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【今年の一番 PART5】2022年に読んだ228冊の中で一番ブチギレそうになった小説を紹介しマッスル。(YouTube原稿)

◆はじめに


私も高校生の頃は、
それはもうよく感情的になっていましたが、
最近は疲れるので、めっきり省エネモードです。

そんな私が、今年一番読んでいてブチギレそうになりました。

そんな小説を本日はご紹介したいと思います。
これ予め言っておきますが、
本作に対する悪口ではないですからね。早とちり禁止よ。

◆2022年一番ブチギレそうになった小説


◇今月紹介するテーマ

こんばんは。和希です。
それでは本日もさっそく動画の内容に入っていきましょう。
今月紹介していく動画テーマはコチラ。

2022年に読了した228冊の中で、一番◯◯だった書籍!

今月の残りの動画では、2022年に読了した全228冊の中で、
個人的に一番◯◯だった書籍を、全部で9作品紹介させていただこうと思います。
全て私のとっておきです。お見逃し厳禁です。

先週公開したパート1からパート3の動画では、教養&ビジネス書を紹介し、
そして、今週からは小説編ということで、月曜日に公開した動画では、
2022年に読了した228冊の中で、一番驚愕したミステリー小説と題しまして、

夕木春央先生の『方舟』を紹介させていただきました。本当に素晴らしい小説。

◇この動画の内容

そして、今回このパート5の動画で紹介させていただく、
「2022年に読了した228冊の中で、一番◯◯だった書籍」の内容は、
コチラになります!

2022年に読了した228冊の中で、
一番ブチギレそうになったヒューマンドラマ小説

私の小説の中で一番好きなジャンルは、もちろん「ミステリー」なんですが、
ヒューマンドラマ小説が織り成す、人間の時に醜く、時に美しい愛憎劇も、
なかなか目を離せないものがあります。なんかこういうとメッチャ性格悪そう。

そして、今回はそんなヒューマンドラマ小説の中でも、
今年読んでいて一番ブチギレそうになったヒューマンドラマ小説です。
最初にも言いましたが、これ悪口ではないですからね。燃やしちゃダメよ。

◇228冊の中で一番ブチギレそうになったヒューマンドラマ小説

では前置きはこのぐらいにして、さっそく作品の発表に移りましょう。
2022年に読んだ228冊の書籍の中で、
一番読んでいてブチギレそうになったヒューマンドラマ小説が…

ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ…

コチラぁ!

2022年3月10日に集英社さんから発行されました、
桐野夏生先生の『燕は戻ってこない』になります。
これは感情的にならずには絶対に読めない作品です。

◇紹介作品概要

また、本書の概要につきましては、
いつもと同じように概要欄に載せておきますので、
もし本書について気になった方は、ぜひ概要欄をご覧ください。

題 『燕は戻ってこない』
著者 桐野夏生
価格 2,090円税込
発行日 2022年3月10日 第1刷発行
発行者 徳永真
発行所 株式会社集英社
頁数 445頁

『燕は戻ってこない』奥付及び裏表紙から引用

◇本書を選んだ理由

そして、今回のテーマ、
今年読んでいて一番ブチギレそうになったヒューマンドラマ小説に、
本書を選ばせていただいた理由なんですが、それはコチラになります!

もう登場人物、皆が皆、超自分勝手過ぎて、見ていて本当に苛々するから!

この理由だけ聞くと、ただ本書の悪口を言ってるみたいですね。
確かに、本書に登場するキャラクターは、皆が皆、超自分勝手なので、
その自分勝手な感じが読んでいて本当に神経を逆撫でしてくるんですが、

読了して数ヶ月が経った時、ふと気がつきました。それは…

滅茶苦茶苛々した『燕は戻ってこない』の内容をかなり覚えていることに。

今年は本作の他にも、ヒューマンドラマ系の小説をいくつか読んでおり、
宇佐美りん先生の『くるまの娘』や町田そのこ先生の『宙ごはん』、
凪良ゆう先生の『汝、星のごとく』、一穂ミチ先生の『光のとこにいてね』など、

芥川賞や直木賞、本屋大賞を受賞されたこともある
超売れっ子作家さんのヒューマンドラマ系小説を多数読んできましたが、
本作ほど読了後に、その内容を鮮明に覚えている作品はありませんでした。

正直、桐野先生の作品は本作が読むの初めてでしたし、
作家さんへの親しみ度合いで言えば、町田そのこ先生や一穂ミチ先生の方が、
よっぽどありました。それでも、本作の内容は忘れられませんでした。

そうか。これが桐野夏生先生の技術なんだと。その時初めて気がつきました。

そして、今回この動画では、超苛々した本作『燕は戻ってこない』で、
特に私が見所だと感じた箇所を3つほど紹介させていただきます。
この見所でさえも、皆さん苛々してしまうかもしれません…俺に怒んないでね。

◇その1「代理母というセンシティブなテーマ」

まず一つ目の本書の見所ですが、それがコチラ。

今年の小説の中では珍しい「代理母」というなかなかセンシティブなテーマ。

そもそも皆さん、この「代理母」という単語をご存知ですか。
私は、本作『燕は戻ってこない』で、初めてその存在を知ったかもしれません。
なので、まず最初はこの「代理母」について少しお話ししていきます。

公益財団法人日本女性学習財団では、
この「代理母」について次のように解説しています。

 子どもを望むカップルが、他の女性からの卵子の提供を受けたり、妊娠・出産を代替してもらうことが、生殖医療技術の進歩で可能になった。こうした生命誕生過程にかかわった第三者の女性を代理母という。

公益財団法人日本女性学習財団ホームページより引用
(https://www.jawe2011.jp/cgi/keyword/keyword.cgi?num=n000062&mode=detail&catlist=1&onlist=1&shlist=1)

本作の主人公である大石理紀は、
生活の糧を手にするため、ある家族の「代理母」になっていくんですね。
本作はそのヒューマンドラマを描いた作品になっています。

そして、この「代理母」というテーマを扱っているからなのか、
本作では「性」にまつわる情景描写が特に多いような気がします。
それこそ、日本ではまだ馴染みのない「代理母」というテーマを介してです。

だからこそ、本作で扱う「性」には、とても多く学べる箇所があるかと思います。

◇その2「読者の感情を剥き出しにさせる筆致」

次に二つ目の本書の見所ですが、それがコチラ。

読者の感情を剥き出しにさせる桐野夏生先生の超絶技巧の筆致です。

私はこれ、読んでいる時には、苛々の感情だけが先行してしまって、
それを生む桐野先生の筆致の凄さに気がつくことができなかったんですが、
少し時間が経ち、また他のヒューマンドラマ系の小説を読んで気がつきました。

あんなにも苛々を覚えたのは、桐野先生の筆致が凄かったからなのだと。

初読でこれを見抜けなかったのは、単純に私の落ち度でしたね。
そのせいで、読み終えた後メルカリで売っちゃいましたもん。
けれど、最近買い直しました。それぐらい、本作には魅了されました。

特に、他のヒューマンドラマ系の小説を読んでいて、
読者の感情を逆撫でするような描写が登場すると、
否が応でも本作と比べてしまいます。そして、その度に思います。

桐野先生の『燕は戻ってこない』には敵わないな、と。

もちろん、作家さんの筆致の好き嫌いは、人によって異なるので、
私はそう思いましたが、他の人はそう思わないことだってあり得ます。
けれど、私の中では本作の桐野先生の筆致は、

読者の感情を剥き出しにさせるという点では、今年ピカイチだと思います。

◇その3「そして、なんと言ってもオチが衝撃」

最後に三つ目の本書の見所ですが、それがコチラ。

主人公・大石理紀の最後の選択が、この物語の中で何も学んでいないところです。

最初このオチを読んだ時には、本当にズッコケそうになりました。ズコーって。
「いや、お前結局なにも学んでないじゃんか」と、
心の底から叫びたくなったのを覚えています。それぐらいの衝撃的なオチでした。

主人公の大石理紀は、北海道から上京してきて、
派遣社員としてある病院の受付事務を務めているときに、
友人からエッグドナーの登録を勧められ、
その延長線上で、ある家族の「代理母」を務めることになるんですが、

その経験の中で、理紀は様々な自身や環境の変化に大きく戸惑うことになります。

仕事として「子どもを妊娠する」ことで生じる様々な葛藤を感じたり、
「代理母」を依頼してきた家族との間に発生する様々な確執だったり、
29歳の大人とはいえ、一人で抱え込むには大きすぎる問題が理紀を襲います。

そして、様々な問題をなんとか乗り越え、時には避けて、
最後には「代理母」としての務めを、理紀は果たすことに成功します。
流石にここまでくると、私も苛々とかではなく、理紀を労う気持ちが出てきます。

「よく頑張ったね、お疲れ様」と。

しかし、最後の理紀の選択が、その労いの気持ちを全て吹き飛ばしていきます。

「いや、お前は自分の昔の境遇や、代理母の経験を通して何を学んだんだ」と。
本当にズッコケそうになるぐらい唖然としてしまい、苛々が込み上げてくる、
そんな衝撃的なラストでした。その衝撃を味わいたい方は、本作必見です。

◆おわりに


いかがでしたでしょうか。

今回このパート4の動画では、
2022年に読んだ228冊の書籍の中で、
一番ブチギレそうになったヒューマンドラマ小説として、
桐野夏生先生の『燕は戻ってこない』を紹介させていただきました。

最近、笑う以外の感情を表に出すことが基本ないんですが、
本作を読んでいる時は、どうしても感情的にならざるを得なかったですね。
それぐらい読む人の感情を引き出してくれる素晴らしい作品でした。

特に、本作の苛々の感情を引き出す桐野先生の筆致には、もう脱帽です。
もし、本作を読んでも「私、一ミリも苛々しませんでした」と、
そんな方がいましたら、その方はもう悟り寸前。釈迦一歩手前です。

冗談はさておき、それぐらい人の感情を引き出すのが上手すぎる作品で、

同時に、読者の記憶に必ず残る、そんな名作だとも感じています。

それは間違いありません。気になった方は、ぜひ本作ご一読ください。

それでは、この動画が面白いと感じた方は高評価!
また、次回の動画を見逃さないようにチャンネル登録!
どちらもお忘れなきようよろしくお願いします!

では、次回の動画でお会いしましょう!さようなら!👋

◇紹介書籍リンク

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