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「できること」より「やるべきこと」を
高二の夏の大会の話。
エースだった先輩がケガで調子を崩して、5月の終わり頃から僕がAチームの1戦目で先発することになった。
急に先輩の最後の夏を背負うプレッシャーが強くなって、次男坊的にのびのびやっていた僕は、人が変わったように自分に厳しく練習するようになった。
それまで走るのが嫌いだったのに、学校と近くの球場の往復ランニングを毎日自分に課した。
行き3.5km、球場の周り0.6km×5周、帰り3.5kmのちょうど10km。
ランニングから帰ってきたら毎日100球ほどのピッチング。
気持ちとは裏腹に、夏の大会が近づくにつれて痩せていき、ボールの勢いはどんどんなくなっていった。
それでも、少しでもやれることをやって本番に臨もうと、試合前日まで日課を続けた。
迎えた初戦。
6回までは0点に抑えたが、7回に一気に4点取られてノックアウト。
そのまま1回戦で敗退となった。
思い出す時はいつも、試合当日よりも試合に臨むまでのプロセスの方だ。
いろんな知識を蓄えた今考えると、一番やっちゃいけない調整をやっていた。
無知なまま、ただやみくもに頑張らないとという気持ちで練習した結果、ベストからは程遠い状態で試合を迎えることになった。
知らないということ、情報を得ようとしないということは、間違った方向へ全速力で進むことにつながる。
もちろん知る努力をして、情報を集めても間違った方向に進むこともあるかも知れないが、間違える確率を下げることはできるだろう。
やるべきことを見つける努力をしているか。
できることから手をつけて、やった気になっていないか。
今では仕事の時も、それ以外の時も、常に自分に問いかける習慣がついている。
高二の夏の失敗は、僕にとって大きな教訓となった。
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