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「ザ・キラー」を見た(ネタバレあり)

ストイックな暗殺者による復讐劇


プロの暗殺者クリスチャン

プロの暗殺者クリスチャンは、暗殺対象が家に帰ってくるのを隠れ家として確保した内装工事中のオフィスで待つ間に、定期的にヨガをしてストレッチを行ったり、武器を仮組したり、時間を決めて体勢を入れ替えながら睡眠を取ったりといった描写を丁寧に描くことで、辛抱強く一つの場所で待つクリスチャンの性格や、彼の几帳面で用意周到な性格を見ている人にうまく伝えている。

また、頻繁に彼自身の心の声による語りが入るため、クリスチャンが単に機械的な暗殺者ではなく、人の心を持った暗殺を職業として行っている人間だということがわ狩るようになっている。

当然、冒頭のシーンがあっての本編であるが、説明という役割もしっかりと果たしている。


着実に復讐を遂げていくクリスチャン

飛行機で移動しながら、復讐を実行していくクリスチャンだが、自分の隠れ家はもちろんのこと、いく先々で彼が活動に必要な道具を隠しているところは、冒頭で彼の性格を説明するシーンを入れていることで、キャラクターの印象を補強するのにとても役立っている。

また、土の中にパスポートを隠していたり、銃とかが保管してある貸し倉庫を各所に持っているという設定は、スパイ映画であったり、ゴルゴ13ぽいイメージが重なり、見ていて非常にオタク心をくすぐられた。


リズム感のある表現

この映画は、用意周到なクリスチャンが着々と復讐を遂行していく形で話が進むので、一部を除いては大きなアクションはない。ただ、クリスチャンが淡々と準備を進めて、どんどん標的にアプローチをしてく様を、丁寧にスピーディに表現していくことで、リズム感よく話が進んでいく。そのため、アクションシーンは多くなくても、緊張感が緩むことなく見ていることができた。

また、クリスチャンが各所で標的を抹殺していくシーンでは、最近の映画には珍しく抹殺のシーンの表現をあえて抑えめにしている。そうすることで、クリスチャンが淡々と且つスマートに対象者を抹殺していることが強調され、彼のプロフェッショナリズムを補強ことに成功している。


色使いも綺麗

この映画は、全体的に色のコントラストを強めに表現することで、全編を通して色鮮やかな映像が展開されると感じた。

特に、クリスチャンが移動する先で差し込まれる景色のカットは、非常に綺麗で映画にメリハリを加えてくれていた。


暗殺者の世界観に浸りたいなら

この映画は、ひたすら暗殺者としてのクリスチャンの視点で進んでいく。そのため、起こったことの全容がはっきりとはわからない。ただ、クリスチャンという1人の暗殺者の目を通した正解感を楽しみたいのであれば、おすすめの映画だ。



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