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〈読書〉汝、星のごとく

・汝、星のごとく 著者:凪良ゆう


瀬戸内海の島で、高校生の暁海と櫂は出会い、魅かれ合います。

男性に依存して生きている母を持つ櫂。

暁海の父は恋人のもとで暮らし、残された母は精神を病んでいます。

櫂は母から離れ、上京し、漫画の原作者として成功します。

一方、暁海は、母を島に置いていくことはできずに、地元で就職します。

高校生の時に出会った二人が、環境の変化で別れてしまうということは、よくあることです。

しかし、櫂と暁海がそれぞれ抱える家族の事情は、深刻です。

櫂も暁海も親との関係を断ち切ることができません。


櫂が相棒の尚人と手に入れた成功は、あっという間に消え去り、その後の櫂と尚人の生活も切なくて、読んでいて苦しかったです。

また、北原先生と瞳子さんは、暁海と櫂の人生に関わる重要人物なのですが、読者によって様々な感想がでてくる存在ではないでしょうか。

個人的に難しい存在だと感じたのは瞳子さん。

瞳子さんは、暁海の父の恋人です。

自宅にやってきた高校生の暁海と櫂に、中国茶と手づくりのパウンドケーキを用意する瞳子さん。

瞳子さんが、丁寧な生活をしている素敵な女性であることが分かる場面です。

暁海の父親が瞳子さんに魅かれるのが想像できます。

しかし、一方、暁海の母は心を病み、夫が帰らない家庭は破綻しています。

暁海の家庭が壊れた原因は、暁海の父と瞳子さんにあるのは明らかです。

しかし、瞳子さんによって、暁海は刺繡の道へと導かれていきます。

暁海の家庭を壊すことに関わった人物でもあり、暁海の自立を助けた人物でもあるのが瞳子さんです。

北原先生も、自分の気持ち大切にして生きることや、人生を自分自身で選ぶことを暁海に教えます。

そして、それを自身で実践している人物でもあります。


汝、星のごとく』の主人公は、暁海と櫂ですが、瞳子さん、北原先生、暁海の父など、その他の登場人物の存在も気になるところです。

それぞれ、アナザーストーリーがありそうな人ばかりです。

親の存在の重さ、ままならない人生など、読んでいてつらい部分もありますが、なかなか読み応えのある小説ですよ。

お時間のある時に、ぜひ読んでみてください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

こちらも、凪良ゆうさんの作品です。

私K.Kからのごあいさつです↓↓↓


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