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管理職に昇進!・・・で、何するの?? 〜その6:上司時々メンターで部下のラインケアをしよう!〜

【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・新しく管理職になられた方
・新しい部署に異動した管理職

【この記事を読むことで得られること】
全6回シリーズ。新しい部署、新しい部下に対して管理職としてまず何をすべきかが、まるっとわかります!


【登場人物】
▼ホッソン(細野 和彦):
研修作家、人事コンサルタント。㈱ハブプロダクト代表取締役。年間250日以上の研修プログラムを設計から実施まで行う。 自ら講師としても登壇する一方、近年はHOMEROOM、ROGCHECK、RE:CAREERなどの育成プロダクトを世に送り出す開発者でもある。㈱ログシー 育成支援事業部 統括。
▼オガリン(仮名):
航空業界で総合職として勤務。航空機の運航を陰から支えている。後輩たちのキャリアに迷う姿を見て、一念発起してキャリコンの資格を取得し管理職に。新しい部署になり改めてマネジメントに悩む日々。


◆部下のメンタルが心配です…(>_<)

ホッソン:前回、続きとなっていた、オガリンの部下のお話しを聞かせてください!

オガリン:はい、前回も少しお伝えしましたが、部下のメンタルがちょっと不安定で…(>_<)

ホッソン:どんな感じですかね?

オガリン:どうも新しい環境にやられてしまうタイプらしく…そういう情報は聞いてはいたのですが、それが異動から2週目に如実にあらわれていたんですよ。そこで、何を解消すれば、よくなるのかというのを事あるごとに聞いてみたんですよ。

ホッソン:うん、うん。(*-ω-)

オガリン:そうしたら、「わからないことが多すぎて、自分の中で処理ができない」という事を言っていたので、それをひとつひとつ、“今の苦しい現実をどうやって乗り越えていくのか?” “自分のためにも、どういう感じにできるのか?”と紐解いていきました。そういった視点で部下自身に考えてもらい、最終的に「自分だけじゃわからない。聞ける人をつくっていきます!」となり…それが、前回の目標設定にもつながったというか。

ホッソン:なるほど…今の話を聞いていたら、オガリンがやっていることは「メンター」がやることですね!「メンター」は基本、ナナメの関係性を保つために指導はしないものですが、多分少人数の部署で新しい人ばかりなので、オガリンが「メンター」も担ったのだと思います。

オガリン:「メンター」ですか…それは全然意識していなかったです。一方で部下育成という観点では、どうなのでしょうか?

ホッソン:部下育成は成果ださせてあげないといけないので、前回のMBOに対する面談というのは部下指導に入ってきますね。ただ、メンタル不調を起こしやすいと言う部分もあるので「メンター」としての役割も重要になり、無意識ながらも両方バランスよくやっているのではないかと思いますよ!

オガリン:前回でもお話しましたが、目標として最初に立ててもらった時の文章は「〇〇部署と連携しながら、進捗管理に努める」と出てきて…。“具体的にどうやって努めていくの?”とか“情報管理はどうやっていくの?”とかその辺は細かく詰めて指導していきました。

ホッソン:管理職として部下指導をしながら、「メンター」として話を聞く…という、なかなかしんどい状態ですね。(^-^;
でも、これは誰にでもできることではありませんよ!おそらくオガリンはキャリアコンサルタントの資格をとっているので、そういうものがかなり活かされているのでは?

オガリン:実はキャリアコンサルタントの資格と取った時のロープレがすごく役に立っています。キャリアコンサルタントは傾聴という姿勢を叩きこまれるので、基本的な姿勢はそこで身に付きました。確かに管理職研修ではそのようなことはしないので、他の管理職よりは得意かもしれませんね。

ホッソン:キャリアコンサルタントの資格を取った時に身に付いた技術が存分に活かされていますね。部下もオガリンが上司でラッキーですね(^^)

オガリン:実は、その部下は僕とそんなに歳も変わらないので、普通なら「メンター」という存在はいらないとは思うのですが…上司からメンタル不調という話を聞いた時に「メンター」の部分が強くなったのかなという気がします。上司からは本人に「セルフケア」をさせながら管理職として「ラインケア」もしていって欲しいとは言われています…本音もいえば、私もサポートをお願いします、といいたいところですが…(^-^;
また、過去を聞くとメンタル不調でお休みをしていた期間があったようです。そのお休み期間にもう少し自分のケアについて深堀してほしかったなとは思うのですが、そこも含めて、「メンター」をやりつつ部下育成ですね。

ホッソン:しばらくは大変ですがそれをやるしかないですね。ここで、本人が日々取り入れる「セルフケア」と、管理者が仕組みとして持つ「ラインケア」について、改めてお話しますね。

オガリン:お願いします!

◆「セルフケア」と「ラインケア」とは?

「セルフケア」とは、体、思考、心の3つを自分自身で整える技術や習慣の事を言います。具体的には、図にもあるように…①有酸素運動などを通じて体を動かすこと、②心を緩めるリラクゼーションを取り入れる、③快適な睡眠を取る、④仕事以外の没頭できる趣味などに時間を費やす、この4つが効果的だと言われています。オガリンのお話から推測すると、オガリンの部下は仕事の不安や悩みを抱えがちだと思うので、体を動かし十分な睡眠を取るのがよいのでは…?と思います。

一方「ラインケア」とは、従業員がうつ病をはじめとする精神疾患を防止するために管理監督者である管理職を中心に、上記の図のように人事、産業医、従業員の3つのラインを通じてケアをすることを言います。具体的には、管理職による面談、産業医による意見、人事による措置によって精神疾患を予防していきます。オガリンは面談については実施していると思いますので、もしそれでも不十分だと感じた場合は産業医や人事にトスアップすることも検討すると良いでしょうね。

オガリン:実は…1年間の自分の裏テーマが部下の行動変容を促すことをしていくことなんです。育成も大事だけど…「セルフケア」が、どうも出来ていない感じなので。要所要所で情報提供しながら、自分でレジリエンスを発揮し、這い上がれるようなマインドを徐々にでもいいので、身に付けて欲しいと思っていて。

ホッソン:確かに!オガリンが考えているようにレジリエンス(立ち直る力)を身に付けてもらうことは非常に重要ですね。これも見てもらってもいいですか?

レジリエンスの構成は8要素ですが、この図にもありますように①~⑥までは後天的に育むことができるのです!

この①~⑥の部分を少しずつ育んで、レジリエンスが身に付けられるといいですよね。

オガリン:はい!本人の心次第といったところなので、簡単ではないと思うのですが…部下の行動変容を促していき、少しでもレジリエンス(立ち直る力)を育めるようにやっていきたいと思います。

◆メンタル不調からのパフォーマンスの回復には時間がかかる

ホッソン:以前、メンタル不調を起こす人の防ぎ方という講義をしたのですが、うつ病が発生した瞬間に、休む期間よりその後のパフォーマンスの回復に1年以上かかると言われているんですよ。

ホッソン:うつ病の場合は仕事が十分にできるというところから、一気に下がって休職後はうねうねしながら、1年ぐらい経って前の状態に戻るか戻らないか…といった感じと言われているようです。予備知識としてこの辺も持っておいて、気長にとは言いませんけど、ケアをやっていくといいと思いますね。
また、うつ病の人に対しては「排斥環境」は作らないようにして、「自分はココにいていいんだ!」という気持ちをもたせてあげるのも重要です。
「自分はココが居場所なんだ」という空気感をつくってあげるのが管理職やチームマネジメントをする人が、まずもたらして欲しい組織の雰囲気ですね。でも、ただ、それだけでいいかというと…オガリンの会社はNPOでもないので、利益を絶対的にあげていかなくてはいけないから、もちろん成果を出さなければいけない。組織の雰囲気作りと成果を上げるための指導、この2つのバランスをよくしていくのがしばらく続くのかなと思います。だから、「元のパフォーマンスに戻るまでは、1年ぐらいはかかるもんだ!」というようにドーンと構えていった方がいいですね!

オガリン:今はリモートと対面のハイブリッドでやっているのですが、完全出社になったとしても完全フリーデスクになっていて座席がバラバラなんですよね。だからこそなのですが毎朝決まった時間に朝会を行い、部下のもやもやしたものを出し切ってもらうようにして、話をみんなで聞くという場を作っています。また、部下がやってくれたグッドジョブに対してはタイムリーに“ありがとう”とか“めちゃめちゃ助かったよ”とフィードバックをしていき「自分の居場所がココにある」ということを意識してもらう…そういうことを現状では行っていますし、これからも続けていきたいと思います。

ホッソン:メンタル関連は、成果がでるのに時間もかかるし根気がいるでしょうね。先ほどいったように1年ととらえて、バランスよく…飴とムチではないですけど、目標と場づくりのバランスを見ながらやっていくと関係が構築され、よりよい方向に進むかと思います。ちょっと時間がかかるかもしれないですが、一歩一歩進んでみてください!

オガリン:わかりました!しばらくは部下育成と場づくりの両輪で進めていきます!

ホッソン:頑張ってください!

◆最後に…

ホッソン:ところで、今日で「管理職に昇進!・・・で、何するの??」シリーズも最後になります。管理職になって、何をすべきか少し見えてきましたか?

オガリン:はい、色々な事を学びました。書籍や会社の研修で学んだことをきちんと実践出来ていなかった事に改めて気づかされました。そして、「部下の成長を促す“余白”のある指示」に挑戦できた事がタテ型のリーダーシップでずっとやってきた自分にとって大きな変化だったと思います。これからもこのブログを見ながら、今まで中々実践できていなかったことを含めて、挑戦していきたいです。
そして、「よい組織」を目指して、キャリコンの資格も活かしつつ、管理職としてスキルアップを目指していきます!!

ホッソン:異動となり、オガリンもわからないことだらけの中で自分自身のリーダーシップの型を見直して、部下への指導の仕方「“余白”ある指示を出す」を実践できるようになったのは、この短い期間ですごいスキルアップだと思いますよ。
もちろん、お伝えした事はすべて実践していただきたいのですが、最後にもう一度、組織づくりは時間がかかるものだとお伝えしておきます。ですので、目に見えて変化がない時は、辛い時期もあるかもしません。そこで、常に“時間がかかるもの”ということを心に留めて、焦らずに実践しすすんでいってください。考えさせる土俵をつくることを意識すれば、必ず結果をだせる、よい組織がつくれます。これからもオガリンを応援していますよ!

オガリン:ありがとうございます!これからも何かあったら質問してもいいでしょうか?

ホッソン:もちろんです!いつでも、どうぞ!(^O^)

(おしまい)

▼管理職に昇進!・・・で、何するの??シリーズ▼
その1 自分がどんなリーダーなのかメンバーに伝えよう! 
その2 4つのビジネスコミュニケーションを意識しよう!
その3 相手のシチュエーションに合わせてリーダーシップを変化させる!
その4 メンバーの主体性を育む、指示の余白とは?
その5 2つの目標設定を使い分ける!
その6 上司時々メンターで部下のラインケアをしよう!←イマココ

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