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NY留学90’Sストーリーその13

さて時は11月。新学期が始まって2か月が過ぎ、いろんな生徒達と顔見知りになりました。そんな時に校内でタレントショウが開かれるとのニュースを聞きます。まあ文化祭とか学園祭に似たようなノリですが、この大学の規模は小さい。単純に音楽のパフォーマンスに自信のある生徒がエントリーして、優秀賞を掴むために争うのです。

ルームメイトのロブが部屋に帰ってきて言いました。「カズ、一緒にバンドを組んでこのタレントショウに参加しよう!」また突拍子もない事を言う。「バンドってどうするの?」「僕が歌って君がギターを弾くんだ。」「ベースやドラムは?」「他の大学から借りてくる。」こういう時に行動力を発揮する彼でした。本当に他の大学からベーシストとドラマーを見つけてきました。でもほとんど素人同然。曲の進行は僕が取り仕切る事に。何とかリハーサルを終え、当日を迎えます。

当日僕達が気にしていたのはショウでのパフォーマンスではなく、その後のアフターパーティーの準備でした。自分達の寮の部屋にみんなを招待して楽しいパーティーを開く為です。その為のドリンクを朝から準備していました。スポーツジムなんかに備え付けられてある水を飲むための大きいプラスティックの樽を用意してその中にサングリアという赤ワインとウォッカとオレンジジュースを混ぜた飲み物をあらかじめ入れて置くという作業です。何本もの赤ワインとウォッカのボトルを注ぎ込みました。みんなで味見しました。もう少しオレンジジュースじゃないか?いや赤ワインだ。もう少しウォッカを入れよう。みんないい感じの味にする為に余念がない。でも味見をしているうちにみんなべろんべろんになってしまいました。

タレントショウのステージに立った僕達はもうただの酔っ払いの集団でした。それは観客からも一目瞭然でした。オープンな生徒達は面白がってくれましたが、真面目な生徒達からは不評を買いました。「あの人達酔ってるよ!」でも僕達は関係なくとても楽しく演奏する事が出来ました。そんな調子ではモチロン賞など獲れるわけもなく、ビリージョエルのピアノマンを弾き語りで歌った生徒が優勝しました。

そしてそのままアフターパーティーへ突入。どうなったのか覚えていません。(続く)

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