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#今井琢

恐怖を目的としないゴースト・ゾンビ・魔女の書き方|三村 美衣

恐怖を目的としないゴースト・ゾンビ・魔女の書き方|三村 美衣

 近所のスーパーマーケットに夕食の買い物に行ったら、チョコパイやポテトチップスの前に、籠いっぱいの大鎌が特売で売られていた。近年、盆と正月とコスプレパーティー を併せたような盛り上がりを見せているハロウィンが、当たり前のように、家々の玄関先を襲う日も近いのかもしれない。

 クリスマスもそうだが、イブのお祭騒ぎが終わり、夜があけたら昨日の片付けをして日常に戻ってしまうのだが、ファンタジー小説を書い

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絶望感が最大の燃料になる 時を越えるファンタジー|三村 美衣

絶望感が最大の燃料になる 時を越えるファンタジー|三村 美衣

 今回のお題は「時を越えて」。
 時というのは無常であり、川のように流れ続ける。「行く川の流れは絶えずして」な平安文学の昔から、文学はこの無常観をテーマにし続けてきた。

 でもですね。時を川の流れに例えるなら、必死になってボートを漕いだり、船に乗ったり、飛行機や魔法の箒を使って飛べば川を遡ることだってできるのではないか。探求心によって突き動かされ、澄んだ源流や仄暗い淀みに憧れ、そして必要にかられ

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現実にはない障害が立ちはだかる 恋愛ファンタジーの極意|三村 美衣

現実にはない障害が立ちはだかる 恋愛ファンタジーの極意|三村 美衣

恋愛×ファンタジーという幸福なマリアージュ ふたりが出会って恋に落ちるが、その恋を試すかのようにさまざまな試練が訪れ、さらにふたりの間に別の人物が割って入って運命の糸が絡まり、そして物語(ふたりの関係)は結末を迎えるというのが、恋愛ものの基本パターンだ。

 昔は恋に障害はつきものだった。家や親や身分が、恋するふたりを引き裂こうとする。ところが個人の自由や権利が向上した現代、モンタギューとキャピュ

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