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退職の意を伝えたら「やっぱこの会社って、良いな」と思った話

この度、4月30日をもちまして、出版社のクロスメディア・パブリッシングを退職いたしました。

クロスメディアには約3年勤めました。
前職に絶望し、転職を決意したのは2019年末のこと。それまで作っていた実用書や児童書とは異なり、ビジネス書に挑戦したいという私を受け入れてくれたのが、クロスメディア・パブリッシングでした。

「未経験可」であったことにくわえて、私が惹かれた理由がもう一つ。
代表の小早川さんがとあるインタビューで話していた「誰しも自分のような人間はたくさんいるのだから、自分が本当に欲しいと思える本を作ってほしい」という言葉です。売れている類書をなぞることばかり求められた前職に辟易としていた当時の私に、刺さりました。

入社してからは、言葉のとおり、本当に自由な本作りをさせてもらいました。前職にモヤモヤを感じていたから、現場からでも組織を変えられる本を作った。結婚して子供が産まれたから、家庭と仕事を両立させるための本を作った。文章術の本はすでにたくさんあると思ったから、書くのが好きになる本を作った。
類書がない本作りは不安もありましたが、とても楽しく、いくつもの学びを与えてくれました。

約3年間で作った本は24冊。うち、10万部を1冊、5万部を1冊、3万部を2冊つくらせてもらいました。前職でなかなか企画を通してもらえず、本作りができなくて不満を抱えていた私に、これほどの機会を与えてくれたことに感謝しています。
そもそも、ビジネス書なんてつくったことのない奴を採用して、これほど自由によくやらせてくれたもんだ。

そして、そんな「類書のない本作り」に、「面白い!」と乗ってくれた著者様方、ともに手探りで模索してくれたデザイナーさんやイラストレーターさんなどの協力者、そんな本を面白がって買ってくれた読者の皆様、本当にありがとうございました。

ということで、クロスメディアパブリッシングには感謝の気持ちしかありません。仲間もみんな良い人で、熱意に溢れる人ばかり。それもあって、出版不況と呼ばれる昨今でも毎年120%以上成長しているすごい会社でした。その一員として過ごせたことを心から嬉しく思います。

そうそう、退職に際して、あらためてクロスメディアっていいなと思ったことがありました。

それは社長に「辞めます」と言ったときのこと。
内心、怒られると思っていた。なぜなら1社目の会社では、成果を出して活躍している人ほど、辞めるときに「無責任だ!」と社長にこっぴどく責められていたから(自分は活躍してなかったので責められずに済んだけど…)。
不条理すぎる…。

そして自分で言うのもアレですが、クロスメディアでは10万部も出させてもらったり、マネジャーもさせてもらっていたので、きっと自分が抜けることは戦力的にも人足的にもけっこう手痛かったと思います。だからきっと、いろいろと恨みの言葉を言われてしまうのではと思っていました。

しかし社長の小早川さんは、嫌味の一つも言うことなく、受け入れてくれました。「石井さんは会社に多くのものを残してくれたから、卒業という感じで送り出せるね」と。くわえて、「俺も編集者だから、自分の力を試したくなる気持ちもわかるよ」とも言ってくれました。

厳しく叱咤されるよりも何倍も、「こんな素敵な会社を辞めていいのだろうか」と思わせるような言葉でした。

こう言って送り出せる経営者がどれだけいるだろう。
会社は経営者の器までしか大きくならないと思っています。クロスメディアに良い人しかいないのも、人間感情に共感を示せる素晴らしい経営者がいるおかげなのでしょう。組織とは、つまり人。その人を見る目があるクロスメディアは、きっとまだまだデカくなる。
共に競争できるような、経歴に恥じない仕事をしていきたいと思います。

そして本日5月1日からは、同じく出版社のダイヤモンド社に入社し、変わらず書籍の編集を続けていきます。
自らの成長がいちばん求められそうな環境を選びました。天才と評されるような編集者ばかりの会社ですが、これからは憧れの気持ちを捨てて、一員として頑張ります。成長著しいクロスメディアに負けないように、私個人も、より成長していきます。

ということで、これからも世の中を一歩前進させるような、これまでになかった本作りをしていきます。
読者の皆様、どうか変わらずお力添えを賜れますと幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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