【私の仕事】 忘備録(21)【入札】 仲良く相談して入れましょう
【私の仕事】 忘備録(20)防衛省担当営業マン のつづきです。
◆この記事の内容:
談合のやり方を知って驚いたことを書いています。
防衛省担当
長い間、会社の海外調達部で防衛省の担当もやっていたことがある。入札の公示日について、書きたいことがある。自分が関わった機材の入札案件に限ってのことだが、入札公示日が2月中旬、そして納入日が当然ながらその年度末、3月末ばかりだった。
つまり、約1ヶ月半しかない。他社から購入して商社のような感じで機材を横に流すだけならいいが、ほとんどは製造ものだ。自分が担当した防衛省の機材案件は入札仕様書を確認すると、すべて製造日数がかかるものばかりだ。
公示日
入札に参加する各社は、公示日の少なくとも半年前から材料など準備しないと3月末に納入できるはずがない。もし納入日に送れると、1日の遅延納入に対して、契約金額の数%をペナルティとして支払う入札条件となっている。
払ったら済むというわけではない。一定期間の入札参加停止になる。となると、入札に参加する各社は、半年以上前から「話し合い」既にできており、今回はどこが落とすか決定しているということだ。
落札する予定会社は、入札に参加して高い札を出してもらう金額指示と、受注したあとは、製造委託やその協力してくれた会社から購入する約束と交渉をする。
場合によっては「話し合い」が決裂する場合もある。もちろん、これらの動きは防衛省は表面上は知らないことになっている。裏で動いている内容などは防衛省の入札担当官と直接、連絡をとることはできないので、防衛省の天下りの中堅クラスの防衛省専門機材の商社へ依頼する。
その商社の社長も社員も元、防衛省の方ばかりだ。従って年齢層は高い。このように様々な会社が間に入ることになるので、僕が担当していた頃は末端の機材メーカーなどは、利益が少なく、防衛省案件は嫌がる傾向があった。従って、協力してもらえる会社を探すのに時間がかかった。
下町の銘版屋さん
話は少し戻って、どうして、製造すれば半年かかる製品が、公示日から1.5月しかないのに、3月末で納入できるのか?答えは簡単、既に話し合いが完了した商社が自社のリスクでメーカーに発注しているのである。末端のさらに末端から情報は洩れる場合がある。
防衛省へ機材を納入する場合、各機材には銘板(ネームプレート)が必要である。入札仕様書に明記してある。各部隊の名前のリストがあり、何百、何千という機材1つ1つに銘板を装着しなければならない。
すると、商社は先行でメーカーへ機材を発注したと同時に、銘版メーカーにも発注しなければ納期に間に合わない。すごい量なので注文を受けた銘板メーカーも下請けや協力会社へ依頼する。また、その下請け会社は、孫請け会社に依頼する。
防衛省指定銘板
自分が防衛省の担当をしていた頃は、東京の下町に住んでいたので、小さいネームプレート屋が多かった。個人的に知り合いになった社長から情報をもらうこともあったし、その社長には申し訳ないが勝手な理由をつけて行って、小さな工場内をじろじろ見て、依頼されているFAXの紙を盗み見をしたことがあった。
当時メールは普通に普及していたが、親子で経営しているような銘板屋はFAXと電話が注文方法の主流だった。
何回もFAXが繰り返されて見え難いが、うっすらと防衛省マークと依頼してきた商社の名前が読み取れた。こうなれば、銘版には機材の名前が書いてあるので、全体の機材内容と数量を予測できる。
あとは、海外出張して外国のメーカー側の方も発注がかかってないか、現地でオルグしている会社へ調査させる。すると、入札の公示の約半年前に、各社の機材案件の仕込みや動きの概要がわかってくる。
【私の仕事】 忘備録(22)営業スタイル へつづく。。。
*このnoteで書いてある記事はすべて実話です。「忘備録」として自分のために書いています。
◆ご注意:一部の記事はnoteのシステムによって18歳以上向けに分類されていますが、すべて18歳以上向けです。
よい子の皆さまは読まないでくださいね。