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出戻りや越境学習について

このnoteでは、日経COMEMOの募集をうけて、出戻りや越境学習

について、越境学習中の身から書いてみようと思います。

簡単に自己紹介から。
40代自動車会社の生産・製造の技術者で、会社の越境学習出向プログラムで、HR系スタートアップに出向中です。

越境学習を希望した理由の一つは

に影響をうけ、自分のキャリア・学習機会も内容も既存の延長線上だけとすることに危機感をうけたためです。
具体的には、産業構造と技術サイクルの短命化で、自身の強みであるとある分野の技術力の需要が少なくなるかもしれないこと、単一スキルしかも持っておらず応用できないかもしれないと感じたことです。

アルムナイや出戻り社員、越境学習は近いところがあるので、越境体験者の目線で、出戻り・越境が、本人・会社(組織)にもたらす影響、期待できることなどを記載します。

前置きが長くなりましたが、

1.本人が期待できるメリット
1.1.至らなさに対する気づき
私は、自動車会社では生産製造技術者として製品起点の論理的思考力や課題解決力を身に着けたため、これは一定水準には達していると思っています。
(極めたという意味ではなく、恥じることなくお金をいただける水準という意味です)

しかし、今はHRテックでカスタマーサクセスとして働いているなかで、顧客起点の課題想起力や想像力の不足などを痛感しています。
「製造業の技術者が、この能力を身に着けてどうするんだ」と思われるかもしれませんが、今や製造業でも事業・技術・組織のありかたでも起こすことが必須となり、顧客起点のデザイン思考は前提条件として求められので非常に有意義でした。

このような様々な気づきをうけ、日々どうすれば出来るようになるかのインプット・アウトプット・反省の日々です。

1.2.強みに対する気づき
自身が認識していなかった強みにも気づきました。
例えばしくみ・構造の理解力です。当初、論理的思考力や課題解決力のなかのサブスキルと認識していましたが、じつはこれが独立したスキルで、新しい仕事の仕組みの理解にもキャッチアップにも役立ちましたし、自身の不足に気づき学び直すための戦略的学習力にもつながることを感じています。

そこそこタフさもあることを知ることができたのもうれしい気付きでした。

1.3.プライドのリセット
同一分野で長く働きそこそこ仕事ができるようになったため身についた変なプライドがリセットされました。これにより人のアドバイスを素直に聞けるようになりましたし、失敗への恐れが減ったように感じます。

今書いているnoteも昨年だったら書こうとは思わなかったと思います。

2.企業が期待できるメリット
2.1社員からの還元
1.1のような気づきによる成長を発揮している人間が見本となることで、同様の成長を周りが身に着けることが出来ます。
ずっと同じ職場にいた人たちは、自身の認知している方法に努力するため成長の方向性が限られやすいので、今までと異なる努力をする見本として、出戻り社員や越境経験社員がいれば、それに基づいた成長が生まれます。

私自身、越境前に自身の成長について迷っていた際は見本と出来る人や姿を求めて本屋youtubeなどをさまよっていましたし、副業やプロボノなどでの学習機会を模索しようかと迷っていました。
もし当時、出戻り社員や越境社員、アルムナイとの交流などにより、内と外の両方の目線を持っているひとから学びのメンタリングをもらえていたら非常にうれしかったと思います。

2.2組織変革
特に良いと思うのは越境学習にせよ出戻りにせよ、自社の視点と外の視点両方をもっているため、変えるべきところと残すべきところを考えながら組織を変えてくれるところだと思います。
両利きの経営の知の探索の視点でも、大小の変革が期待できます。

また、この変革を中間層に生み出せる点も重要です。
経営層が変革の大方針を打ち立てても、若手が有志活動で社内を動かしても、必ず中間層を経由してから動きます。ここが硬直していては組織変革は起こらないように感じます。
むしろ、若手にも経営層にも近く、企業で一番多い中間層こそ変革者であるべきと思っています。
しかし、中間層は理想ギャップを感じつづけた人間はやめているでしょうし、ギャップをそこまで感じず真面目に勤めた人間は多くの思い込みを前提条件(例えば、自部署や相手部署の業務領域を決めてしまい、領域横断をした発想をしにくいなど)を正しい姿として身に着けるので変革が起きにくいように感じます。

ここを変え得るのは外からの視点で変えるべきものを認識し、モチベーションをもっている出戻り社員や越境学習者と感じます。

2.3社員のエンゲージメントの高まり、不要な転職の抑止
出戻ってきた社員は、当然戻ってこようと思った以上、他者と比べて何らかの良さを会社に感じています。その視点を周りの社員が知ることは、「隣の芝生は青い」ことを理由とした転職を止める効果があると思います。

2.4教育コスト・キャッチアップに至るまでのロスタイムがすくない
すでに教育をうけていますし、社内文化を理解しているのでそれらにかかるコストや時間が大幅に圧縮されるため、金銭的メリットもあると思います。

3.出戻り社員・越境者を生かす制度
出戻り社員に対するネガティブイメージを社員が持たないようにすることも大事だと思います。「裏切者」「逃げ帰ってきた」などと思わないようにすることは最低限だと思います。

組織変革を期待する前提であれば、出戻り社員に対する期待値を明確にし、それを受け入れ部署の上司が理解していることが必要だと思います。

また出戻りを実現するための前提条件として、アルムナイと繋がる取り組みが必要と思います。アルムナイが転職したタイミングで元の会社に戻りたいと考えるためには、
・アルムナイにとって元の会社が再雇用をしていることを認知すること
・元の会社や昔の同僚が、自身に対して好意的な感情を持っている、あるいは否定的な感情をもっていないこと
などが前提条件として必要と思います。
元の会社を知っている分、他の会社よりも不安が減る場面も多数あると思いますが、一方知っている分悪い不安を抱いている可能性もあるので取り除く必要があります。

4.出戻り社員が社会から求められる理由
メリット面から求められている理由は、上記のとおりです。

リスクヘッジ目線でいうと、ライバル企業がやっているのに、自社はやらないとなれば採用ブランディング的にも、採用チャネル的にも不利になるため、それを避けるためにもやるべきという考えが存在していると思っています。

しかし、一番大きな理由は、単純にそういった選択肢が存在していることが自然だからだと思っています。
仕事に打ち込んで数年経ったある日、少し仕事以外のことに目を向けたくて1年休んで趣味に打ち込む。
ライフステージの変更で働く場所を変えたいと感じるが、相応しいと感じるロケーションが自社にはない。
さらなる成長のために、MBAを取得したり、他社に行ってみたい。
いろんな思いと考えが生まれれば、中途退職をする人が出てくること自体が自然だと思っています。そしてその自然な状態のなかで社員にも企業にも社会にも良い形を模索していくと、出戻り社員を受け入れることもまた自然なのだと思っています。

#日経COMEMO #出戻り社員に期待すること #アルムナイ #越境学習

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