見出し画像

思考の跳躍力

水野敬也さんのブログを読むことがある。
厳密にいえばよく読んでいたし、吹き出して笑いながらブログを読んだのは彼が初めてだったし、今も更新されるのを楽しみにしているし、覗いて更新されていなかった時には過去のものを見返ししているし、今週4ヶ月ぶりに更新されて喜んでいたけれど…。ここでは「読んだことがある」という表現に留めておきたい。このブログのファンを公言することは、私にとっては少しだけ勇気がいる。

彼のブログを読んだことがある方はもうお分かりだろうが、女性が自信を持って好きだと言うには、下ネタが多すぎる。男子校の休み時間を見ているような感覚で、アホなこと言っているなーと思いながら、でも笑っちゃう感覚。タイトルからは想像できない内容になることもざらにある。とんでもなく直接的な表現を、ゴシック大文字で突然書いたりするから、他人には見られてはいけないという隠れキリシタンのような気持ちになるので、電車の中では絶対に見ないと決めている。

+++

ただ水野さんの文章を読んでいると、シンプルに面白いだけでなく、その文章力にただただ感服させられる。しつこいようだが、半分以上下ネタである。もっともらしいタイトルや書き出しであっても、着地がまさかの…ということもしばしば(逆もまた然り)。だが心理描写や情景描写は、ネタの内容からは想像もつかないくらい繊細で丁寧に描かれている。さすがベストセラー作家だ。(小説作品は拝読したことがないのだが…近いうちに。)

水野さんの文章の魅力は、発想の飛ばし方だと思う。書き出し内容からオチへの跳躍力がクセになる。水野さんだけに限らず、読んでいて面白いと思えるブログやエッセイは、誰もが起こりえる日常を、筆者の思考力で別次元に飛ばせてくれるものだと思う。この思考の面白さは、一朝一夕に培われるものではない。

また、水野さんのブログを見ていると、日常にこんなにも面白いネタが転がっているのかと驚かされる。「事実は小説よりも奇なり」とはよくいったもので、それを体現されているように思った。

以前は「きっと水野さんには面白ネタを引く力があるのだろう…」と思っていたが、どうやら違う。きっと、誰もが見逃していしまうような小さな日常の面白さを見逃さない力があり、常にアンテナを張っているのだと感じる。

+++

「優れた作家」というのはその判断が難しい。文章や文体・思考には読者の好みもあるので明言しがたい。だが、私が思う優れた作家の要素の一つとして、小説・漫画・エッセイ・詩・ブログ、ただの散文を書いたとしても、引き付ける魅力を感じさせることだと思っている。

だがそれは単に文章のテクニック的なものではなく、やはり思考の面白さではないかと。よく言われていることだけど、ただ考えるだけではその力は養われず、言語化することで身につくものなんだな、やっぱり。

またひとつ、私がnoteを続ける理由が増えた。

この記事が参加している募集

#noteのつづけ方

38,291件

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。