虚無感が体の底から湧き上がったことを覚えています。その時以来、未来の人類に少しでも貢献できたと思えるような生き様を残していきたいと思うようになりました。それが自分がこの世に存在したという証明・意味になると思ったからです。

自分の残したものが本当に誰かの役に立つのかどうかは分かりません。それは主観の問題だからです。ただ、誰かのゴミは誰かの宝でもあるというように、私は学びや経験を残していくことで将来どこかで誰かの役に立つのではないかと信じています。

言い換えると、私たちの取り組んでいる問題とは知識の孤立なのではないかと思います。例えば、あなたがあなたの知識、知恵、インサイトといったものを完全なパーソナルスペース(Note Appなど)だけに残していたとすると、あなたが死んだ後はだれもそこにアクセスすることができません。Collective learningが我々人類が世代を超えて賢くなってきたという事実を踏まえると、それは人類全体にとって大きな損失なのではないかと思います。確かに死ぬ前にpublishまたはシェアできるかもしれません。ただ、「人はいつ死ぬかわからない」という事実を踏まえると、本当にそれができるかはわかりません。また、フェルマーの最終定理が本の余白にたまたま書かれていたメモ書きに端を発しているという歴史を踏まえると、きちんと清書して書き上げたものだけでなく、そうした何気ない疑問やインサイトが後世にとって多大な価値をもたらすということもあり得ます。

世の中には数えきれないほどの素晴らしいPersonal Appsが溢れていますが、上記の死にかけた経験と生きる意味を模索する過程で、今のGlaspというアイデアにたどり着きました。

ものすごく奮い立たされるものがありますね。Glaspの生い立ちをお聞かせいただき、ありがとうございます。Glaspは実際にどのように機能するのでしょうか?

Glaspは、ウェブ上の名言や考えを、画面を切り替えることなくハイライトして整理し、同時に同じ考えを持つ他の人の学びにもアクセスできる、ソーシャル・ウェブ・クリッパーです。ウェブサイト上の「Wall of Love」に寄せられたユーザーの声を見れば、Glaspがどのようなものであるかを知ることができるかと思います。

私たちのミッションを具体的な構成要素に分解した結果、キュレーション、ナレッジマネジメント、コミュニティの重なり合いに注目することにしました。最近TwitterでJeremy Brownさんから受けたアドバイスのいくつかは、これらの構成要素と重なり、またMichael Simmonsさんの考えるPublic Note-takingやLearning-in-publicというアイデアとも重なります。

キュレーションについては、現在、Chrome ExtensionとSafari Extensionを提供しており、インストールすると、テキストを選択した際にKindleの蛍光ペンのような小さなポップアップを表示し、心に響いたテキストをキュレーションすることができます。読書体験の邪魔をすることなく、簡単にハイライトやメモを取ることができます。

特定の記事を読んでいるときに、その記事のすべてのハイライトとメモを右サイドバーから見ることができ、マークダウン形式で簡単にコピーしてメモアプリに貼り付けることができます。また、タグやコメントを追加したり、他の人がそのウェブサイトで何をハイライトしたかをページ上で直接確認することもできます。

ナレッジマネジメントの面では、私のページにあるように、Glaspはハイライトやメモを整理してくれ、トピックによるフィルタリングや全文検索が可能なので、過去に重要だと思った引用、思考、アイデア、洞察に簡単にアクセスすることができます。また、Glaspのソーシャル性により、自分のページにある他の人のハイライトやメモ(「marginalia」と呼んでいます)にアクセスすることができますので、他の人の視点に立ち、知識を深めていくことができます。将来的には、自分の知見と過去のハイライトや他の人の知見とをバックリンクさせる機能を追加する予定です。

また、Glaspのナレッジマネジメントのユニークさ・面白さは、学んだことを再浮上させる仕組みにあると思っています。分散学習は、読んだ内容を記憶するための最も実績のある方法の1つですが、フラッシュカードで復習するのは面倒だし、設定も面倒という悲しい現実があります。Glaspでは、他の人があなたのハイライトとインタラクトすることで、偶然かつ自動的に復習の機会を提供します。他のキュレーターが自分のハイライトを再浮上させるという点がユニークですし、キュレーターがクリエイターの作品を再浮上させるという点も面白いと思います。

コミュニティについては、Glaspでは、学習の副産物であるハイライトとメモを通じて、同じ興味を持つ他の人々とつながり、学ぶことができます。Glaspのホームフィードでは、あなたがフォローしている人が何を学んでいるのか、どんな気づきを得たのかを確認することができます。また、トピック別にコンテンツを検索することができるので、友人や同僚、インフルエンサーなど、信頼できる人や同じ興味を持つ人がどんなことを学んでいるのかを確認することができます。

各サイトのトップハイライトを確認し、お気に入りの著者を見つけることもできます。特に、ニュースレターライターやコンテンツライターは、自分の学習プロセスをGlaspで共有することができます(「learning in public」と呼ばれます)。オーディエンスやフォロワーとの深い関わりや直接的なフィードバックは、彼らの今後のコンテンツのアイデアやインスピレーションを得るための素晴らしい方法となることでしょう。

学習パートナーがいることは、とても刺激的で楽しいことです。Glaspは、学習プロセスをソーシャルなものにすることで、自分の学習効果を高めることができます。例えば、Michael Simmonsが運営するMonth to Masterという学習コホートプログラムと連携し、学習者が学んだことを紡いで、共有することができるようにしています。

ブックマークやハイライトを行う場合、多くの人がランダムなリンクの墓場を作ってしまい、そこから学ぶことができない、という大きな課題があります。Glaspはこの課題をどのように解決するのでしょうか?

おっしゃる通り、ランダムなリンクが増えすぎると機能不全に陥るという課題は今日までに幾度となく目の当たりにしてきましたし、これはブックマークやハイライトに限った話ではなく情報社会全般にいえる問題ではないかと思います。

一つ大事な視点はRead-it-later AppとGlaspとの住み分けだと考えています。我々が情報を収集する際には二つの取捨選択プロセスがあるのではないかと考えています。一つが広く浅い取捨選択。もう一つが狭く深い取捨選択。前者はRead-it-later Appが強みを発揮する領域であり、膨大な情報の中からなんとなく興味があったり、関係性があるもの、将来使えるかもしれないといったものをあくまでShort-termのWorking memoryがわりに保存しておく場所です。後者は、GlaspやHighlighter Appが力を発揮する領域で、一次の篩い分けを通過したもののなかで、よりLong-termに残しておきたいと思える重要な情報を保存しておく場所です。

前者のように保存する数が膨大かつその質が担保されていない状態だと、メンテナンスや整理、管理が大変になり、結果的にランダムなリンクの墓場が出来上がってしまう可能性が高いのではないかと思います。一方で、幸いにもGlaspのCore ActionはBookmarkではなく、ハイライトとNoteを残すという行為であるため、Userにとってのアクションの閾値はBookmarking AppやRead-it-later Appほど軽くはありません。さらにそこにハイライトとNoteが他人から見られる可能性があるという社会的説明責任性が加わると、より一層Userにとってのアクションの閾値は上がります。その分だけその人のデジタルレガシーが残る量が減るのではないかという意見はあるかもしれませんが、我々はただリンクをLikeしたりシェアするという行為ではなく、その中にある特定の文章や箇所への共感、インサイト、繋がりに価値の重きを置いています。

やや脱線しますが、ハイライトと聞くと教育を連想する人が多いかと思います。教育のことに詳しい人は、ハイライトは学習テクニックとしてはあまり効果的ではないという調査結果が出ていることを知っているかもしれない。しかし、ほどよい報酬やプレッシャーが設計された状態では効果的なハイライトをする確率が上がるという研究結果もあります。つまり、Glaspのように誰かから見られるかもしれないというプレッシャーは社会的説明責任機能とも捉えられるため、より良いもの、自分にとって価値のあるものを残す可能性が高くなるのではないかと思います。

また、デジタルハイライトの真の強みは文章をハイライトするという行為そのものではなく、あとで検索・アクセスでき、Backlinkなどを通してその中に繋がりを見出していけるという部分にあると思います。知識とはEntitiesとそのRelationshipsだという観点に立てば、学習調査でよく用いられる知らない単語や概念をいくつ記憶したかという繋がりのない”点”を観測するのにどこまで価値があるのかはまだまだ議論の余地があると思いますし、その結果だけを用いてハイライトの学習効果が弱いと言い切ってしまってよいのかはわかりません。

上記のように、我々はGlaspの持つCore Actionの閾値の高さ、パブリックハイライトに由来する社会的説明責任機能、そして、GitHub風のパネルなどを用いたその人のデジタルレガシーの人類社会への貢献度の可視化などを通して、リンクの墓場問題、または、知識の孤立問題に挑戦しています。

そして、これがデジタルレガシーを構築するあなたのビジョンというわけですね。

そうですね。先ほども言いましたが、私たちは人が学び、経験し、それを後世に伝えていくことはとても尊いことだと考えています。そのような観点から、その人が生涯を通じて学んできたこと、築いてきた知識を体系的に整理し、アクセスできるようにすることが、デジタルレガシーを築く上で最も効果的なアプローチになると考えています。もちろん、Glaspにもフォローや保存の機能はありますが、その焦点は知識構築を前提としたインタレストグラフや継続性にあります。

従来のソーシャルメディアでも、一種のデジタルレガシーはその人の活動を通じて受動的に構築されるものであり、「いいね!」を押すことで簡単に自分の興味を残すことができるのは素晴らしいことです。一方、こうしたソーシャルメディアは、そのエフェメラルな性質とソーシャルグラフによるつながりから、永続的・世代を超えた知識の構築にはあまり重きを置いていません。例えば、メンタルモデルやノートの取り方について何か良い資料はないかと尋ねると、トピックにもよりますが、記事や書籍、ポッドキャスト、ビデオなどは思いつくかもしれませんが、過去に「いいね!」を押したTwitterのスレッドやLinkedInの投稿を最初に思いつく人は少ないのではないでしょうか?

リンディ効果でも言われているように、本当に価値のあるものは長く続く傾向があり、その点では、情報がエフェメラルに流れていく従来の方法は、知識の構築や繁栄という点で、デジタルレガシーを築くにはあまり相性が良くないのではないかと思っています。Glaspでは、次世代が時間に関係なく、トピックや興味そのものに基づいた知識を構築し、アクセスできるようなプラットフォームを作りたいと考えています。

多くのナレッジワーカーは、すでに何かしらのメモツールを使っています。Glaspは他の思考用ツールとどのように連携しているのでしょうか?

私たちは、メモ帳アプリを置き換えたり、破壊しようとは思っていません。素晴らしいメモアプリが存在することに感謝しています。むしろ、Glaspはそれらを補強するものでありたいと願っています。例えば、マークダウンに対応したコピー&ペースト機能を使えば、全文ではなく、ハイライトやメモなど重要な部分のみをメモアプリに書き出すことができます。

また、記事のタイトルやURLなどのメタデータを拾うので、既存のノートアプリの流れを中断することなく、ハイライトやメモといった学習の副産物を後世に残すことも同時に可能です。このように、ワークフローを変えずに人類の知識史に貢献できる可能性があるのです!

それは素晴らしいですね。製品デザインをどのように決定しているのかお聞かせていただけますか?

デザインも含め、製品に関するすべての判断は、ミッションに沿ったものであるかどうかで行います。ミッションは常に私たちの北極星・ノーススターです。フィードバックに関しては、定期的にユーザーに電話をかけて、コメントや提案を集めています。こちらから電話していいか聞くこともありますし、ウェブアプリの「Talk to Founders」ボタンから電話を予約されることもあります。

以前は、すべてのサインアップユーザーとオンボーディングコールを行っていました。現在は3人のチームで、リソースが限られているため、すべてのアイデアを実施することはできませんが、いただいたフィードバックはすべてバックログに保管しています。このバックログからインスピレーションを得ることもよくあります。

また、GitHub、Wikipedia、Pinterest、Twitter、Goodreads、Kindleなど、ミッションや方向性、領域が近いと感じるアプリからデザインのインスピレーションを得ることもあります。UIはほとんど私がデザインしていますが、デザインの専門家ではないので、デザインに一貫性がないように見える部分もあるかもしれません。どなたか良いアイデアをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひお聞かせください。

Glaspはどのような人が使っているのですか?

主なユーザーは、熱心な読者家、活発なメモ魔、作家、生涯学習者です。彼らは勤勉かつ勉強熱心で、Note-taking、心理学、製品管理、創業物語など、個人的に関心のある特定のテーマについて学んだことを保管する傾向がある。

WikipediaやNess Labsのような有名なドメインから、聞いたこともないようなドメインまで、インターネット上の様々な場所から良質なコンテンツが発信されているようです。現在、2万以上のユニークなリンクに15万以上のハイライト(「デジタルレガシー」)が集まっています。何人かのユーザーからは、Glaspを使うことで今まで出会うことのなかった、興味深く洞察に満ちたコンテンツに出会えたと感謝の言葉をいただいています。

また、Ev ChapmanやMichael Simmonsのようなニュースレターやブログを運営している人たちの使用例も興味深いものです。コンテンツ制作者と視聴者が互いに学び合い、ハイライトを重ねていく(パイルオンハイライト:誰かがフォローした人のハイライトをハイライトする行為)のを見るのは面白いです。コンテンツ作家がオーディエンスと直接つながり、フィードバックを受け、次の投稿のヒントを得るというソーシャル性が出発点になっており、これがGlaspの面白いところだと思います。

あなたはどのようにGlaspを使っているのですか?

最近は心理学、note-taking、learn in publicなどに興味があり、これらのテーマでコンテンツを見つけたら、まずざっと読んでみて、心に響く文章や、今後の参考のために残しておきたい文章があれば、その文章をハイライトしたり、メモを残したりします。そして、2回目に読んだときに、ある文章に対して「これは他の記事で紹介されていたコンセプトを思い出す」と思ったら、関連リンクや過去のハイライトをメモに残します。そして、タグを付けて、未来の自分や未来の読者のために要約を残すこともあります。

自分が注目した、あるいは面白いと思ったコンテンツについて、他の人がどう考え、何を学んだのか気になる場合は、Glaspのコミュニティページでそのコンテンツについての考察を読みます。同じコンテンツに対して、さまざまな人がどのように感じ、考えているのかを知ることは、とても興味深いことです。より多くの視点を得ることで、そのトピックに対する理解が深まります。

また、Glaspはコアアクションの敷居が高い分、自分が本当に良いと思ったものを残すので、何かを調べたいときはまずGlaspの自分のページで検索します。時間をかければかけるほど、そのテーマに関する情報が集まってくるので、検索するたびに新しいつながりが発見でき、重要な情報にすぐにアクセスできるのが便利です。

また、そのトピックに関するハイライトやメモを固有のURLで共有できるので、友人や同僚に何か聞かれたときにそのリンクを共有し、私が重要だと思うコンテンツにアクセスできるようにしています。もちろん、他のユーザーのページで検索することもあります。他の人が何を学び、何を重要視しているかを覗き見るのは、その人の頭の中を覗いているようで面白いです。

現在、週2回、その週に読んだ良い記事を3本まとめて「Glasp Weekly Newsletter」としてユーザーに送っています。Glaspでは、ハイライトと学んだことのメモが一箇所にまとまっているので、ニュースレターを作るのがとても簡単になりました。基本的に必要なのは、ハイライトやメモ、コメントをメルマガ本文にコピー&ペーストするだけなので。

ですから、メルマガライターやコンテンツライターの方で、読んだ記事を定期的に読者にシェアしている方は、メルマガを作成しやすくなりますし、作成に至ったインスピレーションや学びのプロセスもシェアすることができます。

私たちが共に学び、集合知を高める方法を改善するために、まだ多くの仕事があります。今後数年間で、Glaspをどのような存在にしたいですか?

私たちは、生涯をかけてGlaspのミッションに取り組みたいと考えています。かなり長い時間がかかると思いますし、乗り越えなければならない壁もまだたくさんあります。後世にデジタルレガシーを残すという意味では、データを長期保存でき、安全で、簡単にアクセスできる仕組みが必要だと考えています。

おそらく、ブロックチェーンなどの分散型技術やそれに準ずるものが必要でしょう。あるいは、石板に刻んでおくのもバックアップとして有効かもしれません。この辺りの持続可能性や長期的な永続性についてはまだ議論中ですが、時間をかけて打開策を見出したいと考えています。

願わくば、今後数年のうちに、学習の足跡を示すもうひとつのソーシャルプロファイルのようなもの、そして、信頼したりフォローしたりしている人々が残したデジタルレガシーから検索できる次世代検索エンジンのようなものに一歩でも近づけたらと思います。

また、人々がどこから情報を得て、それが誰にどのように伝わっていったのかを家系図のように可視化できれば、人類社会への貢献度が可視化されると考えています。

自分の祖父母や曽祖父母が残したものがどのように世代を超えて自分に、そして、社会に還元されたのかを見えるのはすごく感慨深いと思いますし、自分が残したものが自分の孫やひ孫にどう伝わっていくのかを見れるのも興味深いことだと思います。Glaspを通して、人生に意味や価値を見出せる人が少しでも増えてくれると、それ以上の幸せはありません。

これは美しいミッションですね。カズキさん、本当にありがとうございました。Glaspのことをもっと知りたい、試してみたいという人はどこに行けばいいのでしょうか?

お招きいただき、ありがとうございました。Glaspはウェブ上ではglasp.coでチェックすることができます。無料で使えます。また、私たちはソーシャルメディア(TwitterLinkedin)にも積極的に参加しており、アップデートがあるたびにコミュニティの輪を広げようとしています。Ness LabsのコミュニティからGlaspを通じてフィードバックがあることをとても楽しみにしています。


(翻訳終わり)

本記事はNess Labsの記事「Building your digital legacy with Kazuki Nakayashiki, co-founder of Glasp」をNess Labsの了承を得て翻訳しております。

翻訳者:中屋敷量貴 / Kazuki Nakayashiki

いつも支えてくださりありがとうございます!