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 「感情ってなあに?」と聞かれたら、私は「心の感覚」と答えます。身体に痛みなどの感覚があるのと同じで、心にも「喜びや悲しみ」などの感覚があると考えます。

 感情には「喜び、楽しさ、満足、興奮、安心」といったポジティヴな感情と、「悲しみ、驚き、恐れ(不安)、怒り、嫌悪」といったネガティヴな感情がありますが、ネガティヴな感情ってどんな役割があるのでしょうか。

 ネガティブな感情は、できることなら味わいたくない感情ですが、実は自分自身を守るための「サイン」の役割を果たしています。人間が自分を守るための防衛能力の一種なのです。

 例えば「悲しみ」。これは「自分が何かを失っている」という知らせです。「不安」は、「自分の安全が確保されていない」という知らせですし、「怒り」は、「今の状況が自分にとってよくない」という知らせなのです。

 ですから、ネガティヴな感情がわいた時には、そのことを否定せず、「ありのままを受け入れる」ことで自分自身を守ることになるわけです。例えば「不安」になったときは、無理に抑えたり否定したりすることなく、まずその中身が「解決すべきもの」かどうかを考えます。「解決すべき不安」であれば、不安解消のために行動することによって「安心」へとつながっていきます。夫婦喧嘩をした後、「このままでは本当に関係が悪化して離婚してしまうことになるのではないか」と不安になったのであれば、問題を改善して仲直りをすることで関係を改善し「安心」することを目指します。「解決すべき不安でない」ときは、そのまま不安を「感じるしかない」ため、なるべく「無理をしない」ようにします。日頃から災害に対して万全に備えているにもかかわらず、「もし明日大雨が降って洪水が起きたら。。。」という感じで不安になったのであれば、「やるべきことはやった」と言い聞かせてこれ以上考えすぎないようにすればいいのです。いずれの場合も、「不安」を感じることで、「安全が確保されていない」とわかり、結果的に自分自身を守ることにつながっています。「不安」については、後の機会に詳しく説明したいと思います。

 では、「怒り」についてはどうでしょうか?これも「ありのままを受け入れる」ことから始めるのですが、それは「怒り」を抑えずに相手を攻撃するということではなく、「あ、今自分は怒りを感じているんだ。」と俯瞰で見てその感情を受け入れるということです。「怒り」は「今の状況がよくない」という知らせですから、まずは「自分が相手に何を期待していて」怒りを感じるのか、あるいは「自分が相手に何が満たされていないから」怒りを感じるのかを考えます。例えばあなたのご主人が家事を全くしてくれないということに怒りを感じるのであれば、「夫も家事を手伝ってほしい」という期待や「私が家事で大変だということをわかっていない」とか「自分に対する思いやりに欠ける」などが怒りを感じる理由として挙げられます。それがわかれば次に「どのようにすればその”ずれ”を埋めていくことができるのか」と考えていきます。先ほどの例で言えば、ご主人に「家事を手伝ってほしい」「私は家事で大変」「あなたの思いやりが欲しい」などと、自分の思いを伝えてみることで”ずれ”を埋めることを試みたりしていくわけです。

と、このような感じで、これからこのマガジンでは「こころ・わかる・いやす」をモットーに、私流で心理の解説をしていきます。次回は「自尊心・自己肯定感」について取り上げるつもりです。

(つづく)


【今回のまとめ】
●感情は「心の感覚」
●ネガティヴな感情は自分自身を守るための「サイン」
●悲しみは「自分が何かを失っている」という「サイン」
  不安は「自分の安全が確保されていない」という「サイン」
  怒りは「今の状況が自分にとってよくない」という「サイン」
●ネガティヴな感情がわいたら「ありのままを受け入れる」

 

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